備え
僕は樹木配置でとりあえず無造作に拡げていた果樹園を、パパッと整頓することにした。
ぶっちゃけなんとかしようとは思ってたんだけど、面倒だから放置しちゃってたんだよね……。
元から植えていた木々を植え替えて移動させるのが面倒だったから、今はブドウ園の中にリンゴがあったり、ウィンドマスカット園の中に戯れに入れたウォーターマスカットが入っていたりと中々に雑多な状態だ。
まずはこれをしっかりと整理していくことにする。
細かい果樹ごとの区画整理なんかは後でするとして、まずは色んな種類の果樹が入り交じっている現状をなんとかしなくちゃ。
まずは果樹のエリアを決めていく。
ここがリンゴ園、ここが桃園、ここが柿園……って具合にね。
今果樹園があるのは、桃・リンゴ・梨・桑・柿・栗・ブドウの七種類。
ここにシムルグさんの居住区域にまとめて植えているエレメントフルーツ園を足した八つが今の村の果樹園だ。
圧倒的に数が多いのがブドウ園で、次が桃園とリンゴ園、後の四つは大体横並びでエレメントフルーツ園が一番規模が小さくなっている。
村の大きさは変わらないけれど、僕が植えられる樹の数は増えていく。
というわけでとりあえず、村を囲むように放射状に果樹を配置することにした。
もちろん村人の皆が圧迫感や閉塞感を感じないよう、木々の間にはしっかりと余裕を持たせてある。
ちなみにブドウ園だけは、村から少し離れたところに置いている。
ブドウは低木で、つるもどんどん伸びていく。
幅を取ったとしてもどうしても移動の邪魔になってしまうので、今後低木が植えられるようになった時は似たような対処をしていくつもりである。
さて、種類ごとに樹木を並べるとずいぶんとすっきりした。
とりあえず最低限ぶどう園だけがたんこぶみたいに飛び出ている現状はなんとかできたし、見栄えもそこまで悪くなくなったぞ。
そして屋敷の裏にあるシムルグさんの居住地域も、他の木々をカモフラージュで植えておくことで、より周囲から見えにくくなった。
ここに更に樹結界を足せば、防音も完璧。
シムルグさんがどれだけ奇声を発してもそれが誰かに届くことはないし。
僕も誰にバレることもなく、エレメントフルーツの開発に勤しむことができるというわけだ。
「……というわけで、備えることにしました」
「……ウッディ、すまない。何がというわけなのかが、私にはさっぱりわからないんだが……?」
何事も、思い立ったが吉日。
僕は早速、有事の際の備えとして、何かあった時には陣頭で指揮を執ってもらうであろうナージャに、今まで開発してきたエレメントフルーツを見せることにした――。
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