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異世界転生幻想放浪記  作者: 灼熱の弱火 
堕ちた心と堕ちぬ心
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第80話 12階を目指す前に

 

「ああ~気持ちいい・・・。」

「ふぅ・・・これはいいですねぇ・・・・。」


 ダンジョン内でも日は傾き太陽の出番が終わる頃、リリアとレミィは平原にある一際大きい岩の上で、湯舟に使っていた。

 何故湯舟があるかと言うと、岩の上でディードが石壁(ストーンウォール)の魔法を変化させ四方を囲い込み、そこに水魔法を流し込み、リリアが紅玉の杖を使い温度調節に火魔法を使うという贅沢な魔法の使い方をしている。



「まったく・・・リリアはここがダンジョンって事を忘れているんじゃないか?。それに人使い荒いし・・・」

 湯舟から少し離れた所でディードは小言を言いつつも、彼女達の衣服を水魔法で洗浄し風魔法と火魔法で乾燥させていた。


「いいじゃない、こんなに綺麗な2人の美女の世話を出来るだなんてそうある事じゃないわよ。ちゃんと後でお礼もするし。」

「ディードさんすみません、こんな贅沢させて貰って。」


 レミィは顔だけディードのいる方に向け少し申し訳なさそうにしている。


「レミィちゃん、別に大した事じゃないんだ。あんまり気にしないでいいよ。」

「そうよレミィちゃん。私とディーの魔力は普通の魔法使いと違って、これ位の魔法は大した消費にならないわ。」


 リリアはこんな事気にしないと言わんばかりに軽く手を左右に振り、問題ないとアピールする。


「リリアは少し遠慮という物を覚えようか?。」

「遠慮を遠慮するわ。何時までも遠慮ばっかりしていると大事な()()を魔物にも兎にも奪われかねないからね・・・。」


 そう言うとリリアはレミィを見つめ微笑んだ。レミィは一瞬きょとんした顔だったが、やがて意味を理解し微笑み返した。


「そうですね、でも少しはいいんじゃないですか?前進しましたし?。」

「・・・考えておくわ。」

「ふふふ、ありがとうございます。」

「・・・?何の話だ?。」

「何でもないわよ、このエッチ。」


 リリアはそう言ってディードのいる方向にお湯を両手で掬って投げたのだった。



 簡単な食事を済ませ夜の見張りの順番となった。順番はレミィ→リリア→ディードの順番で先にディードがテントの中で眠っている。彼女達は何やら楽し気な会話をしていたが、やがてヒソヒソと話込みディードが起きる時間まで話は続いていた。



 ディードは唇に何かの感触を感じ目が覚めようとしていた。

 まだ少し微睡が続く中、甘く心地よい感触を味わっている。

(リリアがキスで起こしてくれているのか?いきなり大胆な事を・・・なら。)


 ディードはリリアの身体を両手で抱きしめ逃げられない様にした後、場所を強引に入れ替えさらに熱く口づけを交わそうと目を開ける。

 すると視界に入ってきたのは、真っ赤な顔で羞恥で震える兎の獣人だった。


「え!?なんでレミィちゃん?。」

「ああうううあああう・・・。」

 突然の事で固まるディードとレミィ。そこに入ってきたのは拳くらいの割と大き目の石だ。ディードの側頭部に当たり彼は痛みで藻掻いていた。


「ぐおおおお・・・・。」

「何やってんのよ2人して・・・レミィちゃんそれじゃお休みね?。」

 レミィは黙って何度もコクコクと頷き、ディードは耳を引っ張られたままテントの外に引きずられるように出てきた。


「・・・・このスケベ。」

「いや、だってさリリアだと思ったんだよ。ってかなんでレミィちゃんは・・・。」

 そう言うとディードは先程の感触を思い出したのだろう。だが言葉が尻つぼみに小さくなっていく、理由は隣にいるリリアの笑顔だ。今の彼女の笑みは嫉妬などの負の感情を抑え込みながらの笑みだ。

