03 チーム
とてもとても気まずいです。
微妙な空気に支配されている居間に今いるのは六人。
俺、リリシア、マユリ。
いわゆるチームアランと呼ばれる俺の家族たち。
モノカさん、ノルシェさん、アイネさん。
いわゆるチームモノカと呼ばれる俺の仲間たち。
「新メンバーのお披露目に来て、まさか朝からあのようなものすごいらぶらぶ場面を見せられてしまうとは」
普段は冷静なモノカさんが、とても複雑そうな表情を見せている。
戦士としてもリーダーとしても尊敬出来る彼女だが、思えばまだ10代半ば、やはりあのような場面は見られるべきでは無かった。
「ダメですよモノカ、新婚さんの家庭ではどんなに気を使っても使い過ぎることはないのですよって、あれほど口を酸っぱくして言っていたのに」
ノルシェさんは、真っ赤になって慌てている。
秀麗無双の騎士としてのリリシアを慕う彼女もまた勇敢な騎士だが、思えばまだ10代半ば、やはりあのような場面は見られるべきでは無かった。
「リリシアさんマユリさん本当にごめんなさい。 あんなにロマンチックで盛り上がっているところにお邪魔するつもり、なかったんです」
アイネさんは、申し訳なさそうにひとみを潤ませている。
元トップランカーとして名声を馳せた彼女もまた並ぶもの無き冒険者だが、思えばまだ10代半ば、やはりあのような場面は見られるべきでは無かった。
我が家の妻ふたりは、真っ赤な顔を伏せてぷるぷる震えて座っている。
一家の長として、チームアランのリーダーとして、
何よりもこの騒動の責任者として、
俺は、ひたすら頭を下げて、謝った。
「いや、アランさんが謝る筋では無いのです。 無粋にも良いところでお邪魔してしまってご夫婦の大切な愛の営みを台無しにしてしまった私たちこそが責められるべき」
ごめんモノカさん、まだ何も営んではいなかったのですよ。
何か同じことを考えてしまったのだろうか、一同一斉に無言に。
部屋中を、もやっとさせる何とも言えないその空気を、
スパっと払う、いつもの明るい声、
「朝から仲良しなんですねぇ」