第48話 新しい形
48話です。 良かったら見てやってください。
「行きます!。【兎の盾】。」
レミィは単身オーク2匹に突撃する。オーク2匹は目の前の獲物を打ち落とそうと、棍棒を振り下ろす。
しかし直前まで居たその獲物は突如羽が生えたように宙に浮かんだ。そしてオーク同士の間をすり抜けて行った。オークは見失った獲物を探そうとするが、既に1匹のオークは首を斬られ意識も薄弱。残るオークも胸に傷を負っていた。1匹は傷を負わせた相手を探そうとするが、ここで意識が途切れた。
光を纏ったリリアの剣が横一閃、首と胴体に別れを告げさせたのだ。
ここ数日はレミィが先行しダメージを負わせ、ディードリリアがトドメを刺すスタイルが出来上がりつつあった。 これが3人になったディード達のパーティーの《虹の翼》の戦闘スタイルになってきている。
それを可能にしたのが、レミィのスキル【兎の盾】だ。
レミィは自分の進行方向に数個の足場となる【兎の盾】を展開しそれに飛び乗り上空から攻撃したり、足場として移動に使ったり、魔物の進行を妨げたりと色々手を変え品を変え使いこなし始めていた。
【兎の盾】自体も盾としてもそれなりの強度がある。ただ魔法の盾なので、1度強い衝撃があたると消えてしまうが使い勝手はかなりいい。
「お疲れ様2人共、俺の出番はやっぱり無かったようだね。」ディードは剣をアイテムボックスにしまい、2人に声をかけた。
「ふふん、どう?美女2人に守られる気分は?。」
「あーウレシイウレシイ。」
「ちょっと完全に棒読みじゃない?」
「ふふふ♪」
夜、廃墟の村に3人の笑い声が響き渡っていた。現在3人は、レミィがかつて暮らしていた村に居る。
既に廃墟になっており村人は住んでいない。3人で住民の遺品などを集め墓を建て村人の鎮魂を願った。 途中何度もレミィは涙を浮かべながらも遺品を集めたり、あちこちに散らばった木材などをかき集め整理していた。 レミィがパーティーに加わってから既に数日が経過していた。
「さて、邪魔が入ったけど完成はしていたんだ。2人にこれを・・・。」
そう言ってディードは2人に2つの腕輪を差し出し、レミィにはもう一つ、首飾りを渡した。
「もう直ったんですか?嬉しい、ありがとうです。」
レミィは首飾りを受け取り満面の笑みを浮かべた。受け取ったのはレミィの母の形見の首飾りだった。
彼女はこの村に辿り着いた時に、真っ先に自分の家に向かった。だがそこ、既に家と言える状態ではなく黒く煤けた家だけであった。 彼女は必死に辺りを探し、かつて母が大事に保管しておいた首飾りが家があった所から出てきたのだ。 しかしそれは紐の部分がボロボロになっており修理が必要だった。ボロボロになっている形見を見つめ、一人声を上げずに静かに泣いてた。
不憫に思ったディードは、彼女の形見である首飾りを修理すると買って出る。それに付け加え3人で何か使えるアイテムでも作ろうと行動をしていた。ディードが考えたのは手持ちにあった。光結晶と魔銀で作る腕輪だった。 魔銀を叩き腕輪状にし中央に光結晶をはめ込むという簡単なアイテム。使う時に外し強い衝撃を与えると光魔法が発動する、閃光玉の上位版だ。
「はいリリア。」
「ありがとうディー。」
「はいレミィちゃん。」
「あ、ありがとうございます・・・。」
レミィは喜んではいたが、少し困った様などうしたらいいか分からない様な顔持ちだった。モジモジとしたレミィの行動を疑問に思いディードが行動に出た。 それが地雷になるとは知らずに・・・
「どうしたのレミィちゃん? ああ、首飾りの付け方がわからないのか。ちょっとそれを貸して。」
「あ・・・。」
レミィが手にしていた首飾りを取り、彼女の目の前で外し方を教え、そして首飾りをつけてしまった。
「ここをこーやると外れるから後は付けるだけ。簡単でしょ?。」
