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異世界転生幻想放浪記  作者: 灼熱の弱火 
堕ちた心と堕ちぬ心
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第69話 紅蓮の鳥

リリア無双。

 

「自ら餌にナリニ来たのかヤサ男。」

 ギロンはディードに剣を向けそう語る。対するディードは刀を中段に構えいつでも迎え討つ状態でいる。


「残念だが、餌になるつもりはないぞ。お前を連れて帰り、然るべき所で裁きを受けさせるつもりだしな。」

「くくく・・・あーーはっはっは。裁きを受けサセルだと?冗談は死んでカラ言え。」


 ギロンはそう言うとディードに狙いを定め一気に詰め寄る。そこから激しく双剣の嵐とも呼べる斬撃がディードを襲う。ディードはそれを冷静に刀で受け止め防戦一方になる。

 ディードはガロンの前に立ち彼を庇う様に防戦一方。そこにレミィが隙を見て援護に入ろうとする。

「ディードさん、援護に・・・・きゃ!。」

 援護に入ろうとしたレミィにギロンの背後から突如氷の球が飛んでくる、虚を突かれた彼女だったが、咄嗟に出した兎の盾のおかげで直撃は免れた。レミィは魔法が飛んできた方角を見ると、そこには普通の明らかに異なる、青白いスケルトンが立っていた。


「レミィちゃん大丈夫?。」

「はい!大丈夫です。ディードさん気を付けてください、魔法を撃ってくるスケルトンが居ます。」

 魔法を撃ってくるスケルトン、それはこの階層ではいない魔物。だが目の前には青白い髑髏(ドクロ)が笑っているようにさえ見える。奴の後ろからは数こそ減ったものの、未だにスケルトン達が徘徊しこちらに向かっている。


「まさか死霊使いか?いやありえん、奴はもっと深い階層でしか存在してないはずだ。」

 驚きつつも冷静に分析しようとするファリップ。彼は体力が戻ったのか、先程よりかは体勢を上げ杖を握る力も強く感じられた。


「おじさん!あの魔法はまだ撃てる?。」

「おじさん言うな、ファリップだ。残念だが今すぐには使えない、魔力を込めるには俺の魔力が足りないからだ。」

「魔力を込められればいいのね?魔力譲渡(マナトランスファー)でも行けるわよね?」

 リリアがそう言い残し左手でファリップの紅玉に杖に手をかけ魔力を強引に注ぎ込む。


「うぉい!何するんだ。この紅玉の杖は魔力を相当喰うんだ。そこいらの剣士の魔力なんて十数人が入れても・・・・・あれ?」

 ファリップが慌ててリリアを止めようとしたが、彼女は平然と魔力を流し込む。それに呼応するように紅玉の杖は紅い光を放ち、ファリップの時よりも輝く力が強く感じられた。



「おい嘘だろ?俺が魔力を充填するのにあれだけ時間がかかったのに・・・お嬢ちゃん何者だ?」

「お嬢ちゃんじゃないわよ、リリアよ。この位の魔力ならいつも私の(シフォン)に入れてるわ。それよりこのまま撃てるの?」

「い・・・いつも?お嬢ちゃ・・・いやリリアだったか。ああ、最初は扱いに困るじゃじゃ馬だがさっきの魔法みたいになる様に念じて撃て、一応俺がサポートするから。」

「わかったやって見る。」


 リリアは紅玉の杖に手をかざし先程の火の雨を青白いスケルトン目掛けて放つように念じた。

 杖はその意思を感じ取ったのか、珠の先から無数の火の玉が出て前方に解き放たれた。

 だがその精度は悪く、前方に飛んでるとは言えディードやレミィにも被弾しかねない位広がり方を見せ飛んでいく。

「うわ!、リリア危ないもっと的を絞れ!。」

「え?あ、ごめん!こうかな?。」

「きゃぁ!危ない!。」

「え?レミィちゃん。ご、ごめん!ええいこの杖言う事聞きなさい!。」

「ぐぁ!・・・何をする。ちゃんと狙え・・・小娘。」

「あ、ごめんガロン・・・・まぁアナタはいいや。」

 前方にフレンドリーファイヤーをかましつつも徐々に精度をあげていくリリア。その火の球はギロンにもスケルトン達にも襲い辺りの火の海にしはじめた。


 ディードはこの隙にガロンに回復をかけ動けるようにする。レミィは近くで前方からギロンの強襲を警戒していたのだが、リリアの誤射の方が脅威と感じ兎の盾を展開して守りに徹してくれていた。


