目立つ
ジンガさん達がツリー村に完全に馴染むまでに、そこまで時間はかからなかった。
最初は結構仲違いをしたり、些細な慣習の違いから揉め事になったりすることもあったけど、最近ではそれもずいぶん落ち着いてきた。
今までどこに住んでいたという縄張り意識がそこまで大きくなかったから、どうやら今ではお互いがこの場所で一生懸命暮らしていこうという運命共同体の一員だ、みたいな認識に落ち着いてくれたみたい。
村同士での折り合いをつけるために、ジンガさんは副村長という立場についてもらうことになった。
今ではアクティブなところはジンガさんが、目の届きにくい細かいところなんかはシェクリィさんが担当することで上手く回っている。
何事も最初の一回が大変とはよく聞く話。
ジンガさん達を入れたおかげで、今後こういう問題が起こった時の対処の仕方もわかってきた。
今では僕以外の責任者が二人もいるから、今後はシェクリィさんとジンガさんだけでも村を上手く回せるはずだ。
というわけで僕らは、また新たな村へ行き村人を集めることにした。
周囲にはまだまだ小さな規模の村がある。
もし困っているようなら、彼らをまるっとツリー村に連れてきてしまいたいところだ。
でもやっぱり、説得とか大変そうだよなぁ。
時間がかかるようなら何回か往復しようかな。
そう、思っていたんだけど……。
「「「是非とも我らをツリー村に連れていって下さい!」」」
「え、えぇ……」
ランさん達に案内されて近くの村に行ってみると、なんと周辺の村の代表者達が集まっており、ものすごいスピード感でツリー村に入れてくれるよう頼み込んできた。
最初は勢いが凄すぎるせいでちょっと引き気味だった僕だけど、よく考えればやってきた目的は彼らを村に連れてくることだったので、何も問題はない。
こうして僕は二回目の遠征にして、周辺の村々を吸収することに成功したのだった。
けれど聖域ロードを作って村の人達を移動させている間に、また新たな問題が発生してしまった。
動いては轟音を立てて刺さっていく樹木。
そして突如として生まれる、村へ続く光の道。
そう、聖域ロードは……あまりにも目立つ。
謎の光る道を生み出している謎の村があるらしい。
そんな噂が、どうやらここら一体でどんどんと広まっているようなのだ。
その噂を希望にやってくる食い詰めた人達がやって来るようになった。
それは構わないし、むしろ村人が増えるからありがたい話だ。
けどその噂が下手に広まってしまったせいで、緑豊かなこの聖域を狙うために、砂賊達が顔を出すようになっているらしく……。
流石にこれは、領主としてなんとかしなくちゃいけない。
今のところ、交易をしているのが盗賊風情に遅れは取らない『白銀の翼』を雇えているランさん達だけだから、まだ問題は起こっていない。
けれど今後更に商人達を呼び込むとなった場合、盗賊による治安の悪化はなんとしても避けたい。
というわけで僕らは村の統合をシェクリィさんとジンガさんに任せ、再び砂賊退治をすることになったのだった。
今回は改めて討伐隊の隊長に任命したナージャ、そして彼女の部下になっているダンとメグ、彼らに付き従う元砂賊の兵士達を使って大々的に行ってもらうことにしよう。
今回も無事に終わってくれると嬉しいな……。
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