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異世界転生幻想放浪記  作者: 灼熱の弱火 
堕ちた心と堕ちぬ心
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第74話 リリアの本音

 

 ダンジョンを出たディード達、外は既に夜であり街には明かりが灯っていた。


「もう夜か・・・さすがに人は居ないな・・・今日も残業だなぁ。」

 ファリップがガックリと肩を落としギルドに進み始めた。


「お前達、今日はここで解散だ。明日の3の鐘(正午)が鳴る頃にギルドに来てくれ。その間に報酬を用意する。お疲れさ~ん。」


 軽い口調でファリップはそう言い残しギルドに向おうとする。だがディードは慌ててファリップを止めようとした。


「ファリップさん。すみませんお願いがあるんですが・・・。」

「ああ、リリアの事だろ?大丈夫だ。黙っておいてやるよ。つーか言っても誰も信じないだろう、安心してくれ。」

「すみません、助かります。どうかお願いします。」

 頭を下げ礼を言うディードに、少し困惑気味のファリップだったが、ディードの肩を叩き意地悪そうに耳打ちする。


「秘密の多い恋人を持つと大変だな。これから頑張れよ。」

「・・・え?・・いや・・ちがいます。」

「はは、照れるな照れるな。それにレミィもだろ?大変だな。頑張れ、そして明日ちゃんと来いよ。今日の夜頑張りすぎて寝不足で来るなよ?俺はこれから残業なんだからな?・・・・な?」


 そう言い残すとファリップは重い足取りの中ギルドに向かっている。

 途中、すれ違うカップルを睨みつけ、「一人身の俺はこれから残業なんだよ!」と叫びファリップは去って行った。




「それじゃ俺等も解散しよう。ガロンもそれでいいか?。」

「・・・・ああ。」

 その一言を残しガロンは去っていく。




「それじゃ宿に戻ろうか。」

「ええ。」

 返事をしたのはレミィだけでリリアはまだ俯いている。

 やはりあの計画を聞き未だに心の整理が出来ていないんだろう。



 ディード達は宿に戻ると簡単に夕食を済ませる。食事中ずっと俯いたリリアが重い空気を醸し出し無言で食事を終え、それぞれに部屋に入って行く。

(今日は色々と疲れたな・・・・だけど寝れそうにないな・・・これからの事を考えると落ち着かない、これからどう動くか・・・)

 ディードが物思いに耽っていると部屋のドアをコンコンとノックする音が聞こえた。

(だれだ?・・・こんな時間に?)


 扉を開けるとそこに立っているのはリリアだった。

「どうした?リリア眠れないのか?。」

 リリアは無言で頷く。そしてそのまま俯き黙ってしまった。ディードはそんな彼女を部屋に通しベットの上に座らせ、ディードは椅子に座る。


「眠れないだけじゃないだろ?何か話す事があるんだろ?。」

 リリアは黙って頷いたが中々話そうとしなかった。ディードを見つめて何かを話そうとするとまた俯くリリア。それを数度繰り返し、やがて意を決したのか重い口を開く。


「・・・あのね。パーティーから抜けようと「駄目だ。」・・え?」


 ディードの即答にリリアは驚く。


「どうせ今日の事で俺達に巻き添えを与えないように、自分から離れて行こうと思ったんだろ?。」

 リリアは考えを言い当てられ驚き、ディードに視線を向ける。


「だって私今までディーに素性を隠してたんだよ?騙してたんだよ?酷いって思わないの?。」

「え?あれで素性を隠してたのか?下手だな・・・。」

「え?知ってたの?。」


「知ってたと言うより予想が当たったって感じかな。・・・で俺達に迷惑が掛からないようにってか・・・それでリリアには何か当てがあるのかい?。」


 そう言うとリリアは再び俯き視線を落とす。

「無いわ・・・でも私はディーやレミィちゃんを巻き込みたくないの。」

「・・・で、贄の姫になる為に魔族の国に戻る?もしくは自害する?それとも一生逃げて生活するのか?。」

「どれも嫌!。私は生きたいの!自由に生きたいの!。」

「ならなんで一人になる?一人で逃げ切れると思うか?。」

「でも貴方達を巻き込みたくないの。どうしていいかわからないの、わからないのよ!。なんで私だけこんな辛い目に遭うの?嫌よ!ずっと一人だったの、やっと一緒に笑ってくれる仲間が出来たのに、なんで私の異母兄姉はあんなひどい計画を立てられるの?どうして?離れたくないの!でも貴方達を巻き込みたくないの。」


