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異世界転生幻想放浪記  作者: 灼熱の弱火 
堕ちた心と堕ちぬ心
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第72話 ディードの力

「私を実験台にだと?笑わせる、たかがエルフは知らぬが私の魔法と拘束を解いたぐらいで粋がるな。」


 ゾクマはディードをまるで足元にいる蟻でも見ているかのような目をする。

 生殺与奪権はこちらにあり、粋がるなと言わんばかりに嘲笑う。


「ああ、俺が不甲斐ないせいで大事な仲間に酷い目あってね。それに2度も麻痺を喰らうという失態を犯して、今すっごく気分が悪いんだ。そしてこの魔武器に似せたミミックを作ったのもお前だろ?他の冒険者の代わりにってのもなんだけど、せめてお前の悲鳴と懺悔ぐらいは聞かせたくてね。」


「粋がるな小僧!」

 ゾクマは再び左手から肉の触手をディードに向けて放つ、その数は先程リリアを拘束した倍くらいの触手がディードを襲う。 しかしディードは臆することなく逆にそれに立ち向かい刀で切り刻む。さらにゾクマの懐に入り。斬り上げるように刀を滑らせる。それに驚いたゾクマは仰け反るような形で辛うじて回避し後方へと飛ぶ。


「小僧!ギロンの時は手を抜いていたのか。冒険者()の癖に中々素早い。」

「元々殺さずに確保するつもりだったんだ。しかも防御していれば勝手に弱ってくれるし、弱り切った所で剣を壊そうと思ったんだけど、これも失敗でね。後悔ばかりだよ。お前も出来れば生け捕りにしたいけど?。」


「ぬかせ!!。【氷の槍(アイスランス)】」

 怒ったゾクマはディードに向けて氷の槍を4本撃ち込む。それに対しディードは足を軽くあげ地面を踏み込む。するとそこから石の壁が出来あがり氷の槍を防ぐ。その一連の動作にゾクマは驚いている


「ば、馬鹿な!私の氷の槍を無詠唱の石の壁ごときで防ぐとは・・・小僧お前何者だ?」

「ただのハーフエルフの小僧だよ!。それと『時雨(しぐれ)』仕事だ。」


 ゾクマが驚いている隙にディードは彼に一気に詰め寄る。刀に魔力を込めるとそれに呼応したのか、刀は光を帯び刃先に小さな火の球を生み出しゾクマの左腕を狙う。


「喰らえ、『焔斬り(ほむら)』!。」

 (ほむら)斬りと呼ばれた技は、先端に小さな火の球を生み出しながらゾクマの左腕を斬り上げる。斬った腕の先には火の球が腕に纏わりつき腕を焼き始める。


「ぐあああ!。」肘から下の腕が落ち、思わず声をあげ苦悶するゾクマ。自分の腕を焼いている火の球を振りほどこうと振っているが火はしっかり腕に纏わりつき焼いている。ゾクマはたまらず自分の焼いている腕ごと氷の魔法で凍てつかせる。


「貴様!。ただのハーフエルフでは無いな!」

「うん、出来た出来た。上出来だよ時雨(しぐれ)。思っている以上に魔力が通るからイメージ通りに魔法を使いながら刀を振るう事が出来る。いい相棒だ。」


 ゾクマはディードを睨みつけるが、本人は刀の性能に満足をしており話など耳に入っていなかった。 


 無視され激怒するゾクマはさらに氷の魔法を放とうとしていた。

 その数は先程よりもかなり多く、形状も槍ではなく矢のような形をしている。

「凍てつかせ!氷の矢。」


 無数の氷の矢がディードを襲う、だがディードはそれに臆す事無く正面から石の壁を作り出す。


「馬鹿め、この氷の矢の数で防ぎきれる訳が無かろう。一点集中で砕いてやる!。」

 氷の矢はゾクマの言葉通り、石の壁の一点を集中しながら突き刺さり少しづつ砕いていく。やがて石の壁は防ぎきれず倒壊する。その姿に自分の魔法が上回った事が良かったのか、笑みを浮かべ更に魔力を込めながら氷の矢を放つ。だがゾクマの笑みは石の壁が消え去るのと同時に消えた。何故ならば石の壁が倒壊したその先には、一回り小さい炎の壁が氷の矢で防いでいた。


