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ずもも


 早速、偵察に出ることにした。

 いざという時に樹木間転移という逃走手段があるので、今回は僕単体での調査をしようとしたのだけど……。


「俺も行かせてほしいのよ。聖域を預かる神鼠として、しっかりと確認する必要があると思うのよな」


 とホイールさんが断固として主張してきたので、二人で行くことになった。


「俺の背中に乗ってほしいのよ。超特急で魔物のとこまで連れていくのよ」


「え、でも……いいんですか?」


 ちょっと恐れ多い気もしたが、そんな風にビビっている僕を見てホイールさんは笑ってくれた。

 その笑みは本当に神獣様なのかと疑ってしまうほどに、人間味にあふれていて。


「問題ないのよ。俺と一緒に歩もうとしてくれている人がいるのなら、それに応えてやるのが神獣としての務めなのよな」


「ホイールさん……ご厚意に甘えさせてもらいます」


「おう。連れていくくらいなら……まあ多分問題はないのよ。神にドヤされたら……まあそうなった時に考えればいいのよ!」


 ホイールさんが何やら不穏なことを言っていたけれど、今はそんなことより聖域作りだ。 僕はホイールさんの背中に乗り、彼と一緒にずもも……と土の中を潜って進んでいくのだった――。





 ホイールさんの背中はかなり快適だった。

 ずもも……という音を聞いて土を掘り進めているものだとばかり思っていたけれど、そうじゃなかった。

 ホイールさんは土を魔法で操作して、すいすいと土の中を移動していたのだ。


 彼が自分で太鼓判を押していたように、魔物のところまではあっという間に辿り着くことができた。


「あれが……ここに居着いている魔物……」


「大きいのよ……」


 僕らの目の前にいる魔物は……とてつもない大きさの狼だった。

 姿形はたしかに狼だけど、砂漠に出てくるサンドウルフみたいな狼型の魔物とはまったくの別物だ。


 全身は砂に同化した茶色だ。恐らく長いこと砂漠で暮らしているが故に、身体の表面を撫でていた砂が固まってこびりついてしまったんだろう。

 その表面は所々が剥がれており、その中からは赤みを帯びた茶色が見え隠れしている。

 おそらくあれが本来の体表なんだろうな。でもあれは……錆びた鉄、なのかな?

 もし全身が鋼鉄製なら、傷をつけるのにも一苦労になりそうだ。


 そしてサンドボアー何十匹分かもわからないほど巨大な狼の背には、なぜか緑色の木が生えている。

 表は砂、めくれば鉄、そして背中には木。

 あんな魔物、見たことも聞いたこともない。


「ホイールさんはあれがなんだか、知ってますか?」


「おう、俺も話にしか聞いたことはないけど、あれは多分……タイクーンウルフなのよ」


 もちろん僕はまったく聞き覚えがない。

 完全に未知の魔物となると、ホイールさんの情報が頼りだ。


「とりあえず、事前の打ち合わせ通りにウッドゴーレムをぶつけますか?」


「いや、タイクーンウルフを相手にそれは悪手になるのよ。一旦戻って作戦を練り直すのよな」


 僕はホイールさんに従い、再度彼の背中に乗った。

 そしてずもも……と地中を進みながら、あの巨体をどう相手取ればいいのか考えるのであった……。

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