善は急げ
善は急げということですぐに準備を完了させ、次の日には出立することにした。
今回のメンバーは僕とアイラ、そしてナージャ。
新たな聖域を作るということで、ホイールさんとキャサリンさんにもついてきてもらっている。
いつものように樹結界を使いながら進んでいく僕ら。
今回も道中で戦闘を避けながら、地竜とラクダを使ってサクサクと進んでいく。
ちなみにその時にホイールさん達はどうしているのかというと……。
ズモモモモモッ!!
僕らの走っている地面の横に、こんもりとした砂の小山のようなものができている。
それは轍のように、尾を引くみたいにどんどんと伸びていく。
この小山こそが、ホイール夫妻である。
一体どうやって予想より短時間で進んできたのかと思ったら、彼らは土属性を持つ神獣らしいので、土をほぼ無抵抗で進んでいくことができるみたいだ。
彼らは土の中を、魚が海の水を掻き分けるようにスイスイと進んでいくことができる。
ちなみに本気を出せばあっという間に着くそうだが、先に着かれたら絶対に騒ぎになるので並走してもらっている形である。
これなら今日中とは言えずとも、明日か明後日くらいには着けそうだね。
そしてそんな僕の予想は外れず、道中に大した事件が起きることもなく僕らは無事に到着することができた。
「そんな話が聞けるか!」
「俺らを騙すつもりだろう!」
僕達が村へ出向き、村人の人達へ話をした。
なるべく丁寧に、理解に躓くことがないように説明をしたつもりだった。
けれど彼らは、難色を示すばかり。
やれ口で言うのは簡単だとか、そう言って重税を取るに決まっているとか。
そんな風にやいのやいの言っては否定的なことばかりを口にする。
ふふふ、けれど身体(胃袋)は正直だからねぇ。
どこまでその強がりがもつかなぁ……?
まず始めはフルーツによる懐柔作戦だ。
もう何度も色んな村に出向いているので、こういった時の対応には慣れている。
僕は収穫袋から取り出したフルーツを食べてもらう。
「「「う……美味ああああああああっっ!」」」
「もしうちの村に来てくれれば、これが食べ放題ですよ」
「あなたの村に入れて下さいっ!」
やってきたのは渾身の土下座。
あまりにも見事な即堕ちである。
けれど食料不足の村に食料をちらつかせば、まあこんなものだ。
「さぁて、どうしようかなぁ……クックックッ」
「お願いします!」
「私達にもフルーツを!」
「仕方ないなぁ、それならついておいで」
ただ上げるだけだと向こうも調子に乗っちゃうかもしれないので、少し惜しむ感じの態度はキープしつつも、新たな村人達をゲットすることに成功した。
この調子でどんどん行こう。
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