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祝福


 家庭教師の先生に、以前こんな風に教わったことがある。


『素養を持つのは、貴族が貴族であるが故。平民が祝福の儀を受けたところで素養を授かることは極めて稀。ですから平民が祝福の儀を受ける意味などないのです』


 僕は以前、この先生の教えに疑問を持ったことがあった。


 この国の貴族達も、数百年前はただの平民だったわけで。

 だとしたら素養が授かる可能性が貴族と平民でそこまで大きく変わる理由はどこにあるのか。


 それを聞いた先生はキレてまともに答えてはくれなかった。

 そして僕はその答えを、数年越しに知ることになるのだった。






「まさかこんなに沢山の素養持ちがいるとはね……」


 自分だけのウィンドマスカット園を手に入れてご機嫌のシムルグさんに手伝ってもらいながら、片っ端から村人達に祝福の儀をしてみたところ、驚愕の事実が発覚した。

 なんと全体の二割強が、素養持ちだったのである。


 とてもではないが、この結果を見て平民に祝福の儀が必要ないとは言えないだろう。

 だとすると王国の貴族や王族達は、素養持ちの数を増やしたくなかったから、情報統制をしていた……そう考えるのが自然だろう。


「なんということだ……」


 僕と同じくらい、いや下手をすればそれ以上に、ナージャはショックを受けていた。

 そりゃあ先生から教わっていた嘘を吹き込まれていたとしたら、衝撃を受けるのも当然だ。


 けどまあ、悪いことばかりじゃない。

 聖域があるおかげで特にお布施なんかがなくともガンガン素養持ちを増やせる僕達にとって、これは朗報でもある。

 若干増した王国への不信感を除けば、プラスのことばかりだ。


 だって素養持ちが村に沢山いれば、それだけこの砂漠での生活を豊かにすることができるからね。


 『植樹』の素養がある僕がいれば食糧問題や居住場所の問題を解決することができたように。

 『水魔導師』のアイラが水問題を解決し、『剣聖』のナージャが盗賊を打ち倒してくれたように。


 さて、それじゃあ村人達にどんな素養持ちがいたのかを見ていこう。




「まさか私が『牧師』とは……聖教典をパラパラ見たことがある程度なんですが……」


 まず村長のシェクリィさん。

 彼は『牧師』の素養持ちだった。


 シェクリィさんのおかげで、これからはシムルグさんに任せなければいけなかった祝福の儀を自分達で行うことができるようになったぞ。


 迷惑かけ通しだったから、シムルグさんにはしばらくウィンドマスカット園でくつろいでもらうことにしよう。


「僕が……『水魔法』の素養を……」


 そしてシェクリィさんのいとこであるマクレー君は、『水魔法』の素養を持っていた。

 この砂漠では、水魔法使いの確保は何よりも重要だ。

 何せ水不足に陥った時には、水魔法使いの誘拐なんかも平気で起こるらしいし。


「もう二度と……この村を水不足にはさせません!」


 グッと拳を握りながらファイティングポーズを取るマクレー君。

 どうやら気合いは十分なようだ。

 とりあえず空いてる時間にアイラを派遣するから、是非水魔法を極めてくれたらと思う。


 マクレー君の年齢は、僕より一つ下の十四歳。

 まだ成人前だったが、普通に素養を授かることができていた。

 どうやら祝福の儀の年齢制限も、あまり意味のないルールだったみたいだ。


 この他に村人達が持っていた素養は


『剣士』

『火魔法』

『海賊』


 の三つだ。


 村人は合わせて二十六人で、素養持ちはうち五人。

 この調子で村を大きくすることができれば、それだけ素養持ちも増える。


 まだ村を一歩出れば魔物の脅威に晒される現状下、戦闘系の素養持ちが増えてくれるのはありがたい。

 ナージャとアイラが鍛えてくれれば、恐らくそう遠くないうちに皆戦力になってくれると思う。


 『海賊』の素養っていうのがどんなものなのかはわからないけれど……とりあえず彼女にもナージャの訓練を受けてもらおうか。

 どんなことになるのか、今からワクワクする。


 こうやってできることが増えていくのは、正直結構楽しい。

 僕も交配で色んな樹をかけあわせて、色々と試してみることにしよっと。


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