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武装


 ランさん達が出て行くのを見送ってから、ふぅと一息つく。

 本当なら僕が余所の村に行って植樹をしていった方が手っ取り早いのかもしれないけれど、この村の人達のことも考えると、今僕がここを離れるのはまずい。

 元盗賊の人達が叛乱なんかも起こらないとは限らないしさ。


 僕は自分でいうのもなんだけど、何かを急速に進めたり、いくつもの作業を並行して行ったりすることがあまり得意ではない。

 なので一歩一歩地盤を固めてから、次のことをできたらと思っている。


「次は何をするのですか?」


「そうだなぁ……植樹レベルが上がるまでにはまだ時間がかかりそうだし、まずはいつも通りエレメントフルーツ作りをやっていこうかな」


 これは嬉しい悲鳴ではあるんだけれど、僕は果物を腐らせることがなくなった代わりに、なかなか植樹レベルが上げられないようになってしまっていた。


 ちなみに今の僕の植樹ステータスは、こんな感じ。




植樹レベル 6


植樹数 35/100

笑顔ポイント 22(4消費につき1本)


スキル 自動植え替え 交配 自動収穫 収穫袋


 

 ここ最近、大体得られるポイントの数は安定してきた。


 村人一人につき一日1ポイントとちょっとで30ポイント。

 元盗賊達一人につき一日2ポイントとちょっとで30ポイント。

 アイラとナージャから一日5ポイントで10ポイント。


 これらを合わせた70ポイントが、今の僕が日ごとに得ることのできる大体の笑顔ポイントになる。


 ……そう、何故だか村人よりも元盗賊達の方が笑顔ポイントが高いんだよね。

 なんだか最近、彼らが僕を見る目が宗教じみていてちょっと恐怖を感じる……。


 忠誠が高いのはいいことなんだろうけど、間違った方向に進んでいるような気がしないでもない。一体何をやったんですか、シェクリィさん……。

 ポイントが手に入るし、細かいことは気にしないようにしているけれど、今度一回オハナシをしなくちゃいけないかもしれないな。


 ――おっといけない、話を戻そう。

 自動収穫をすればいいペースは朝・昼・夜の一日三回。

 僕が植えた果樹は新陳代謝がかなり活発なので、これより減らすと果物が地面に落ちてしまう。

 そして聖域の浄化作用によってあっという間に腐って大地の肥料になっちゃうから、フルーツを無駄にしないようにするためには、これ以上自動収穫の使用を減らすわけにもいかないんだよねぇ。


 つまり僕が使えるポイントの数は大体40ポイントしかない。

 僕が自由に使えるポイントというのは、案外少ないのだ。


 聖域にしているおかげでこれ以上世界樹を植える必要もないし、果樹園を拡げる作業もある程度は終わったので、果樹を増やす必要は現状ない。


 なので僕は今、この40ポイントを使って交配をしながら、色んなエレメントフルーツを作っている。

 エレメントフルーツは間違いなくこの村の特産になるから一番力を入れている。


 ただこれはちょっと普通ではないし僕の素養にも関わってくる部分なので、なるべく信頼できる商人さんに託したい。


 いずれランさん達としっかりと信頼関係を築けたら、その時に教えようと思っている。

 人を選ぶとはいえ、特産品になりそうなものだしね。


 その時は、アイラの素養についても詳しく話すつもりだ。

 アイラは水魔法で氷を作ることもできる。

 彼女がしっかりと魔力を込めて製氷すれば、砂漠地帯でもかなりの間残る氷を作ることも可能なのだ。

 果物を生のまま運ぶことも、氷菓なんかも製品として出荷できることも決して無理じゃない。


 ただエレメントフルーツ作りはそこまで時間がかかるものじゃないので、空いた時間はドライフルーツの試作品を作ったり、皆の様子を見て回っている。

 村人達にもやってもらっているから、そこで色々意見交換をしながら模索中だ。


「よし、じゃあ今日は――ファイアマロンから」


 結論だけ言うと、ファイアマロンは普通に焼いた栗だった。

 悪くはないんだけど……普通に採集した樹を焼いて食べた方が美味しい気がする。


 けどファイアマロンは、一定の時間が経過すると勝手に栗が弾けてくれる。

 これはいざという時に、武器として使えそうだ。


 ……エレメントフルーツって、食べ物としてというより武器や罠として使えるものの方が多いんだよなぁ。

 果たしてこれでいいんだろうかと、正直思わなくもない。


「武装フルーツ国家を目指しましょう、ウッディ様」


「何、その物騒なのかメルヘンなのかわからないネーミング!?」


 アイラと一緒にふざけているうちに、お昼になった。

 食事を済ませたら、次はドライフルーツ作りだね。


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