 両手で顔を覆い泣き始めるリリア、ディードはすすり泣く彼女を見つめながら傍によりベットに腰を下ろし頭を撫でる。

「心配するな。俺が守る。俺だけじゃないレミィちゃんもだ。皆で助け合って生きて行けばいいじゃないか。どうしても駄目だったら、ミリア村に戻ろうか?もし敵が攻めてきても母さんが遠くから精霊の弓で数減らせるし、それに姉さんだって・・・。」


「嫌よ!私のせいで村の人に迷惑かけるくらいなら死んだ方がましよ!。」

「・・・ならどうするんだ?。」

「わからないからこうやって悩んでいるんじゃない!助けてよ!。」

 そう言うとリリアは再び両手で顔を覆い泣きじゃくる。部屋の中にはリリアの無き語だけが木霊する。



 どれだけの時間が経ったのだろうか、短いようで長い時間が過ぎていく。ふと見上げると外には月が出ており、部屋に月の光が差し込む。ディードはすすり泣くリリアの隣で思考を巡らせていた。


(可能性は1つある。それは、ダンジョンコアを破壊する事によって起こる、肉体や精神の変化だ。封印もこれで解ける可能性もある。ただ確証はないから一度≪住処(バックヤード)≫へ言って確認を取りたいが、今の状況だと少し難しいな。とは言えこのままでは・・・ファグに念話で一応確認は取るか・・・。)


 ディードはファグに念話を試みる。

『ファグ、聞こえるか?』

『ああ、』

『相談したいことがあるんだが・・・。』

『わかっている、≪住処(バックヤード)≫に連れてこい。時が来たのだ・・・』

『え?時?何言っているんだ?おい。』

 思っても寄らない事を伝えられ困惑するディードは、ファグに念話で呼びかけるが反応が無い。一方的に切られてしまったようだ。


(≪住処(バックヤード)≫に連れて来いって・・・何考えてるんだ?俺は可能性があるかどうかを聞きたいだけだったのに・・・仕方が無いな。)

 ディードはリリアに一緒に≪住処≫に言って貰うべく問いかける。


「なぁリリア、ひとつ、ひとつだけ方法があるかもしれないんだが、それに賭けてみるか?。」


 リリアはその言葉に疑問を抱きディードに問いかける。

「・・・・方法?なんの?。」

「リリアは魔族で魔法が使えない封印が施されている。これは間違いないよな?。」

「・・・うん。何を今更?。」

「でもさ、リリア。魔力譲渡(マナトランスファー)は使える様になったよな?。」

「ええ・・何故か使えるようになったわ。」

「それはどうして?。」

「・・・?ダンジョンコアと破壊した時に何故か出来る様になっ・・・・え?まさか!。」


 自分の言葉にハッと気が付いたリリアはディードに詰め寄る。

 リリアはディードが住むミリア村の近くで発生したダンジョンを以前破壊している。

 その時彼女は魔力譲渡を発現させている事を思い出す。


「もしかしてダンジョンコアを破壊し続ければ、封印が解けるって事?。」


「ああ可能性はある、ただ確証が無いんだ・・・俺がコアを破壊した時は俺だけじゃなく、近くにいたレミィちゃんも力を得たようだし、あくまでも可能性なんだ。」

 あくまでも可能性を示唆するディード。だがリリアはそれでも小さな一筋の光を掴み取りたい一心だ。


「それでもいい、少しでも可能性があるならそれに賭けたい。私一人で逃げ回るよりずっといいもの・・・強い魔物だっているだろうし、楽な道じゃないのも分かっている。」

 先程まで流していた涙を拭い決意するリリア。その姿を見たディードは微笑みリリアの頭を撫でる。


「ただ確証は無いんだ。それでなリリア、今からそれが出来るかどうかをわかる人物に会いに行くんだが・・・・一緒に来てくれるか?。」


「勿論会いに行くわ。今からでも話を聞きに行きましょう。私準備してくる。」

 そう言ってベットから立ち上がり、部屋を出て行こうとするリリア。それを止めようとディードは彼女の手首をつかんだ。


「待って、ここでいいんだ。リリア・・・頼みがあるんだ。」

「頼み・・・?私に出来る事なら。」



 ディードはリリアを見つめながら一呼吸間を置いて話す。


「俺と一緒に寝て欲しい。」




 少しの沈黙の後、部屋に一発のビンタの音が鳴り響いた。

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