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転移


「ねぇシンディ、僕は君のことが……」


「ブラッド、私もあなたのこと……」


「――ハッ! ここはどこ?」


 視界が暗転し、意識が回復したかと思うと、次の瞬間僕は世界樹の下に居た。


「「――って、ウッディ様!?」」


「あ、どうもどうも。良い雰囲気を邪魔してしまって大変申し訳ない」


「いっ、いえいえっ!」


「私達は後でよろしくやっておきますので、お気になさらず!」


 しどろもどろになってわけのわからない答えを返す二人に手を振りながら、その場から歩き出す。


(どうやら樹木間転移は、想像通りに僕に転移能力を与えてくれる力みたいだね……あ、よく見るとポイントが30くらい減ってる)


 ちなみに現在の僕の樹木ステータスは、こんな感じ。


植樹レベル 8


植樹数 22/400

笑顔ポイント 978(4消費につき1本)


スキル 植木鉢 交配 自動収穫 収穫袋 樹木配置(改) 樹木間転移


 どうやら樹木間転移を使うと、笑顔ポイントを使うらしい。

 幸いポイントには余裕があるので、もう一度スキルを使って近くの樹木を設定して転移をしてみる……が、できない。


 けどしばらくするとできるようになった。

 どうやら一度使うと、五分ほど時間が経たないと再度使えるようにならないみたい。

 クールタイムが必要なんだね、使うタイミングには気を付けないと。


 ちなみに転移をしてみると、今度はポイントを5しか使わずに済んだ。

 どうやら樹木間転移で使用する笑顔ポイントは、転移する距離に比例するみたいだ。


 これがあればホイールさんが新たに聖域に変える場所からツリー村までほとんどノータイムで移動ができるようになる。


 基本的には皆と一緒に行動するつもりだけど、砂漠の旅で寝袋で寝るのはしんどいので、家に戻ってぐっすり寝ることもできる。

 有事の際に責任者である僕がすぐに向かうことができるようになったので、何かあった時も安心だ。もちろん何にもないのが一番だけどさ。


 ただこの樹木間転移は、僕一人しか移動することができないみたいだ(もちろん他のスキルみたく、後になってから機能が解放される可能性は十分考えられるけど)。


 転移した先が危険地帯になってたりしたら、僕一人でなんとかしなくちゃいけないから大変だ。待ち伏せを受けたりしても危ないな。

 正直一人だったら、五分も耐えられる気がしないからね。

 便利だけどその分制約もあるから、気を付けなくちゃ。


 そのまま戻っても良かったんだけど、なんとなく少しだけ歩いてみる。

 そしてくるりと振り返ると、そこには僕が来た当初に植えた世界樹があった。


 他の果樹はほとんど大きさが変わっていないんだけど、なぜか世界樹はぐんぐんと着実に成長を続けている。

 最初に植えた時は僕やアイラが植木鉢に入れて持ち運べるくらいの大きさだったのに、今では既に屋敷よりも大きくなってしまっている。


 このまま行けばそう遠くないうち、ツリー村で一番大きなシェクリィさんの教会ハウスツリーを抜いてしまうかもしれない。


 もしこれからずっと世界樹が大きくなり続ければ、いずれは童話で聞くような巨大な世界樹に成長するんだろうか。

 でもツリー村には既に相当量の世界樹があるから、正直全部がそんな風に大きくなったら人が住める隙間がなくなっちゃいそうだ。


(でもあの噂……本当だったんだ)


 世界樹はある程度大きくなるとぼんやりと光を発するようになる。

 ライトツリーはその辺に置いておくだけで夜道も安心なほどに強烈な光が出るけど、世界樹は光量も抑えめで優しい光だ。

 そのためムーディーな雰囲気を作れるらしく。

 なんでも今ツリー村の若い男女の間では、世界樹の下でいちゃつくのが一種のトレンドになっているらしい。


 僕も今度誰かを誘ってみようかな……ナージャとか。


 ――今、鬼の形相をしたアイラの姿が脳裏に過ったから、アイラも誘うことにしよう。


 ムードの作れる光、かぁ……。

 そう思ってみていると、たしかになんかエッチに感じなくもない。


 いけないいけない、煩悩退散。

 僕は雑念を振り払い、ナージャ達のところへと戻ることにしたのだった――。

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