初陣
今の僕の植樹ステータスは
植樹レベル 8
植樹数 234/400
笑顔ポイント 10018(4消費につき1本)
スキル 植木鉢 交配 自動収穫 収穫袋 樹木配置(改) 樹木間転移
使い切れなくなった笑顔ポイントをここで使い切る。
ウッドゴーレムの植樹と交配、回復用の樹を植えればいくらでも戦える。
向こうより先にガス欠になることはないはずだ。
僕は今まで貯めてきた大量のエレメントフルーツを持ったまま、ウッドゴーレム達を吶喊させる。
その手には、ファイア系のエレメントフルーツを握らせている。
既にフォレストウルフは潰している。
そして新たにフォレストウルフを生み出すためにはあの方向の予備動作が必要だが、それを事前にナージャが潰してくれている。
故にウッドゴーレム達は邪魔されることなく、タイクーンウルフの元へ辿り着いた。
ウッドゴーレム達を薙ぎ払うべく、タイクーンウルフはその尾を大きく振った。
対しウッドゴーレムが選んだのは――迎撃だ。
自らの身体が壊れるのも構わず、ウッドゴーレムは右ストレートを放つ。
そして――。
ドオオオンッッ!!
彼らが手に握っていたファイアマロンが擦れ合い、爆発する。
「くおおおおんっっ!?」
ただのウッドゴーレムの攻撃なら通らないだろうけど、どうやらエレメントフルーツを使った自爆特攻ならダメージを与えられるみたいだ。
けれどエレメントフルーツの爆発に、ウッドゴーレムは耐えきれないみたいだ。
既に修復不可能となったウッドゴーレムは、その動きを完全に止めてしまっていた。
でもやられてしまったウッドゴーレムにも、まだ使い道は残されている。
それこそがウッドゴーレム強化の最後のピース……ウッドゴーレムの結合である。
ウッドゴーレムは樹木を使うことで回復することができる。
そしてウッドゴーレム自体も、植樹で植えることのできる樹木だ。
で、あればここで一つの疑問が生じる。
――ウッドゴーレムを使ってウッドゴーレムを回復させた場合、果たしてどうなるのか?
その答えは、今の僕の目の前にあった――。
タイクーンウルフに取り付こうとするウッドゴーレムのうちの一体が、パンチを放つ。
けれどその攻撃はタイクーンウルフに傷一つつけることはできず、右手を負傷してしまった。
するとその個体は近くにあったウッドゴーレムの残骸に手を突っ込む。
取り出された右腕は――先ほどまでより濃い茶色に変わっていた。
治った右手で、再度殴打を放つ。
すると今度は――。
「がるっ!?」
その一撃は、タイクーンウルフの身体を凹ませた。
そう、これがウッドゴーレムでウッドゴーレムを治すこと――ウッドゴーレムの結合による効果である。
ウッドゴーレムは仲間の身体を取り込む度に強くなっていくのだ。
この力があれば、ウッドゴーレムは仲間を取り込む度に強くなっていく。
皆が僕のことを思ってくれる笑顔ポイントが尽きない限り――ウッドゴーレムは無限に強くなっていくのだ。
本当なら植樹レベルを上げた方がいいとは思うんだけど、何かあった時のためにと、ポイントは温存しながら過ごしてきた。
現在のポイントは既に一万を超えている。
これが今の僕の出せる全力。
僕は収穫袋からウッドゴーレムを取り出す。
既にストックは尽きそうになっている。
そのうちの二十ほどを取り出し、タイクーンウルフの側面に回らせる。
けれど力量差は歴然。
やっぱりただのウッドゴーレムじゃ、ナージャから少しだけ意識を逸らさせることくらいしかできない。
足止めをして時間を稼ぐためには、より強いゴーレムが必要だ。
僕は収穫袋から、交配で生み出したエレメントウッドゴーレムを取り出す。
このエレメントウッドゴーレムは、シムルグさんのエレメントフルーツ園を取り崩す形で作り出した。
フルーツ園を潰すことを許してくれたシムルグさんに感謝しながら、エレメントウッドゴーレム達をタイクーンウルフへとけしかける。
エレメントウッドゴーレムの動きは、ウッドゴーレムよりずっと俊敏だ。
彼らはタイクーンウルフの攻撃を交わし、その身体へ体当たりやパンチを繰り出す。
魔力が込められ威力の乗っている拳は、タイクーンウルフへダメージを与えることができていた。
ただそれでも速度はタイクーンウルフの方がずっと早い。
エレメントウッドゴーレムのストックが尽きた。
このまま足止めができなくなるのはまずいので、僕はウッドゴーレムとエレメントツリーを植え、それを交配させることでエレメントウッドゴーレムを生産し、順次戦場へと送り出していく。
でもこのままウッドゴーレム達をただ出し続けるだけじゃ……ジリ貧になる一方だ。
それに命令を出すには、僕とゴーレム達との距離が離れすぎている。
彼らは僕が声で出した命令しか聞くことができないので、細かく動きを調整するためには、もう少し距離を詰める必要がある。
そして近付くタイミングは、ポイントに余裕のある今が一番良いはずだ。
「――前に出る! アイラはここから、援護をお願いっ!」
「――っ! ……気を、付けて下さい、ウッディ様ッ!」
アイラは最初に驚いたような顔をして、次に悲しそうな顔をして、最後にそのまま真っ直ぐ僕を見つめてきた。
その顔は心中複雑そうで。
彼女の中で色々な感情が渦巻いているのがわかった。
けれど最後には、何も言わずに僕を送り出してくれる。
その献身が、今の僕にはありがたかった。
(……っ!?)
気が付けば、僕の身体は震えていた。
これは武者震いなんて格好良いものじゃない。
僕はただ……怖いのだ。
今ナージャが単身で戦っているあの巨大な狼と戦うのが、怖くて怖くてたまらないのだ。
家庭教師から、基本的な剣術は教わった。
けれど僕は直接誰かと命のやり取りをしたことは一度もない。
つまりこれが……僕にとっての初陣なのだ。
恐怖はある。
けれど僕はそれでも、前に出た。
一歩前に出る度に、不思議と身体の震えは収まっていく。
『力がある者がそれを行使するのは、強者としての義務だ。お前にもいずれわかる時が来る』
昔父さんが教えてくれた言葉が、聞こえてきた気がした。
タイクーンウルフの姿がどんどん大きくなってくる。
けれどすぐに対応ができるだけの距離まで近付き、その巨体の本当のサイズがわかった時には、身体の震えは完全に消えていた。
「よし――いくぞっ!」
僕は大量のウッドゴーレムとエレメントウッドゴーレムを出す。
この距離なら細かく指示が出せる。
ここからが――本番だッ!
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