表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/167

エレメントマスカット


「まずこっちにあるのが、エレメントマスカットだね。盗賊を閉じ込めてた時に使ってたやつ」


「ウィンドマスカットが一番美味しいのである!」


 味は聞いてないですよ、シムルグさん。


 エレメントマスカットは、基本的に相手を拘束したり閉じ込めたりする時に使える。

 つるの耐久性がとにかく高く、鉄剣でもなかなか切れないくらいに中に繊維がびっしりなのだ。


 そして地面についている限り、樹もつるも果実も魔法の効果を発揮し続ける。

 ファイアマスカットは火を、ウォーターマスカットは水を、ウィンドマスカットは風を、アースマスカットは土を出す。


 基本的にエレメントフルーツには、どれにもこの魔法効果が基本スペックとしてついてくる。


 ちなみに魔法が出ているので、普通の人は近付けないくらい危ない。


 シムルグさんだから問題ないだけで、村人が採取しようとすれば傷だらけになるからね。

 なのでこの村でエレメントフルーツが採取できるのは、樹の影響を受けない僕、魔法で防げるアイラ、剣で魔法を切れるナージャの三人だけだったりする。


「この魔法効果は、大体どれくらい持続するんだ?」


「ここを聖域指定してる限り、永遠に」


「……ウッディすまん、どうやら急に耳が遠くなったらしい。もう一度言ってもらえるか?」


「うん、永遠に出るよ。植木鉢とかを使って地面から離してしばらくしたら止まるけど」


「え、永遠……もしかしてウッディは食料問題だけじゃなく、エネルギー問題まで解決できる可能性を秘めているのか……?」


 エレメントフルーツは聖域から魔力を吸収できるおかげで、延々と魔法を出し続ける。


 やり方によっては固定砲台みたいな感じで使えるとは思うんだけど……今のところ無軌道に周囲に魔法をばらまくだけだから、危なくて使えたものじゃないんだよね。


「そういえばナージャ、エレメントマスカット食べる?」


「え、食べれないって話じゃなかったか?」


「実はしばらく放置したら、食べられることがわかったんだ」


 最初に作った時は、エレメントフルーツは食べられないとばかり思っていた。

 けど実をもいでから大体三日くらい経つと、魔力が抜けて普通に食べられるようになることが判明したのだ。


「これがファイアマスカットだな。燃え尽きたレーズンみたいになっているやつ」


 僕が頷くと、ナージャはパクリとファイアマスカットを口に入れた。


「ふむ、これは……レーズンだな。でもちょっとクセが強い、か……?」


 もぐもぐと咀嚼するナージャに合わせて、僕も一粒口に入れる。

 味はナージャが言っている通り、若干癖が強い。

 だけど甘味が強くてフルーツとしての風味も残っているから、普通に食べられる。


「これはこのままドライフルーツとして売るのか?」

「それはできないんだよねぇ。ほら、こうすると……」


 僕はファイアマスカットの粒を、近くにあるファイアマスカットの樹に近付けた。

 すると火が燃え移り……そのまま燃え続ける。


「こんな風に魔力が近くにあると、勝手に吸い取って燃え出しちゃうんだ。一回火がついたから、大体三日くらいは火が点いてる状態かな」


「み……三日ッ!?」


 エレメントフルーツは、ドライフルーツの状態でも魔力に反応して勝手に魔法効果を発揮させてしまう。

 だから魔力のある人間が持ったり、魔力の濃い場所に行ったりすれば、下手すれば怪我人が出てしまう。


 多分だけどエレメントフルーツは、魔力を込めることで効果を発揮する――一種の魔道具なんだと思う。

 もし売るのなら、魔道具の取り扱いに長けているような魔道具商人や魔法使いの人達に限定しないといけないね。

【しんこからのお願い】

この小説を読んで

「面白い!」

「続きが気になる!」

「応援してるよ!」

と少しでも思ったら、↓の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!


あなたの応援が、しんこの更新の原動力になります!

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