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毒味


「お待たせしました」


「うむ、問題ないのである」


「神獣様とブドウを食べているとは……人生何が起こるかわかりませんな」


 会議場所に選んだシェクリィさんの家に行くと、彼は緊張の面持ちで身体を縮こまらせていた。

 パクパクとブドウをつまむシムルグさんはまるで家にいるようにリラックスしている。


「さて、それなら急いで終わらせちゃいましょう」


「うむ、こんなことにかかずらっている暇はないのである」


 僕らが話し合うのはもちろん、砂賊の処遇についてだ。

 不穏分子である彼らを殺さずに済む手はないだろうか。

 三人で知恵を絞れば、何かアイデアが出るはずだ。


「とりあえず畑仕事をさせるとか」


「たしかに水源ができたおかげで、麦も生育できるようになりました。けど……彼らちゃんとやる気を出してくれますかね?」


「それはたしかに心配だね。人の物を盗ることを生業にしてきた彼らが、まっとうな労働に励んでくれるようになるとは到底思えないし……」


 盗賊達を更生させるのは難しい。

 かといって無理矢理働かせようとしても、どこかで手を抜くに決まっている。

 人間自分に何かメリットでもないと、なかなかやる気を出せないものだしさ。


「更生させる、であるか……聖域の浄化作用を浴び続ければ、ある程度マシにはなると思うのだが……」


「浄化作用、ですか?」


「うむ。聖域には魔を祓うだけではなく、悪感情を取り払ってくれる効果もあるのである。もちろん根っからの悪人が、急にボランティアに目覚めたりはしないがな。通常は長い時間をかけて、徐々に清らかな心になっていくものなのである」


 どうやら聖域には人を改心させてくれるような力もあるらしい。

 けれど聖域単体ではの力はそれほど強くはなく、もし短期間で改心させようとするのなら『神官』や『牧師』、『修道女』などの素養を持つ人間の力が必要になるんだって。


 素養か……あ、そうだ。

 そう言えばシムルグさん、聖域があれば素養の授与もできるみたいなことを言ってたよね。


「うむ、神官系の素養持ちや『祈祷』持ちがいれば授与はできるのである。あと一応神獣の我もできるぞ」


「シムルグさん……なんでもできるんですね」


「うむ。だが正直神と対話をしなくちゃいけないので、やりたくないのである。神獣というのも、実は結構しがらみとか多いのだ」


「そうですか……それならとりあえず別の方法を探さなくちゃいけませんね」


 素養を持っている修道女や神官が、この村に流れついたりするまでは我慢するしかないか。

 一体いつの日になるのやら。


 ……やめやめ、辛気くさいことばっかり考えてたら気が滅入っちゃう。

 もうちょっと別のことを考えよう。


 何かないかな……とちょっと考えて思い出した。

 折角採ってきたし、あれを食べてもらうことにしよう。


 僕はポケットから、とある果物達を取り出すことにした。


「シムルグさん、これ食べます?」


「ふむ……って、それ本当に食べていいやつであるかっ!?」


 僕の手に乗っているのは燃えているブドウに膨れ上がったブドウ、中で風の渦が巻いているブドウになんかまっ茶色のブドウ……そう、四種のエレメントマスカットである。


 エレメントツリーとブドウを掛け合わせると、何故か魔法の込められたブドウができたのだ。


「これが食べられるか知りたいので毒味……もとい試食お願いできますか?」


「毒味! 今毒味って言ったのである!」



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