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【第3巻6/10発売!】スキル『植樹』を使って追放先でのんびり開拓はじめます  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)


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冒険者ギルド


「……とまぁ、こんな感じだな。中は洞穴エリアやマグマエリアなどもあり、とてもじゃないが一日や二日で踏破ができそうな規模感じゃなかった。魔物の強さも浅層ならEランク程度で倒せるだろうから、かなり幅広く冒険者を呼び込むことができるはずだ」


「ふむふむ、なるほど……」


「あのドラゴンがどこから出てきたかはわからないが、あれがボスということもないだろう。恐らくだが下の方まで行けば、強力な冒険者達でも手こずるような強敵がわんさかいるはずだぞ」


「僕的にはそこまで強力な魔物は必要ないんだけどなぁ」


 でも報告を聞いている感じ、ある程度の冒険者を集められるくらいの集客力はありそうだ。

 この二日間ほどダンジョンに籠もり、戦い続けていたというナージャからの報告を聞いて、とりあえず満足する。


「これでギルドを誘致すれば、更に商機を見込んだ商人達がやってくることになる」


「商品が増えればそれだけ魅力も上がりますから、回り回ってウェンティの人口が増えることになるでしょうね」


「うん、多分だけど規模感だけで言うならこのマグロス火山の周りに作る村が、一番規模が大きくなるんじゃないかな。多分だけどそう遠くないうちに、村じゃなくて街になって迷宮都市になる気がするよ」


 ドワーフを勧誘するためになし崩しで手に入れることになってしまったダンジョン。

 ダンジョンって実入りも大きいけど、その分管理責任も大きくなるから、今からちょっと気が重いよ。


 ……でもあのままだと、ドワーフ達がどうなってたかわからないし。

 彼らの忠誠を得られたんなら安いものだと思って、頑張っていくしかない。


「とりあえずギルド誘致のための準備を進めていこうか。アイラ、ヴァルさん達を呼んできてくれるかな?」


「はっ、ただいま」


 僕らが今まで余所から積極的に商隊を呼び込むことができなかった理由の一つに、冒険者ギルドがなかったことが挙げられる。


 ――冒険者とは主に魔物の討伐などを請け負う、荒事特化の何でも屋のような存在だ。

 実力はピンキリだが、強力な冒険者は文字通りの一騎当千。

 高ランクの冒険者の中には貴族家の三男坊や訳あって家を出た貴族令嬢などもいるらしく、素養持ちも結構な数いる。


 そんな荒くれ者達に首輪を付け、彼らを統括しているのが冒険者ギルド。

 ギルドがしっかりと手綱を握って管理することで、彼らは治安を(そこまで)乱すことなく暮らしているのだ。


「ダンジョンがあったとわかれば、あいつらはすぐ手のひらを返してこちらにゴマを摺ってくるんだろうな……まったく嘆かわしい話だ」


「利益が出るとなればギルドの動きは速い。良くも悪くも彼らは、儲けや利に聡いところがあるからね」


 以前から冒険者ギルドの支部をウェンティにほしいという話は、王都にあるギルド本部へ何度か掛け合ったことがあった。


 けれど解答はあまり芳しいものではなく、今のところ誘致は全て失敗に終わっている。

 上手くいかなかった理由は簡単に言えば――ギルド的にまったく旨みがなかったからだ。


 そもそもの話、ウェンティにおいては冒険者向けの依頼が出されることがほとんどない。


 ツリー村もギネア村も聖域の力で守られているため、外に出なければ魔物被害に遭うこともないからだ。

 更に言うと本来であればこういった辺境を悩ませることになる賊に関してもなんら問題はない。

 聖域ロードを作った時に僕らを狙ってきためぼしい砂賊は全て潰しているし、サンドストームやダークエルフ達に定期的に砂漠を巡回してもらっているため、砂賊被害は驚きのゼロだ。


 それにうちの領内にいれば、どれだけ食い詰めても飢えで死ぬようなことはない。

 何も手に職がなかったり、事情があってまともに働けなかったりする人でも、彼らがしっかりと再就職するまでの間、食料を支給するくらいのことはしているからね。


 大量のウッドゴーレムがいるので、防衛戦力にも問題はない。


 そして、これが冒険者的には致命的かもしれないけど……砂漠の魔物は基本的に需要がないのだ。

 見た目もすごい地味だし、魔物も水分や栄養が慢性的に不足しているため、武具などの素材にすると強度が足りないかららしい。


 なのでウェンティの内側にそもそもの需要がなく、外にいる魔物も大した値段では売れないので需要がない。

 冒険者やギルドにとって金になるようなものが、ほとんどないのだ。


 けれど領主である僕の視点では、冒険者ギルドの支部がなんとしても作りたい事情があった。


 さっきも言った通り、冒険者は荒事関係の何でも屋だ。そしてその何でもの中には、隊商の護衛依頼も含まれることになる。


 僕らが冒険者に期待するのは、安価で使える護衛としての役目なのだ。

 砂漠を隔てて繋がっている各地と往復をするためには、護衛は必要不可欠だからね。


 大きな商会の中には専属の護衛を抱えている人達も多いけれど、今のところうちはそういった大店とは取引をしていないから。


 ちなみに少なくとも砂漠を越えてウェンティにやってきてもらうためには、Cランク程度の実力は必要になってくる。


 なので彼らがとどまれるような何かがあればいいとは、常々思っていたのだ。

 そんなところにやってきた、マグロス火山のダンジョン化。

 今後のことを考えると問題もないではないけど、今はそれよりこれでギルドを呼び込めそうなことを喜ぶべきだろう。

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