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こっちも準備万端

「なんと、エルフが来るのよ!?」


 ギネアに説明をしに向かうと、ホイールさんはびっくりといった様子で四足歩行に戻った。


 驚くと、四足歩行に戻るんですね、ホイールさん……。


「はい、なんだか僕が世界樹を植えすぎちゃったのが原因みたいで、すみません……」


「まあ、気にする必要はないのよ。エルフ達が独占してきたものが余所に流れたから文句を言うなんてことが、ハナから筋違いに過ぎないのよな。それにどうせ聖域を作れば遅かれ早かれエルフにはバレてただろうし、むしろ色々と用意を整えることができたこのタイミングで来てくれたことを喜ぶべきなのよ」


「それは……たしかにそうかもしれません」


 もしまだ僕のウッドゴーレムによる防衛体制ができるよりも早くギネアの街にエルフ達がやってきていたら、下手をすればエルフ達に実力手段を取られちゃったりしていたかもしれないし。

 ミリアさん達の話を聞いていて思ったけれど、やっぱり亜人だろうがなんだろうが弱肉強食なのは変わらない。


 なんとも世知辛い話だけれど、僕らにだって力があるぞってところを相手に理解してもらわないと、そもそも交渉のテーブルにつくことすらできないのだ。


「とりあえず大量のウッドゴーレムを配置しましょう」


 ダークエルフのミリアさん達を受け入れることを決めてからは、なるべく基本的に余った笑顔ポイントはウッドゴーレムに使うようにしている。

 現在の僕の植樹ステータスは、こんな感じ。


植樹レベル 9


植樹数 565/800

笑顔ポイント 22000(4消費につき1本)


スキル 植木鉢 交配 自動収穫 収穫袋 樹木配置(改) 樹木間転移 樹木守護獣


 笑顔ポイントをここまで大量に残しているのは、いざというときにフレイザードウッドゴーレムを使うためだ。

 あれは一体出すだけで7000ものポイントを使ってしまうけれど、現状ナージャとアイラのツートップを除いた状態では、うちの領内での最強戦力である。

 それがポイント消費で出せるんだから、溜めておかない手はない。


 ただそのせいでレベルアップがかなり遅れてしまっているので、このエルフ問題にひとまずのケリがついたらレベルを10までは上げておきたいところだ。


「とりあえず威嚇の意味も込めて、大量のウッドゴーレムを出しておきましょう」


「うん。エルフ達は樹人って言われるくらいの樹木大好きっ娘。恐らくギネアとはそもそもの反りが合わないだろうから、色々とやっておく必要はあるのよ」


 ギネアはホイールさんが土属性を司ることもあって鉱業が盛んだ。

 現在はホイールさんが聖域として生み出してくれている石炭やコークスを原材料にして鉄鉱石の精錬を行っているけれど、後々生産量が増えてきたら木材も使用する必要がある。


 樹を守ろうとするエルフが樹を切り倒して鍛冶をするドワーフと仲が悪いというのは有名な話である。

 恐らくホイールさんも、あまりいい顔をされないとわかっているのだろう。


 少し悩んだけれど、外にずらっと並べるだけではただの威嚇になってしまうので、ギネアの村の中にウッドゴーレムを可能な限り配置していくことにする。

 もう既にウッドゴーレムには見慣れているため、村の人達も特に混乱することなく受け入れてくれたのは助かった。


 そして準備を整えながら、可能な限りウッドゴーレムを生産していると、エルフ達がやってくる前に植樹レベルが上がった。


『植樹量が一定量に達しました。レベルアップ! 樹木間転移のスキルの機能が解放されました! 樹木間転移が樹木間集団転移へと変化しました!』



 新たに手に入った力は、樹木間集団転移。

 これは今まで僕を入れて三人までしかできなかった転移における人数制限が大幅に緩和されているようだ。

 なんとこれに樹木守護獣の力を合わせると、ギネアの村人100人全員を瞬時に転移させてしまうことが可能であることがわかった。


 なので僕は大慌てで有事の際に皆が駆け込める巨大なハウスツリーを作り、その後受け入れが可能になるようにマトンに色々と準備をさせていた。


 そしてその下準備が終わったギリギリのところで、ギネアにもエルフの調査隊がやってきたのだった――。

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