第50話 続・奇妙な2人組
50話です。良かったら見て行ってください。
思った事を口走ったディードに対し、ジロエモンが食いついてきた。
「おい!まさかお主はこの武器がサーベルでは無く、刀と知っておるのか?。」
ジロエモンがディードに詰め寄り、問いかける。 ディードとジロエモンの身長差があったが彼の下から迫りくる迫力にやや押され気味のディード。ただディードもその刀には興味があり。彼の獲物を見たままだった。
「ああ、一応な。少し見せてくれないか?それ。」
ディードは恐る恐るジロエモンに願い出た。するとジロエモンは意外にも彼にすんなりとその刀を渡したのだった。
その刀は長さが1メートル弱、柄には綺麗な装飾、丸い鍔の中に小さな花の模様が入っいて、刃全体に綺麗な刃文が施されていた。その刀を見ていると芸術品にも思える程の仕上がりであった。
「その刀の名前は霧雨と言ってな。ウチの親父が遺した最後の一振りだ。こいつだけは手放せななかったんじゃ。」
そう言うとジロエモンは腕を組みウンウンと頷いていた。どうやら彼の父が日本人らしかったのだが・・・
「最後の一振りって言うとこれを作った親父さんは・・・・?。」
「ああ、結構前に死んじまったぞ。お袋もだ。もう何年も前だ。だからこんな所で刀を知っている奴に出会うとな、つい嬉しくなっちまう。」
彼は笑顔でディードの問いかけに答えたが、その後少し遠い目をし空を眺めていた。恐らく両親を思い出して感傷に浸っていたのだろう。だがその遠い目も次第に怒りの目に代わりつつあった。何故ならば・・・
「親父との思いでの仕事場もこれまで作った武器もぜーんぶ、お前のおかげで無くなっちまったけどなララ!。」 ジロエモンが怒り口調でララを見つめながら言い放った。
「そんなララのおかげだなんて、照れるにゃご主人様。」
本人は嫌味を言われているはずなのだが自覚がなく、むしろ褒められていると思っているらしく照れていた。 ジロエモンはそんな照れているララに近づき、頭部目掛けて拳を振り下ろしていた。しかしララはぶつかる寸前の所で避ける。
「危ないにゃご主人様。なんで怒ってるにゃ?。」
「最初から怒ってるわ、バカモン! お前がウチに来てから碌な事が起きん。仕事は雑、用事は間違える、挙句には神殿の禁漁区で魚を取って食べて財産没収と街追放まで喰らっちまったじゃねーか。そして今度はここら辺の魔物は弱いのしか居ないから狩りに行こうって来てみれば死にかけるし散々だわい。」
今まで貯めていた鬱憤を晴らすかの如く怒声を続けるジロエモンに、ララは少し気落ちしそうにながりがらも言い訳をする。
「で、でもご主人様。こうやって助かったし、前からそのサーベルモドキを知ってる人を探してたし、その人達強いからお願いできるにゃ。これでウチ等のご飯も安泰にゃ。」
「サーベルモドキじゃない!刀だ。カ・タ・ナ!それにご飯はお前のせいだろ!。」
ジロエモンはララに怒鳴るが、周囲ディード達の視線を感じ咳払いをしこう言いなおす。
「だが、お前の言い分も尤もだ。俺はコイツの名前を知ってる奴に出会えたのも、強い冒険者とも出会えたのも悪い話ではない。・・・だがな・・・・。」
ジロエモンはディード達の視線を何度行き交いし、やがてため息は吐く・・・。
そしてやや諦めたかのように問いかける。
「助けてくれと頼んだのはこっちじゃが、今ウチ等は金が無くてのぅ。ディードと言ったか・・・助けてくれた料金をまけてくれんかのぅ。その代わりと言っちゃなんが出来る事なら言ってくれればやるから。」
その言葉に対しディード達3人はキョトンした顔を見合わせていた。
「え?助けた人からお金って取れるの?。」
「一応取れるらしいですけど私は見た事ありませんね。」
「まぁ貰えるものなら貰うけど、持ってない人に強引に取るわけにはいかないでしょ?。」
「ってな訳で、こっちは無い人からお金は取らないよ。ただジロエモンさんの刀と親父さんの事について話せる範囲でいいから教えて欲しい。」
「・・・・へ?。」
あっさり金銭のやり取りを放棄する3人に対しジロエモンは、気の抜けた返事をしてしまう。
「そりゃ、こっちも願ったり叶ったりだがそれでいいのか?。」
「ええ、こっちも。それと少しお願いが「ねぇ、ディー?あの魔物倒したのに変な動きしてるけど?」
