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タイクーンウルフ


 戻ってからすぐに、アイラとナージャと情報を共有する。

 僕らが見てきたものを伝えると、アイラの方は顔が引きつっていて、ナージャの方はまだ見ぬ強敵にキラキラと目を輝かせていた。


「そのなんちゃらウルフっていうのは、一体どういう魔物なんですか?」


「タイクーンウルフは簡単に言えば、フォレストウルフの親玉なのよ」


「フォレストウルフは有名な魔物だな。だが親玉といっても、いくらなんでもサイズが違いすぎるような気が……?」


 フォレストウルフなら実際に見たことがある。

 その見た目は、簡単に言えば全身が木でできている狼だ。

 目は空洞になっていて、耳は枝が束になって巻き付いている感じ。

 トレントの狼バージョンって感じだろうか。

 ちなみに冒険者ギルドの格付けとしてはEランクなので、一体ごとの強さはウッドゴーレムより下ということになる。


「フォレストウルフっていうのは、実は狼の魔物じゃないのよ」


「初耳だ……」


「うん、僕も」


「私もです」


「まあ見た目は完全に狼だから、人がそう捉えるのも無理なからぬことではあるのよ。でもあれは実はトレントやガイアツリーなんかと同じく樹木型の魔物に分類されるのよな。ウッディ殿にわかりやすい言い方をするんなら……タイクーンウルフが木そのもの、そしてフォレストウルフはその枝葉って感じなのよ」


 どうやらタイクーンウルフは、フォレストウルフの上位の魔物になるらしい。

 タイクーンウルフの背中に見えていた、あの緑色の木々。

 あれらはタイクーンウルフが念じれば、フォレストウルフに変わるのだという。


 要はフォレストウルフをある程度生み出し、言うことを聞かせることができるようだ。

 どれくらい出せるのかは、タイクーンウルフの強さによるらしい。


「俺が聞いたやつよりずいぶんとデカいから、出せるのも一匹二匹じゃないと考えといた方がいいかもしれないのよ」


 どうやらタイクーンエルフはまず最初に、フォレストウルフによる物量作戦をしかけてくるらしい。

 でも物量作戦なら、僕だって負けてないぞ。


「とりあえずあいつが生み出すフォレストウルフは、僕のウッドゴーレムで対応するのが良さそうだね」


 向こうの背中からどれだけ魔物が湧き出してこようと、ウッドゴーレムで倒してみせよう。 フォレストウルフ自体はそれほど強い魔物じゃないから、こっちが物量で攻めれば先に悲鳴を上げるのはあちら側のはずだ。


「それなら本体を倒すのが私の役目になりそうだな」


 とりあえフォレストウルフをなんとかしてから、三人でタイクーンウルフにかかる。

 これが一番良いやり方だということで僕らの考えはまとまった。


「すまんのよな、何かあった時に皆をツリー村まで送り届けるくらいのことしかできなくてよ」


「申し訳ないです……」


「いえいえ、そんなことないですよ!」


 ぺこりと頭を下げるキャサリンさんに、むしろ僕の方が恐縮してしまう。

 いざという時の逃走を手伝ってくれるってだけで大助かりですから!


 神獣様はあまり表立って、その武力を行使することができない。

 シムルグさんも言っていたその制限は、ホイールさん達にも変わらず有効らしい。


 多分逃走の手助けだってかなり際どい判断だと思う。

 なのでありがたいと思いこそすれ、それを批難するつもりなんてまったくない。


 それに僕らが問題なく勝てば、二人がそんなことをする必要もないのだ。

 僕らの邪魔をしてホイールさん達を申し訳ない気持ちにさせちゃうあの狼モドキなんか、さっさと倒しちゃおう。

 そうすれば万事解決だもんね!

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