樹木配置
再びランさん達に砂漠の旅に出てもらっている間に、今度は植樹レベルを上げることに重点を絞ることにした。
エレメントフルーツ作りをしても、いまいちこれだという商品が出てこないので、ちょっと休憩することにしたのだ。
自動収穫の頻度も少し減らし、空いている人達にはフルーツティー・リセンブルの素を作ってもらいながら、とにかく樹を植えていく。
目下次の特産品として作ろうとしているのはワインなので、ブドウを重点的に植えていった。
おかげでブドウの果樹園だけが、明らかにデカくなってしまった。
果樹園は生活領域に入らないように村の外側に散らすように並べていたんだけど、ブドウを植えすぎたせいでちょっと出っ張っちゃってる。
このままブドウ園だけでかくしていくと、村の形まで変わっちゃいそうだ。
今後のことを考えると……ブドウ園用のスペースを別に取ったりした方がいいのかな?
そんなことを考えながら樹を植えること、一週間ほど。
とにかく樹を植えることに専念していたおかげで、無事植樹レベルが上がってくれた。
『植樹量が一定量に達しました。レベルアップ! 自動植え替えスキルの機能が解放されました! 樹木配置スキルを獲得しました!』
「うん、また新しい力が手に入ったよ。今度は樹木配置だって」
「さすがウッディ様です!」
「ウッディは一体、どこへ行こうとしているのであるか……?」
今僕らがいるのはシムルグさんの要請で作られた、ウィンドマスカット園だ。
位置的には、僕が住んでいる大型のハウスツリーの真裏になるね。
――ここは現在、シムルグさんのくつろぎスペースになっている。
こうやって話していると普通に気の良い紳士なのだが、何分シムルグさんは神鳥だ。
この場所を聖域にしてくれた恩人……というか恩鳥なので、彼を見た村人達は皆、シムルグさんを神のように崇めている。
会えば涙を流したりひれ伏したり……といった感じで。
どうやらシムルグさんはそんな風に神の如く扱われるのが嫌いらしく、彼が人目につく場所に出る機会はどんどんと減っていった。
でもさ、折角の恩をそんな息苦しい生活をさせて仇で返すっていうのは嫌じゃない?
ちょうどそんな時に、交配スキルでエレメントフルーツが作れるようになった。
だからウィンドマスカットを気に入ってくれたシムルグさんに、僕の家の裏に作ったウィンドマスカット園をプレゼントしたのだ。
皆にはそこがシムルグさんの住処だと教えたから、むやみに入ってくる人はいない。
おかげで今は、快適なぐーたらライフを楽しめているらしく、最近は態度も前より肩肘張らない感じになってきた気がしている。
神鳥としてずっと気を張って生きてきたんだろうし、ゆっくりと休んでくれたらと思いますよ。
あ、ちなみにシムルグさんの許可を得た上で、この場所を僕のフルーツの試作場としても使わせてもらってもいる。
基本的には彼が好きなウィンド系のフルーツを作りながら、他のエレメントフルーツを試している感じだね。
エレメントフルーツはちょっと派手すぎるし、下手に採集されたりして事故が起こったりしても困る。
おまけに武器に転用できそうなものも多いので、おいそれと人目に付けるわけにもいかないのだ。
「で、その樹木配置とは一体どんなスキルなんですか?」
「もちろん僕もわからない。だから今から試してみるのさ」
アイラに言われ、僕は樹木配置のスキルを発動させる。
すると僕の目の前に……いきなりこの村全体の立体的な地図が現れた!
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