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【第3巻6/10発売!】スキル『植樹』を使って追放先でのんびり開拓はじめます  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)


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大技


 毎回ウッドゴーレムを『植樹』の素養で生み出していては、咄嗟の時に対応できない。

 けれどその問題も他のスキルと組み合わせることで解決することができた。


 なんとこのウッドゴーレムは……収穫袋に入れることが可能だったのである。

 どうやらウッドゴーレムは樹であると同時に、収穫物でもあるカウントされるみたいなのだ。


 僕は収穫袋を発動させる。

 ジンガさんの目の前に果物を大量に落としたあの時のように、虚空から何体ものウッドゴーレムが現れる。


 向こうからやってくるフォレストウルフの数は十を超えている。

 それならと、僕は倍の二十のウッドゴーレムを呼び出した。


 今回は数を重視しているので、出すのは交配をしていない純粋なウッドゴーレムだ。


 僕は倍の数のウッドゴーレムを、フォレストウルフ達の方へけしかける。


「がるるうっ!」


「がるっ!」


 フォレストウルフ達は狙いを、前に出ているウッドゴーレムに定めた。

 彼らはそれほど知能の高い魔物じゃない。


 なので後ろにいるウッドゴーレムを生み出す僕を攻撃しようとはせず、ただ目の前にいるウッドゴーレムへと向かっていった。


 ――狙い通りだ。


 フォレストウルフはあくまでも、タイクーンウルフの命令を聞くだけ。

 そして大した知能のないフォレストウルフ達は、ただ目の前にいる敵に向かっていくことはできない。


 今はある程度、力を温存しておかなくちゃいけない。

 タイクーンウルフの戦いに投入する戦力のことを考えると、強力なウッドゴーレム達は後に取っておきたいからね。


「「がるるっ!」」


 フォレストウルフ達はウッドゴーレムとの距離を調整する。

 ウッドゴーレム達はそれを必死になって追いかけようとするが、何分彼らの走るスピードはそれほど早くない。


 故にフォレストウルフ達はウッドゴーレムを翻弄しながら攻撃を加えていた。

 最初は体当たりをしていたが、ウッドゴーレムはその程度では傷一つつくことはなかった。

 今よりも強烈な攻撃をしなければと考えた結果、選んだ手段は噛みつき攻撃だ。

 フォレストウルフ顎の力は強く、たしかにウッドゴーレム達はその腕を牙で貫かれた。


 しかしウッドゴーレムは、身体の中心部にあるコアを破壊されるまでその動きを止めることはない。


 ウッドゴーレム達は自分の右手をフォレストウルフに噛ませたまま、空いた左手で思い切りフォレストウルフの頭をぶん殴る。


「きゃんっ!!」


「がるっ!?」


 結果としてウッドゴーレムの一撃が、フォレストウルフ達にモロに入った。

 ウッドゴーレムの動きは鈍重だが、その一撃は重く強烈。


 結果としてフォレストウルフ達は顔を持っていかれ、そのまま息絶える。

 フォレストウルフの弱点は、頭部のあたりにある赤いコアだ。


 コアの役割はゴーレムと同じであり、壊すことさえできれば簡単に倒すことができる。

 ただそのコアを壊すことができなくても、ある程度深い傷を与えればわりとあっさりと死ぬ。


 フォレストウルフ達は問題なく倒すことができた。

 僕はアイラの攻撃の精度が上がるよう、そして僕も手助けができるよう、ナージャとの距離を詰めていく。


 そこで僕が目にしたのは……『剣聖』の素養を持ち、己の力を鍛え続けた人間が至ることのできる、武の境地だった。



「がるるるっっ!!」


 タイクーンウルフがその顎を開き、ナージャへと噛みつこうとする。

 図体はかなり大きいにもかかわらず、その動きは驚くほどに素早い。


 ガチリッ!


 けれどタイクーンウルフがナージャを噛み殺すべく放った噛みつき攻撃は、空を切る。

 既にナージャはそこにはおらず。


「遅いぞっ!」


 タイクーンウルフの人間大の耳が宙を舞った。


「ガルルッ!」


 そのまま攻撃を続けるタイクーンウルフ。

 鋭い爪による一撃、巨体を活かした体当たり、そして噛みつき。

 けれどその全てを、ナージャはするりとかわしていく。


 どれだけ攻撃力が高くとも、当たらなければ意味はない。

 タイクーンウルフの攻撃はその全てを避けられ、逆にナージャの攻撃は全てヒットしていた。


 彼女が振り向きざまに放った一撃は、タイクーンウルフの爪を剥ぐ。

 トンッとタイクーンウルフの身体の上に乗ったナージャはその皮を削ぎ、足先を切り落とす。

 羽根のように軽い動きにもかかわらず、その剣閃は恐ろしいほどに鋭い。


 けれど僕は、ナージャの顔には焦りの色があるのを見逃さなかった。


 その原因は明らかだ。

 隙を作らずに小技を中心に攻めている現在の状況では――タイクーンウルフを仕留めきることができないのだ。


(タイクーンウルフは身体を真っ二つにしても、どれだけ身体を切られてもすぐに再生してしていた。頭の中にあるだろうコアを割らない限り、完全に倒しきることができないんだ)


 厄介なのは、タイクーンウルフは頭のサイズもとんでもなくデカいということだ。

 おまけにある程度知能があるからなのか、身体中の樹木を頭部に集めることで、攻撃を守ながら、コアの位置も気取られぬように気を付けている節もあった。


(でも決して無敵ってわけじゃない。どれだけ効いてるかはわからないけれど、しっかりとダメージは通ってる。アイラの広範囲の魔法攻撃を受けた後は動きは鈍っていたし、ナージャの攻撃で身体が切り裂かれたら、鳴き声を上げてもいたし)


 けれどその耐久性は、普通の魔物なんかと比べればはるかに高いんだろう。

 ナージャだから相手ができているだけで、普通の冒険者なんかだったらやられてしまっているはずだ。


 であれば僕がすべきことは……とりあえずなんとかして、タイクーンウルフの隙を作ることだ。


「よし、ここからは――総力戦だッ!」


 僕は収穫袋から大量のウッドゴーレムとエレメントフルーツを取り出す。

 ここから先、出し惜しみはナシだ。


 笑顔ポイントを使い切っても構わない。

 とにかくナージャとアイラが大技を使えるようになるだけの隙を、僕が作るんだ!

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