 

この状況に痺れを切らしたのはギロン、彼は大きく迂回するようにリリアに襲い掛かり魔法を止めさせようと試みた。 

「邪魔スルナ女!。」

 ギロンの強襲にリリアは杖を手放し愛剣で双剣を防ぐ。甲高い金属が鳴り響き、次の一撃が来るかと思いきや、ギロンが妙な声をあげ予想に反して大きく後退した。その隙を狙いディード達はファリップの居るところに集まる。 リリアは妙な違和感と既視感を覚えディードに話しかける。




「ねぇディー、アイツの双剣って・・・・あの黒い熊とかのやつの時を同じような感じがするんだけど?。」

 黒い熊、それはアグランの街で戦った紅熊を変異させたやつだ。リリアの魔力剣を嫌い大きく後退したのはその為かとディードは思う。

「なるほどだからリリアを攻撃した時、大きく後退したのはあっちもそれなりにダメージを受けたって訳か。それなら俺も。」



 ディードは刀に自分の魔力を行き渡らせる。光属性の白い光が刀身を全て包み込み淡い光を放つ。

 光属性付加を施した刀にギロンだけでは無く、後ろにいた青白いスケルトンもその光を嫌うような仕草が見られた。


「光属性が苦手なのか・・・だからと言って手を抜くわけには行かないけどな。ガロン。ファリップさんの護衛をレミィちゃんも同じく護衛、俺とリリアで奴らを何とかする。」

 その言葉レミィとリリアは頷き行動を開始する。ガロンは不服のようだが武器が折れた剣しなかった為か不承不承とファリップの護衛に回る。 ディードはギロンに向い、リリアは奥のスケルトンに向かう、その際にファリップの紅玉の杖を掴み持ち出してしまう。


「おじさんごめんね、これちょっと借りてくね。」

 リリアはファリップに軽く舌をだし謝りながら走り去っていく、杖を取られ呆気に取られていたファリップは我に返り慌てて呼び戻そうとするが、既に遅かった。


「お、おい!それ無かったら攻撃手段が無くなるじゃないか!置いてけ。」

「大丈夫ですよ私が護衛に回ります。あの2人ならやってくれますよ、絶対。」


 レミィはファリップに笑顔でそう伝え双剣を構え周囲を警戒する。その笑顔は2人を信じ絶対に勝つという信念に元に繰り出される信用の笑顔。

その笑顔、その言葉を聞きファリップはレミィを少し羨ましそうに彼女を見つめながら愚痴をこぼす。


「絶対・・か・・・いいな信用できる仲間は・・・俺が冒険者やってた頃のパーティー仲間に聞かせたいよ。まぁ解散しちまったけどな。」

「・・・・」


 ガロンはその言葉を聞き無言で周囲の警戒をしていた。未だに後方より沸くように来るスケルトンに注視している。騒ぎを聞きつけたのか、この階層のスケルトン達もゾロゾロと集まってくる。

「嬢ちゃん、その杖壊すなよ!高いんだからな、任せたぞ。」




 ファリップからやや強引に持ち出した杖を片手に、リリアは魔力を注ぎ込みつつディードの背後を追い抜こうとしていた。ディードはギロンと対峙している。

「ディー、奥のスケルトンは任せて!。」

「ああ、頼んだ。死ぬなよ。」



 ギロンの双剣の攻撃を巧みに刃を合わせるディード、その合わせにギロンは嫌がる。

 何故ならばギロンの双剣が剣を合わせるごとにディードの刀から放たれるの光属性のダメージを受け、彼にもそのダメージは蓄積されていく。

「おのれ・・・エサの分際でエエエエ。」

「その餌にやられる気分はどうだ?ギロン・・・。」

 だがギロンの手は休める事なくディードに襲い掛かる。自身にもダメージを受けるが隙を見てディードに一撃を入れようとしている。虎視眈々と一撃を狙いつつも自傷ダメージを気にせず連撃を繰り返している。




