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遠くで

「しょ、植樹ステータス……?」


「ウッディ様がストレスに耐えかねて、とうとう世迷い言を、よよよ……」


 泣き崩れる(演技をしている)アイラには反応している余裕はなかった。

 妙にカクカクしたフォントで記されている新たな文字列が出てきたからだ。



植樹レベル 2


植樹数 0/5

笑顔ポイント 2(4消費につき1本)

スキル なし


 意味がわからないものが沢山出てきた。

 これ、いったいどういうことなんだろう。


 素養の中には、わけがわからないものが多数存在するって話だけど……。


【『植樹』の素養はレベルアップに伴い、新たな力が増えていきます。使用者様には何本も樹を植えていただき、どんどんとレベルを上げていただくことをおすすめいたします】


 レベルが上がると新たな力が手に入る。

 そして今回手に入ったのが、自分の『植樹』の素養がどういうものなのかを理解するための力。


 そう考えてよさそうだ。

 この素養は、深く考えたら負けな気がする、

 とりあえず謎の案内に従っておこうっと。


「どうやったらレベルって上がるの?」


【レベルアップは植樹数が一定量を満たした段階で行われます。そして植樹を行うためには、笑顔ポイントを消費します】


 笑顔ポイントって何さ?

 わからないものの説明に、更にわからないものを足さないでほしいよ、ぷんぷん。


【失礼、これほど使用者様が物わかりが悪いとは思わなかったもので】


 ――って、よくわかんないけど自分の素養にけなされてる、僕っ!?

 なんで素養にまで悪口を言われなくちゃいけないのさ!


【冗談です、ウィットに富んだ場を和ませるジョークですよ】


 そんなのいいからさっさと説明してってば!


「ウッディ様がとうとうエア友達とお話を……大丈夫ですよウッディ様、私が一生養ってあげますからね」


 気付いたら悲壮な決意を固めていたアイラの目の前にまた新たな文字が。

 しっかりと見たかったので、ぐいっと近付いてしっかりと読んでいく。


【笑顔ポイントとは、人が使用者様へ対するプラスの感情を発露させた時に溜まるポイントです。たとえばそうですね……目の前のアイラさんの手をキュッと握って下さい。壊れ物に触れるように、そっと優しく、がポイントです】


 意味はわからないが、とりあえず言われるがままアイラの手を握る。


「ウッディ様……?」


【そう、そしてジッと目を見つめる!】


 僕とアイラの視線がぶつかる。


「は、はうっ!?」


 急に近付かれたアイラが戸惑っている。

 嫌がられてはいなそうで、一安心だ。


「なっ、なななななっ、なんですか急にっ!?」


 アイラは僕のことをからかうのは大好きなのだが、こうやって実際に近付くと照れてしまうことが多い。

 なんていうか……かわいいよね。


【そのまま好きだと伝えて下さい】


「好きだ、アイラ」


「……ぷしゅ~~」


 僕の言葉を聞いたアイラは、顔をゆでだこのように真っ赤にしてから、謎の奇声を発して倒れてしまった。


 ぼ、僕も気恥ずかしいんだけど……なんでこんなことをしなくちゃいけなかったんだろう。 けどその理由は、植樹ステータスを見ればすぐにわかった。


植樹レベル 2


植樹数 0/5

笑顔ポイント 9(4消費につき1本)

スキル なし



「笑顔ポイントが一気に7も溜まってる!」


【笑顔ポイントを溜めるのに、相手を笑わせる必要はありません。恥ずかしがらせたり、楽しませたり、喜ばせたり……プラスの変化を引き出すことができれば、それだけポイントは溜まっていきます。ちなみにポイントの多寡は思いの強さに比例します。アイラさんはあなたに好きと言われて、それだけ嬉しかったということですよ。愛されてますね、使用者様は】


 アイラが僕のことをそれだけ好いていてくれるのか……なんだか嬉しいな。

 今後とも、彼女が好きでいてくれるような主でいられればって思うよ。


 とりあえずこれで樹が二本植えられるようになったわけだ。

 それなら早速……と思っていたところでまた変化があった。


植樹レベル 2


植樹数 0/5

笑顔ポイント 11(4消費につき1本)


スキル なし


 ……あれ?

 笑顔ポイントって僕への感情で増えるって言ってなかった?

 アイラは気絶してるのに、どうしてポイントが増えるのさ。


【どうやら既に植えている樹……ここから遠方に植えている樹の方で動きがあったようです】


 僕が『植樹』の素養を使ったのは、まだ一度だけ。

 僕が婚約破棄をされることになった彼女に頼まれて、一回使ったっきりだ。

 ということは……ナージャがまだ、僕のことを?

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