話を遮ってまでディードに気付かせたのはリリアだった。彼女はディードの隣に来て、ふと拍子に異形の魔物を見ていたらしい。そこ言葉に釣られるかのように他の2人声を上げる。
「ディードさんあの魔物何か危ないです、離れましょう。」
「あの魔物なんか変なにゃ!逃げるにゃ~。」
レミィとララの2人の声に一同は異形の魔物から距離を取った。やがて収縮を繰り返していた異形の魔物の亡骸は黒い液体となり上へと向けて爆発する。
「あ・・・・剣・・・。」
ディードは異形の魔物に突き刺たままの剣の存在を思い出したが、既に遅かった。剣は異形の魔物が爆発し、少し離れた所で形こそは残っていたが、所々ボロボロになっておりさらには全体が黒く塗り固められたようになっており、ととてもじゃないが使える物とは言い難い形状になっていた。
「あー・・・・。」
見るも無残なディードの剣の成れの果てに対し抜けたような言葉しか出てこなかったディード。ぐ
さすがにその姿の剣を拾う気にはなれなかったらしく一人しょんぼりとした顔で呟いた。
「作ったばっかりだったのになぁ・・・・。」
「なんじゃと!お主剣を打てるのか!。」
ディードの声にジロエモンが食いつく。その声はまさに鬼気迫るものだった。
「え、ええ俺に剣の打ち方を教えてくれたドワーフの師匠が居ますので。」
「な・・・どこまで規格外なんだお主は?戦闘能力も優れ、魔法も数種使いこなし、剣も作れてとは一体何者なんじゃお主は?。」
「え・・・っと十数年村に引き込まってたハーフエルフですね。ハハハ・・・。」
「そんな訳なかろうーー!それにさっき親父の事知りたがってたじゃねーか!。幕府の人間か?お主は?」
「へ?幕府?江戸時代じゃあるまいし・・・・貴方の親父さんて・・・?。」
「じゃからなんで親父が俺とお袋だけに教えた言葉を知っておるんじゃー!。」
ディードに詰め寄って肩を掴み揺さぶっていた。それを阻止しようとリリアが止めに入ろうとするが、彼の力は強く中々振りほどけない。
「ちょ・・・こらディーを離しなさいって!そんなに揺さぶっても何も出てこないわよ!レミィちゃんちょっと手伝って。」
「は、はい・・・今きゃっ!。」
慌ててレミィも彼の拘束を振りほどく為に参戦しようとするが、ララに抱き着かれていた。
「ちょっと!なにをするんですか?。」
「お腹空いて動けないないにゃ~。優しい冒険者さん、ウチに何かご飯おくれにゃ~。」
「だからってなんで足に捕まっているんですか。離してください!。」
「いややにゃ~。ご飯くれるまで離さないにゃ~。・・・・スンスン・・・あれこの匂いは?もしかして君、街でポーターやっていた兎さんじゃないのかにゃ?。」
ララはレミィの太ももに掴まりふとした拍子に彼女の匂いで嗅いでいた。それはレミィがほんの少し前までポーターをやっていた姿をララは見ていたらしい。
「え?どうしてわかるんですか?。」
「匂いでわかるにゃ~。あの沈んだ幸薄い顔と匂いは忘れないにゃ~。」
レミィは頬を膨らませララを引き離す力を一掃強ませた。
「失礼な!確かにあの時は不幸だったかもしれないけど、今はこうしてディードさん達とパーティーを組ませてもらっています。今は幸せです!」
それでもララはレミィに縋りつき問いかける。レミィは引き離そうとしているがララが中々離れてくれなかった。
「どうしたらそんなに一気に強くなれたかにゃ~?ウチにも教えてくれにゃ~教えてくれるまで離さないにゃ~~~!。」
「えええ、なんでそんな事に・・・?兎に角離してください!怒りますよ?。」
レミィはララを離そうと太ももにある顔を押しのけようとしていたが、
「いややにゃ~教えてくれるまで離さないにゃ~ご飯くれなきゃここのままでいるにゃ~。」
甘えた声でレミィの太ももに自分の顔を擦りつけるララ。そんな事に対しレミィは顔を赤らめながら・・
「何してるんですか!そんなとこ触らないでください!そこを触っていいのはディードさんだけです。はなしてー!」
「教えてくれにゃ~。」
「離しなさいってのこのドワーフ!。」
「く、苦しい・・・・。」
「幕府の人間か~!答えろー!。」
このやり取りは日が傾くまで続いたのであった。
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