第四話 不審者と情報と神様と
読んでね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
その女との一瞬の膠着状態から先に動いたのはーーーー僕である。
「三十六計逃げるに如かずってな」
そんな言葉を残して早々に立ち去ろうとするがそれは叶わない。
「………貴女は人間ですか?」
何と僕より後ろにいた筈の女がいつの間にかドアの前へと移動していた。人外かな?
「少しは人の話を聞きなさい?」
「え?不審者の言葉に耳を貸す人間居ます?」
「不審者………そう、そうなのね。あの子の事も、私の事も覚えていないのね」
何か言っているが小さすぎて聞き取れない。
「……何が目的ですか?お金ですか?ごめんなさい持ってないんですなので取って来ますではさようなら」
「何普通に戻ろうとしてるの?」
ちっ。この僕の早口で捲し立て逃げよう攻撃を見切るとは。
「三十秒以内で、お名前とご用件をお話し下さい」
「貴方は留守電か何か?まあ良いわ。えーっと…」
そう言って考え始める黒髪の女。その間に改めて見てみたが、こいつが僕のクラスに居ればワンチャン僕のストレスの原因になったやもしれん。
年は大体僕と同じくらい。身長は僕より大きい。ロングヘアーで髪を結んでいる。服は………何とも独特な服だ。シャーロックホームズが着ているような探偵風の服である。
端的に説明するなら怪しさ千パーセント。そんな事を考えて居ると、
「ああ、そうそう」
と、思い出したような仕草をとる。こんなに時間かかるとか大丈夫か?
「あの子をちゃんと見ていてあげて?」
「何故?」
「それは………教えられない。でも………見ていてあげて。お願い」
途端に今までの覇気が無くなり、おとなしくなる。
「お前はあの子の何なんだ?」
「それも………教えられない」
「そうか、じゃあこれで」
そして僕は再び足早に立ち去ろうとする。
「待って………」
「なるだけ見とくよ。但しそれで不審者扱いされたら警察にでもお前を突き出すからな?」
それを聞いた不審者は一瞬呆けた後、元の顔で、
「ありがとう………」
と、言うのだった。
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「何故了承してしまったのか?」
僕は階段を降りながら考える。それにあの不審者の前だと口調も変わるし、本当に謎だらけだ。
しかし、考えていてもしょうがないと思い、直ぐに考えることを辞める。僕は学習しない。この事がフラグになると分かって居なかったのだから。
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「疲れたわね………」
私は静かな屋上でそう言葉を漏らす。あの子の扱いは昔から難しい。良い子ではあるんだけど、何ともねえ。さて、と。情報は伝えたけれど、貴方は一体どうするのかしらね?
ーーーーーーーーーーねえ、神様?