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砂賊への対応


「というわけでまずは、状況を教えてくれるかな」


「はい、といっても先ほど言ったものと内容からほとんど変化はございません。今日未明、謎の人物がこの街の周辺にやってきました。そこからシムルグさんに色々と調べてもらった結果、その人物が他の人員を連れてこちらへと向かってきているようです」


「身なりも宿す魔力も上質とは程遠い……恐らくは食い詰め傭兵や山賊の類なのである」


「なるほど……」


 どうやって誰かが来たことを察知したのかと聞くと、どうやらそれもシムルグさんがやっってくれたらしい。


 神獣様々だ。

 感謝の気持ちとして、獲れたての栗を上げることにした。

 栗の実は一つ一つは小さいけれど、その分数が沢山採れる。

 そしてリンゴなんかの強い甘みはないんだけど、上品な甘さがあるのだ。

 何個でも食べちゃえるような優しい味は、村の皆からも大好評だった。


「もぐもぐ……まだ砂賊達が来るまでには時間がかかるのである。今のうちにどうするべきかをきっちりと考えておくのが吉であるな」


「もぐもぐ……とりあえず私が突っ込んで全員斬り殺せばそれで解決ではないか?」


「いや、そういうわけにもいかないと思う」


 気付けばどこかから採ってきた栗を頬張っているナージャ。 

 かわいい僕の元婚約者は、無邪気な顔をして顔を綻ばせながら、ものすごく残酷なことを言っていた。


 けれど全員を殺してしまうだけじゃダメだ。

 彼らの後ろに親玉がいるかもしれないし、盗賊達にも横の繋がりみたいなものがあるかもしれない。

 僕は前に、マフィアは面子を潰されれば損得を抜きにして暴れ回るという話を聞いたことがある。


 倒すにしてもしっかりと前後関係とか黒幕とかを洗ってから倒せたらベストだ。

 けれど残念なことに、そういった側面からの回り道にナージャは致命的なほどに向いていない。


 僕も拷問や尋問の心得なんかはないんだよな、なんとかする方法はないだろうか……?


【『植樹』によるレベルアップを強く推奨致します】


 と考えていると目の前にキラキラと輝く光の板が現れた。

 素養のガイドが言っているんだから、とりあえずは脳死で言うことを聞こう。


 まだ植えていなかった柿の木をさくさくっと植えてから、とりあえず余っているポイントを消費するために世界樹をガンガン植えていく。

 するとすぐにレベルが上がった。


『植樹量が一定量に達しました。レベルアップ! 植樹が可能な新たな樹木が解放されます! 聖域の機能の一部が解放されました! 交配スキルを獲得しました!』



植樹レベル 5


植樹数 15/50

笑顔ポイント 98(4消費につき1本)


スキル 自動植え替え 交配




 よしっ、新たな樹とスキルが手に入ったぞ!


 でも……聖域の機能の、解放?

 シムルグさんがいるから、ここは既に聖域なんじゃないの?




「聖域の機能の解放、であるか」


 僕ではイマイチ意味がわからなかったので、まずはシムルグさんに聞いてみる。

 少し考えた上で、シムルグさんはこくりと頷いた。


「恐らく聖域の機能の解放ということは、ウッディの植えた世界樹の聖性が上がったことで、能力制限が解放されたということであろうな」


「もうちょっと易しく説明してくれ! 私にはまったく意味がわからないぞ!」


 ナージャの言葉に僕も心の中で頷く。

 けれど表面上は全てを理解しているような顔をしておいた。

 余裕のある態度を崩さぬことが、モテ男になるための秘訣だからだ。


「要は世界樹がくみ取れる魔力の量が増えたので、できることが増えたという認識で相違ないのである。恐らくは今までできなかったこと、そうであるな……素養の授与や浄化機能あたりが解放された、と考えるのが自然なのである」


「素養の授与ですか……たしかにできるようになるって言ってましたよね。オアシスができてからフルーツパーティーをしたことで、完全に頭から抜け落ちておりました。もぐもぐ」


 世界樹の実を頬張ってほっぺたを膨らませながら、アイラが頷く。

 うちの女性陣は、食べながら話す癖でもあるのだろうか。

 周り皆が食べているので、とりあえず僕も桃を手に取って食べることにした。


 しゃくしゃく……うん、美味しい。


 ――って、のんきに果物に舌鼓を打ってる場合じゃないよ!

 盗賊がこっちに来てるんだってば!


「問題ないのである。とりあえず今回は我が手を貸そう。直接的な加勢はできないが……我とナージャ嬢が力を合わせれば、事後処理で情報を取るくらいのことならわけないのである」


 うう、すみませんシムルグさん。

 神獣さんに頼りすぎるのはよくないとはわかってはいるんですが……。


「何、言ったであろう。我は既に神獣としてこの聖域に居着くと決めたのだ。我はウッディと同じく、ここに暮らす者達の安寧を守る必要があるのである」


「それなら私と一緒に戦うか? 神獣の力というのを、是非この目で見てみたいのだが」


「残念ながら、それはできないのである。少々事情があってな……我はこの現世で暮らす人々に、過度な干渉をすることを禁じられているのである。助言や間接的な手助け、聖域生成ならギリギリ許容範囲内……だと思うのだが」


 眉を顰めるシムルグさん。

 どうやら神獣の世界にも、色々とルールがあるようだ。


 今のシムルグさんには、おとぎ話のようにその力で悪しき魔物を討ち滅ぼす……みたいなことはできないということだった。


「あまり直接的な武力による助太刀はできないのである。今後も戦いの際、我を戦力としては期待しないでほしいのである。加勢することは、よほどの幸運が重なりでもしない限りは不可能だと覚えておいてほしい」


「もちろんです。これは僕らの問題ですから、僕らが解決しなくちゃいけないですし。色々と手伝ってもらっている現状で、これ以上のわがままなんて言えないです」


「ほっ……そう言ってくれると、肩の荷がおりるのである」


 シムルグさんだって、別にずっと僕らを助けてくれるわけじゃない。

 例えば世界樹の実に食べ飽きたりしたら、ここを去っていってしまうかもしれない。

 もしそうなってもこの村の皆を守れるように、僕ももうちょっとしっかりしないといけないな。


 というわけで今回はナージャが盗賊達を生け捕りに、シムルグさんが彼らから情報を引き出してくれるという運びになった。

 この二人がやってできないはずはない。


 僕は二人が帰ってくるまでに、もし今後砂賊が来たらどうすべきか、その対応策について考えることにした。


【しんこからのお願い】


大変お待たせいたしました、本日より更新を再開させていただきます!

今作の更新が始まったことを読者の皆様に伝えるためにも、


「面白い!」

「続きが気になる!」

「今日からまた読めるぞ!」


と少しでも思ったら、↓の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!


あなたの応援が、しんこの更新の原動力になります!


引き続きよろしくお願いします!

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