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まさかの収穫


「というかウッディ様……それ、大丈夫なんですか?」


 シェクリィさんが指さす先には、四つの属性を帯びてとても食物とは思えない異彩を放っているブドウ達がある。


「不思議なことに、なんともないんだよね。だからより怖いんだけど」


 なんとも摩訶不思議なことに、燃えているブドウを持っていても僕だけはまったく熱くないのだ。

 試してもらったところ、ナージャとアイラは普通に熱を感じていた。

 ちなみに薪に放り込んだら普通に燃え出したし、昨日の夜から一度も火は消えていない。


 多分素養で植えた樹だから僕には効かないみたいな話だとは思うんだけど……さすがの僕も、これを食べる勇気はない。


 というわけでもし何かあってもどうにかしてくれそうなシムルグさんに試してもらうことにしたのだ。


「うむ……まあ珍味というのもたまには悪くないか」


 ほとんど躊躇することもなく、シムルグさんはパクリと燃えるブドウを食べてしまった。


「ふむふむ……刺激的だが、まあまあであるな。初級火魔法程度の熱量はあるから、普通の人はまず食べられないであろうな」


「れ、冷静だ、さすが神獣様……」


 崇めるような顔をしているシェクリィさん。

 一つ食べて問題なさそうなことがわかったからか、シムルグさんは他の三つのブドウも食べ始めた。


 彼の様子が変わったのは三つ目の風のブドウ――ウィンドマスカットを食べた時のことだった。


「むっ! むむむっ、これは――っ!?」


「シムルグさん、大丈夫――」


「――美味! 美味なのであるっ!」


 バサッ!


 その美味さを表現するかのように、シムルグさんが翼を大きく広げる。

 どうやら本当に感動しているらしい。

 世界樹の実を食べた時に勝るとも劣らないほどに興奮しているように見える。


「ウッディ、このウィンドマスカットも定期的に作ってほしいのである!」


「え? ……まあはい、いいですよ」


 エレメントマスカットは燃えたり風が吹いたりと周囲に何かあるとちょっと面倒だけれど、村の外れに作る分には問題もないだろうし。


「ありがたい! ただ無償でというのもちょっとマズいので……それならさっき言っていた素養の授与を、神官系の素養持ちが現れるまで行う、という契約ならどうかな?」


「――え、いいんですかっ!?」


「うむ。このウィンドマスカット、風魔法が得意な我にとっては正しく天にも昇るような味がするのである。恐らくだがアイラ嬢もウォーターマスカットを食べれば我と似たようなことを言うと思う」


 なるほど、どうやらこのエレメントマスカット達は、魔法使い達に刺さるフルーツらしい。


 今のところはアイラとシムルグさんしか食べる人はいなさそうだから、他のエレメントフルーツを作るかはちょっと迷うところだな。

 盗賊を捕らえる用には使えたし、色々と使い道はあるかもしれない。


 でもなんにせよ、これで聖域の力をまた一つ利用できるようになった。

 というわけでひとまず、問題は解決だ。


 平民の人達の中にも素養を持つ人は数は少なくともいるって話だから、村人の人達の中にも素養持ちがいるといいんだけどなぁ。


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