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交配

メンテナンスがあったので本日は今更新のみとさせていただきます。

引き続きよろしくお願い致します。


「うん、エレメントツリーは問題なく動いてくれたみたいだね」


 ゆっくり眠り朝になった僕は、ぐるりと村を回って結果を確認していた。


 僕が問題ないと言っていた理由はエレメントツリー――つまりはファイアツリーやウィンドツリーのような属性を持つ木々にあった。


 ハウスツリー以外に新たに手に入ったこの四属性を持つ木々の特性は、非常にシンプル。

 周囲の魔力を吸って、それを魔法にして放つというもの。


 僕らの村は聖域であり、世界樹とシムルグさんの魔力が満ちている状態になっている。

 そんな村の中にこのエレメントツリーを植えれば、周囲の魔力を吸って常に魔法が発動している状態になるのだ。

 おかげでぐるりと樹で囲んでしまえば、盗賊達は逃げられなかったってわけ。


「ただちょっと威力が高すぎるね、もうちょっと調整できるようにしなくちゃ」


「そんなことできるのか、ウッディ?」


 もし逃げられた時のことを考えて僕と一緒に気を張っていたナージャが尋ねてくる。

 その質問への答えは、もちろんイェスだ。


「今回は蔦をぐるっと家の周りに巻いたでしょ?」


「うん、それがどうしたんだ?」


「蔦からも魔法が出てたの、変だと思わなかった?」


「言われてみれば……たしかに。魔法が出るのは、樹だけじゃないのか?」


「僕も途中まで知らなかったんだけど、どうやら蔦も樹の一種みたいなんだよね」


 そう、どうやら蔦も樹の一種らしいのだ。

 けどもちろん、ただ植樹をしただけだと普通の樹が植えられるだけだ。


 じゃあどうやってエレメントツリーを蔦にしたのかというと、そこで僕が新たに手に入れた二つ目の能力、交配が関わってくる。


「交配……なんだかエッチな響きですね」


 いつの間にか現れて不穏な台詞を呟いているアイラがお茶を淹れてくれる。

 軽く唇を湿らし、一呼吸置いてから、説明を続けることにした。

 この交配の力は、簡単に言えば木々を掛け合わせることのできる力だ。


 実際に使って試してみようか。

 交配を発動っと。


【交配する一つ目の樹を選んで下さい】


 僕の目の前に赤のカーソルが現れる。

 とりあえず近くにあった桃の木を選択する。


【交配する二つ目の樹を選んで下さい】


 次は青のカーソルが現れる。

 今度は少し遠くにあるリンゴの樹を選ぶことにした。


【交配を行いますか? はい/いいえ】


 ここではいを選択。

 すると今までとはまた違う赤と青の光が凝集し、僕の手のひらの上に乗った。


 その見た目は赤と青が入り交じった、紫色の種だ。

 けれど不思議なことに、毒々しさは感じない。

 むしろ生命の力強さなんかを強く感じさせてくれる。


【ここに樹を植えますか? はい/いいえ】


 場所を指定してからはいを選択すると、手の上に乗った種がその場所へ吸い込まれるように飛んでいく。

 そしてピカピカッと光り……光が収まった時には、そこに一本の樹が生えていた。

 これが交配によって生まれた新たな樹――。


「そう、これが……モモリンゴの樹だよ」


「モモリンゴってなんだ!?」


「あら、ナージャは知らないんですね」


「その口ぶり……知っているのか、アイラ?」


「もちろん私も今初めて聞きました」


「だったらなんで知ったかぶりをするんだ!」


 モモリンゴの樹というのは、僕の造語だ。

 けどあながち間違いなわけでもない。

 その理由は、一時間後にはわかる。




「こ、これは……」


「なんだかものすごい違和感です……」


 シャクッと果実を食べるアイラとナージャ。

 甘くて美味しいフルーツを食べているっていうのに、二人は微妙そうな顔をしている。


 その理由はこのモモリンゴの樹に生っている果実にある。

 この樹になっている果実は四種類。


 桃味の桃

 リンゴ味のリンゴ

 桃味のリンゴ

 リンゴ味の桃


 である。


 僕が手に入れた交配の力は、簡単に言えば僕が植樹した二種類の樹木をかけあわせ、その特性を持った樹を植えることのできる力だ。


 桃とリンゴの樹をかけあわせたモモリンゴの樹だと、今までのような普通の果実に加えて、かけあわせた果樹の果実の味のするフルーツも作れるようになる。


 二人が微妙そうな顔をするのも、よくわかる。

 見た目は完全にリンゴなのに食べたら桃っていうのは、その……なんだか違和感がすごいからね。


 でもこれは単に色んな果樹を作る以外の効果もある。

 ブドウの樹と別のものを掛け合わせることで、特性を持った蔦も作れるようになったのだ。


 ここまで言えばわかるだろう。

 あの魔法が出ている蔦は、エレメントツリーとブドウの樹を掛け合わせて作った蔦なのだ。

 そうだな……エレメントマスカットと名付けることにしよう。


 なんにせよこの交配の力、まだまだ使い道がありそうだ。

 この後するシムルグさんとシェクリィさんを混ぜた会議が終わったら、もうちょっと色々試してみることにしよっと。

【しんこからのお願い】

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