 ディードとギロンの間を抜けたリリアは、奥の青白いスケルトンに狙いを定めている。そのスケルトンは自分が狙われている事を察したのか、地面から2つの黒い煙を召喚させる、その煙は徐々に形を作っていき黒いスケルトンを作り出した。


「ここに来てさらに増援なの?全く呆れるわね。さぁ紅玉の杖さん、お仕事して頂戴。」

 リリアは紅玉の杖を黒いスケルトンに向け、無数の火の玉を作り出し発射する。先程よりも精度が増したのか2体の黒いスケルトンに集中的に撃ち込む。火の玉の弾幕がスケルトン達を襲う、しばらくすると紅玉の杖は魔力を使い果たしのか火の球は出て来なくなった。

 

辺り一面を焼いた炎は、徐々に勢いを無くし視界が開ける。そこに立っていたは2体のスケルトン、1体は青白く、もう1体は黒いスケルトンだ。どちらも仲間で作られたような骨の集合体の盾を持っていた。

 その盾は禍々しく黒いオーラを纏っており魔法に対する耐性を持っているかのようだ。


「簡単にやられてくれないよね。さぁ紅玉の杖さん、魔力をもっとあげるからさっきよりも威力の強い魔法を撃って頂戴。言う事聞かないと私の全力の魔力を注いで壊すわよ?。」

 リリアの脅しに恐れを抱いたのか、呼応するかの様に紅玉の杖はリリアから魔力を吸い上げる。先程よりも早く多く吸い上げる紅玉の杖はリリアとの相性もよい様に思える。

 だが敵は待ってくれない、黒いスケルトンが錆びた剣でリリアに襲う。


「そんな攻撃で倒せると思っているの?。シフォンあの黒いのを斬っちゃって!」

 リリアは黒いスケルトンの攻撃を避け、愛剣で黒いスケルトンを盾ごと真っ二つに斬り裂く。

 残るは青白いスケルトンだけになった。

 青白いスケルトンは氷の球の魔法を連発し、リリアを寄せ付けない様にする。しかし逆にこれがリリアの勝機を高める事になった、左手で持っていた紅玉の杖が準備が整ったのか紅い光を放っていた。


「そう準備が整ったのね。紅玉の杖さん、私の得意な魔法を使わせてくれる?。」

 リリアはそう呟くと紅玉の杖を青白いスケルトンに狙いをつけた。杖から出るは先程の火の雨よりも強力な紅蓮の炎、そこから形造られていく炎の鳥は、今か今かと炎の翼を羽ばたかせ、巣立ちの準備をしている。


「行っておいで、私の紅い鳥。『紅蓮の鳥(クリムゾンバード)』。」


 放たれる紅蓮の鳥は、青白いスケルトン目掛けて飛び立つ。スケルトンは氷の球を連発して応戦したが、着弾する前に炎の熱によって溶かされる。今度は盾で防ぐべく盾を前に構えたのだが、紅蓮の鳥は盾ごと貫通し青白いスケルトンに着弾した。

 着弾した場所から周囲全てを焼き尽くす様に燃え上がる紅蓮の炎。燃え盛る炎の中には青白いスケルトンは成す術なく焼き尽くされ崩れ去って行った。



「んー!久しぶりに魔法が使えたー!気持ちいい。ねぇねぇ紅玉の杖さん、うちの子にならない?。」

 紅玉の杖に頬ずりしながら上機嫌に杖に話しかけるリリア、その姿は色々な意味で周囲をドン引かせた。

本年の更新はこれで最後です。

来年はもう少しテンポよく書く事を目標に完結目指し頑張りたいと思います。


最後まで見てくれてありがとう(`・ω・´)ゞ

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