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頼りになる味方


 強力な耐性と無尽蔵の体力を持つ強敵な敵だと教えられていたからかなり意気込んで挑んだんだけど……実にあっという間に、討伐が終わってしまった。


 たしかに耐久は高かったけれど、身体が大きい分動きがそんなに速くなかったからね。

 正直、黒弾やエレメントフルーツの良い的だったし。


 でもここまで苦戦しないとは思ってもみなかった。

 これってやっぱり……僕らが強くなったってこと、だよね?


 伯爵の方を見ると、苦笑いであごをしゃくられた。

 彼が指示した先には、伯爵の寄子の貴族軍が控えている。


 ここにやってくるまでは僕のことを馬鹿にしていたり、内心で見下したりしているのが明らかにわかったはずの貴族達が、揉み手をしながらこちらに近づいてくる。


「い、いやぁ流石ですなぁウッディ殿は。まさかこれほどとは……」


「然り然り。しかしこれでコンラート家も安泰というもの」


「先ほど兵達が武装していたあれは……え、フルーツ? ……あれが?」


 伯爵の寄子である貴族達は、内心で冷や汗を流しているようだった。

 彼らもこんな風に一方的な展開は予想できなかったようである。

 まあ本人の僕ですら予測できてなかったんだから、当たり前だと思うけどね。


 でも皆に僕らの力を見せつける作戦は、思っていたよりも美味く機能してくれているようでよかった。

 少なくともこれで、トリスタン伯爵家の寄子の貴族達は僕に対しての態度を軟化させるはずだ。


 こちらにこわばった笑みをよこしてくる彼らから少し離れたところには、観戦武官としてやってきている男性がたの姿もあった。


 彼らは各地の領主から信頼されてこちらにやってきた、参謀や右腕が多い。

 中には領主の息子が参戦しているところもあった。

 彼らはひそひそと内密に話をしていて、何を言っているかわからない。

 なので耳のいいナージャに、話し声を聞き取ってもらうことにした。


『おい誰だ、生産系の素養だから弱いなどと言っていた輩は! あんなのどこからどう見ても、コンラート家の子息でしかないだろうが!』


『今すぐミリアリア様に報告しなくては……今後の鍵を握るのは、間違いなくウッディ殿だ』


『あの力がコンラート家に渡れば……王国の均衡が崩れかねんぞ! なんとしてでもコンラート家との仲を……』




「どうやら皆、ウッディの力を恐れているようだぞ」


「まあ、恐れられないよりはいいよね」


「違いない」


 二人で伯爵の下へと歩み寄る。

 流石と言うべきか、伯爵は狼狽した様子もなくポリポリと頭を掻いた。


「いやぁ、しかし驚いたよ。正直なところウッディ君に関してはあまりよくない噂も聞いてはいたけれど……所詮は噂ってことだね。こうして目の当たりにすれば、君がどれだけの力を持っているかはわかるよ」


 そう言って僕を見下ろす伯爵が、スッと目を細める。

 品定めをして冷静に価値を見定めようと観察している、商人のような目だった。


「魔導師軍団に匹敵するほどのゴーレム狙撃部隊に、爆発する果物による強力な武装……こと遠距離攻撃に関しては、ウッディ君のところの右に出るものはいないだろうね」


 伯爵には、僕とコンラート家の間のいざこざや、今後の展望についてなどの話も既に終えている。

 なので僕が父さんのところに戻ったりするようなことがないと理解しているため、恐れたり危険を抱かれたりはされていない。

 というよりむしろ、ホッとしている安堵の感情の方が強いみたいだった。


「君の力がコンラート家の手に渡っていたらと考えるとゾッとするよ。今でもナージャが抜けた分うちがやや不利なんだから、これ以上戦力増強をされていたら間違いなくうちは取り込まれてしまっていただろうね」


「お褒めに預かり、光栄です」


 価値を認めてもらえたからだろうか、細められていた目が戻り、普段の伯爵に戻る。


 伯爵からはは青い血を流す王国の上級貴族としての優雅さと、剣に生きてきた『剣聖』としての獰猛さを兼ね備えた、力強いオーラが発されていた。


「では、これからの話をしようか――ああ、安心してくれたまえ。ウッディ君に言うのはあれかもしれないが、コンラート家は少々周囲からの恨みを買いすぎているからね。少しつついてやれば、動きを止めることは簡単さ」


 これで今までひどい目に遭わされてきた分、一泡吹かせてやれそうだよ。


 そう言って笑うトリスタン伯爵を見て、僕はできれば今後もトリスタン伯爵とは敵対しないようにしようと、改めて思うのだった――。


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