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大所帯


 僕がやったこと……というか、シムルグさんに事前に指示したことはたった一つ。


 事前に樹が移動したら、そこを聖域化してほしい。


 シムルグさんの了承を得れば、あとは簡単だ。


 樹木配置を使えば、距離が離れていても樹を移動させることができる。

 出発してからはツリー村からの方位を確認しながら動いて、村の位置を忘れないように気を付けた。


 ジンガさんからの許諾が出たら、事前に把握していた方位を間違えないように気を付けて、ツリー村にある大量の樹木をこちらの村目掛けて配置していく。

 シムルグさんに、樹を目印にして聖域を拡げてもらえば……あっという間に、村と村を繋いでくれる聖域の道――聖域ロードの完成というわけだ。



「お、おぉ……」


「砂漠に樹が生えてる……」


「しかも全部に、美味そうな果物が生ってる……ここは天国かしら?」


 ジンガさんの村人達が、聖域ロードを見て呆然としている。

 朝ご飯をまだ食べていないからか、何人かはだらだらとよだれを垂らしながら果物を見ていた。


 もちろん、食べてもらって構わない。

 こういうことがあっても問題ないように、向こうには大量の凍らせた果物を用意してあるわけだしさ。


 僕が許可を出すと、村の皆はおっかなびっくりフルーツをもぎ始める。


 なんでそんな腰が引けてるんだろうと思ったけど、ちょっと考えれば理由はすぐにわかった。

 そういえば彼らには僕が自動収穫で採ったフルーツをあげただけで、自分達で採らせてはいなかったのだ。


 今後は自分達で採る機会も増えるだろうから、今のうちに果樹と果実に慣れておいてほしい。

 そんな風に思いながら、もいだフルーツを食べている新たな村人達の姿を見つめていると、アイラがやってきた。


「そういえばウッディ様」


「なんだい?」


「こうやって聖域を伸ばすことができるのなら、そのままこの村を聖域にしちゃえばよかったんじゃないですか?」


「可能か不可能かで言えば、可能ではある。聖域ロードを残しておいて、両者の行き来をスムーズにするっていう手もあった」


「それならどうして……?」


「まあ簡単に言えば、何かあった時のことを考えてだね」


 この砂漠には、砂賊や魔物といった村人の皆の命を脅かすような危険がいくつもある。

 その中には多分、僕がまだ知らないようなものもたくさんあるはずだ。


 村を聖域にしてそれらが全て解決できるかと言えば、答えは間違いなくノー。

 もし以前のように砂賊が来たりしたら、僕らの目の届くところじゃないといいようにやられて終わってしまうだろう。


 それに離れたところに村があったら、何かあった時にすぐに対応することができないっていうのもあるし。

 自動収穫スキルでこっちの村のフルーツまで収穫してしまったら、わざわざツリー村に来てもらってフルーツをあげなくちゃいけないだろうから、この便利なスキルが完全に死んでしまうし。


 諸々のリスクやメリット・デメリットを考えた結果、彼らにはツリー村に来てもらうことにしたのだ。

 幸い、ジンガさんを始めとしてこの村の人達はツリー村とある程度交流がある人達ばかり。 きっと問題は起こるだろうけど、助け合いの意識が強い砂漠暮らしに慣れた皆なら、きっと乗り越えられるって、僕は信じてる。


 こうしてジンガさんの村はツリー村に吸収されることになった。

 その人数は合わせて三十一人。

 新たに入った村人と元から居た村人が四十人弱いるから元盗賊達も合わせると八十人を超える大所帯になってきた。

 よし、これで村人も増えて、笑顔ポイントがたくさん溜まるようになったぞ!

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