 やがてそれも飽きたのか諦めたのか、大きなため息をついてディードに話しかける。


「まぁレミィちゃんだから良いんだけどね。ただそのデレデレとした顔はムカツク。まぁ私が仕向けた事なんだけど。」

 リリアは頬を膨らませながら、ディードの頬を引っ張る。


なんでひょんなことほ(なんでそんな事を)?。」

「それは、私もレミィちゃんもディーの事が好きだからよ。それで背中を押してくれたレミィちゃんには特別にディーのに()()をする事を許してるの。」

ほれ(俺は)は物じゃないんだけほなぁ(無いんだけどなぁ)。」

「・・・うっさい。」


 リリアは抓っているディードの頬をさらに力を入れる。

 ディードは反抗する気がなくただただ顔を真っ赤にしているリリアにやられるがままだった。


 夜も更けて深夜を回り出したころ、2人はたわいもない話をしている最中、不意に耳からキーンと聞きなれない高音の音が聞えて来た。


「これは蝙蝠(コウモリ)の超音波か?。」

「そうみたいね。獲物を探していたみたい、返り討ちにしましょう。丁度さっきの魔法も試してみたかったし。」


 向って来るのは夜に紛れて獲物を探し1mはあるかと思われる大型の蝙蝠の魔物【大蝙蝠(ジャイアントバット)】だ。

 空から超音波を放ち獲物(ディード達)を見つけ急降下する魔物だ。

 リリアは紅玉の杖をかざし自分のイメージした魔法を魔力譲渡(マナトランスファー)に乗せ送り込む。

 紅玉の杖はそれに呼応するように赤く輝きを増す。


「行って【音速の炎(フレイムレイ)】」

 杖から発射された一筋の紅い光、それは炎を圧縮し高速で打ち出した言わばレーザーだ。その赤い光は一直線に大蝙蝠をいとも簡単に貫き、内側から炭化させていく。


「おーリリア成功したみたいだな、っと!。」

 ディードは襲って来る大蝙蝠に対し正面から刀で真っ二つに斬り裂いていく。


「そうね、イメージとしては成功なのかな?よくこんな魔法思いついたわね。威力は高いけど魔力の消費も高いわよこれ?」

「だからこそリリアしか使えない速攻魔法なんだと思うよっと。」

「そうね、これは硬い魔物とかに使えるから覚えておこうかしらね。」

「でも、出来れば他の魔法にしない?素材が全部炭になっていくんだけど?。」

「もう少し試し打ちしたらね。」


 襲い掛かる大蝙蝠に対し、高出力魔法の試し打ちでオーバーキルをし続けるリリア。

 襲ってきた7割近い魔物はリリアの手によって炭へと変化させられていった。


 交代の時間が来てリリアは少し眠そうな顔でディードに近づく。

「今度は襲っちゃダメよ。言ったからね。」


 ディードが返事をする前にリリアはディードの口を自分の口で塞いだ。

「・・・・それじゃお休み。」

 少し赤い顔をしてテントの出入り口をめくり上げると、そこには目を輝かせリリアが入って来るのを待ち構えるレミィが居た。


「ちょ!もう起きてるの?レミィちゃん。」

「はい!そろそろだと思って少し前に起きてました。どうぞこちらへ!。」

 手招きをし横に座れと言わんばかりにぽんぽんと地面を叩くレミィに、リリアは抗えず渋々と中に入って来る。

「あ、ディードさん少しだけ一人で見張りお願いしますね。」

 リリアを中に居れ、顔だけ出したたレミィはそうディードに伝えると再びテントの中に戻って行った。


「君達、俺で絶対遊んでいるよね?。」





 朝、朝食を取る3人、食べているのは白いパンに温かい野菜のスープ。

 ディードがアイテムボックスから取り出しそのまま食卓へと並ぶ。

「ああ、アイテムボックスは本当に便利だわ。」

「そうですね、こうして手間を要らずに温かくていい食事が取れるんですから。」

「たまにアイツ等(ファグとアイリス)につまみ食いされるんだけどな。」


 3人は朝食を済ませた後、12階へ降りる階段を探す。

 体感にして1時間程だろうか、3人は次なる階への道を見つけた。そして次の階へ進もうとした時に、レミィが突然待ったをかけられた。


「次の階、12階からは【草原狼(メドウウルフ)】が出ます。ですから一応確認したいのですが、私達は狼を討っていいのでしょうか?。」

 レミィから出された疑問は、狼の形をする魔物を討っていいかというものだった。

 レミィはファグからの加護を受けている。魔物とはいえ、姿形が似ている狼を討つには少し抵抗がある様だった。討てればいいのだが、もしダメだった場合今後の活動にも大きく影響を及ぼすと考えレミィはディードに問いかけている。

 ディードはその疑問に答えるべく念話でファグに問いかける。


『ってな事なんだけど・・・?。』

『気にすることはない、俺に眷属はいないし好きなだけやれ。それとお土産を期待している。どんな味か知りたいしな。」


『「喰うのかよ!。」』

 念話と同時に言葉でも突っ込みを入れてしまうディードであった。


もしよろしければ、ブックマーク及び評価を頂けると嬉しいです。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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