「ダ・・二重魔法(ダブルマジック)を無詠唱・・・・だと・・。」

「いや、三重魔法(トリプルマジック)だ。」


 ゾクマは声のする方向に振り向いた時、目の前には黒い物体が彼の顔に迫っていた。

 それはディードが死角から放った蹴りだ。彼は魔法で二重に壁を作りその背後で風の魔法、風圧(ブロウ)ゾクマの距離を詰め、彼の顔を目掛け蹴りを放つ。

 そしてディードのアントブーツがゾクマの顔に直撃する。


 ふごおおおお、と声を上げながらゾクマは吹き飛ばされ二度三度と地面に打ち付けられる。



「ば、馬鹿な。三重魔法だと。ありえぬ!在り得ぬ。魔法に長ける魔族でさえ、三重の魔法を無詠唱で放つ事が出来るのは極一部。貴様なんぞに撃てるわけがなかろう。」


「信じる信じないは結構だ。それとも泣き言を言って駄々をこねれば手抜きしてくれると思っているのか?。」


 ディードはそう言うと、すぐ近くにいるうつ伏せで倒れているレミィを抱き上げる。するとそのままディードは彼女に意識を向け魔法を唱える。


「彼女の戒めを解き放て『抗麻痺(アンチパラライズ)』」

 抱きかかえられる状態の彼女にディードは魔法と放つ。仄かに温かい魔法がレミィを包み込み麻痺を取り除き、口を開く。


「ディ、ディードさん。」

「大丈夫?レミィちゃん。ごめんね直ぐに助けてあげられなくて。」

「い、いえ・・・助けてくれてありがとうございます。」

 間近で心配そうに顔を覗き込ませるディードにレミィは少し頬を赤く染め上げる。


 レミィは立ち上がりゾクマに対し双剣を向け臨戦態勢に入ろうとした。だがディードに手を添えられ首を横に振られる。


「何故です?。」

「悪いけど、リリアとファリップを守って欲しいんだ。俺やらせて欲しい。」

「わかりました、気を付けてください。」


 レミィはディードに言われた通りにファリップの護衛とリリアをこちらに呼び寄せるように手招きをする。しかしリリアはその手招きを少しだけ戸惑っている。何故ならば魔族と言う事を隠していたリリアは悪いタイミングでバラされレミィに嫌われたのでは?と思っているからだ。だがレミィは笑顔で招き寄せる。


「リリアさん。貴女が例え魔族でもどこの王女様でも私は構いませんよ。それに私の命も救ってくれたじゃないですか。隠していたことが何であれ私は嫌いなんかなりませんよ。仲間じゃないですか?」


 戸惑ったリリアの心情を察したのか、レミィは彼女にそう話かける。

 リリアはその言葉を聞いて胸の奥からツンと込み上げるものを抑えきれず、涙を浮かべながらレミィに抱き着いた。


「ごめんねごめんね今まで隠してて、いつかいつか話そうと思ってたの。」

「私なら話してくれる時まで待ってましたよ。それに・・・いえ、今はそれよりファリップさんを護る事がお仕事です。あの敵はディードさんが倒してくれます、必ず。」

「うん・・・そうだね。ここから出たら絶対に話すね。」

「ええ、必ず。」







「くそ、ありえぬ絶対にあり得ぬ・・・・。」

 そう何度も呟きながらゾクマはディードを睨みつける、彼はゆっくりとゾクマの方へを歩いてくる。その1歩1ぽがゾクマの死のカウンダウンを彷彿させるようにゆっくりと・・・。


「お前は一体何者なんだ!『暴虐の瞳(ぼうぎゃくのひとみ)』。」

 魔法を唱えるとゾクマの右目が怪しく光る。彼はディードのどこかに付け入る隙が無いか調べる者だった。だがゾクマはさらに驚愕し自分自身を混乱に陥れる。

 怪しく光った右目の先に映し出されたのは、魔力の核となる渦を体内に3つ持つディードの身体だった。



「な・・・なんだそれは・・・・?何故魔力の核が3つもある・・?何故だ何故だなぜだぁぁぁ!。『麻痺霧(パラライズミスト)


 ゾクマの右手から打ち出される濃密な霧。その霧は先程の魔霧を1点に集めた魔法でディードのみを集中的に攻撃していた。彼は逃れる事無くその霧に包まれ動きを止めている。


「ふ、ふははははそうだ、最初からこれを使えばよかったんだ。私としたことが迂闊にも同様してし・・・・なんだと?。」


 濃密な麻痺する霧をディードに包み込み、勝ちを確信し笑うゾクマだったが、その笑みは長く続かなかった。ディードを包んでいた周囲の霧は徐々に凍り付き砕け散る。中から出てきたのは、全身水に包まれたディードだった。



「な・・・なんだそれ?。」

「別に難しい事じゃない。お前が撃った霧を凍らせて消し去る間、身体全体を水獄(ウォータープリズン)で覆っただけだ。もう終わりにしようか・・・。『氷獄(アイスプリズン)』。」




 ディードはそう言うとゾクマの顔だけを残し、氷の檻で彼の身体を氷漬けにした。

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