「あ・・・あぅ・・・。」
「ついでに腕輪も付けてあげよう。これはそのまま押し込むと簡単に付けられる。それでね、魔物や地面に強く叩きつけると【光球】が発生するから、威力は弱いけど牽制や目潰しになるよ。・・・どうしたの?レミィちゃん。」
プルプルと震えるレミィを疑問に思い首を傾げ尋ねるディード。彼女の顔は真っ赤に染まっていた。
「あ・・あの・・・不束者ですがよろしくお願いします。」
その一言にリリアとディードの2人は凍り付いた。ディードは何かをやらかしてしまった事に気づいていない。リリアは笑顔でディードに近寄り、肩を掴みその肩を破壊するかの如く力一杯に握りしめていた。
「でぃぃぃどおおおく~~ん。レミィちゃんに何をやったのかしら?。」
「いだだだだだ!!!まてまてリリア!お前も見ていただろう?俺はただ付け方がわからないと思って首飾りをつけてあげいだだだだだまっだまっでぐれぇぇ。」
肩が破壊され兼ねない勢いにあわてて止めに入るレミィ。
「あ、あの、待って下さい。私が言わなかったのが悪いんです。獣人族のプロポーズは首輪と腕輪を同時に送る習わしだって。でも私は2番目でも全然大丈夫ですから、どうぞよろしくお願いします。」
「何を言っているのレミィちゃん。コイツに無理矢理手籠めにされてしかも2番目でもいいって何を言っているの?1番目は誰なのよ?。」
「え?リリアさんじゃ?。」
「・・・え?。」
「・・・え?。」
「だってリリアさんあの時「わーわーわー!。」
リリアはレミィの口を目にも止まらぬ速さで塞ぎ音をかき消す。
「いい?レミィちゃん、アレは事故・・・いや人助けなの。わかる?わかるよね?それにあれは言わないでっていったよね?・・・・・ね?。」
(あーあの時って俺に口移しで薬を飲ませた時の事か・・・。)
まさかディードは知っていると言えずそのやり取りをただ見ている。
リリアの気迫に押されレミィはその場でプルプルと震えながらその場で頷いていた。
(まぁ知ってると言えばどんな反応するか面白そうだけど、レミィちゃんに飛び火がかかりそうだからやめておくか。ここは知らない振りをして助け船でも出しますか。)
「リリア?あの時ってなんの事?。」
その言葉を聞きリリアはレミィの時よりも早く動きディードの両肩を掴んだ。その力加減は先程よりも強く、肩に食い込みギリギリと音を立てていた。 その手だけを見ると鷲が獲物を捕まえたようにも思える程だ。
「いい?ディー。女の事同士の話を盗み聞きするものじゃないのよ?わかる?わかるよね?。」
「いだだだだ!わかったから、離せ折れる。」
「よろしい。そういう訳でレミィちゃん、ディーのやらかした事は事故なので気にしちゃだめよ?わかった?。」
リリアの怖い笑顔に飲み込まれ、ただ頷くだけのレミィ。今後あの時の事は語るまいと心の中に誓うのだった。
その後、夕食の支度をする3人。レミィが準備をしている時にこっそり耳打ちしてきた。
「私はいつでも受け入れますので、お嫁さんにしたい時に言ってくださいね。」
そう言うと彼女は顔を赤らめながら支度をする。 彼女は居た堪れなくなったのか、火の番をしているリリアの方に向かって行った。
ディードも彼女からの好意を悪く思うものではなく、むしろ受け取りたい気持ちではあるが、リリアとの約束、それに各国への同じ日本人探しなどで即答する訳にはいかず。気持ちを保留する。
やがて夕食が出来3人で食事を取る。今夜のメニューは先程レミィとリリアに討伐されたオークのステーキに、パンと簡単な野菜炒めだ。
「そろそろ、迷宮は入れるかなぁ?」
ふとリリアがそう呟く、何故ならば現在グラドゥは1階~10階まで魔物が出現しないという奇妙な現象が起き、都市では何か悪い兆候と感じ調査の為に数日間ダンジョンを閉鎖することになった。
1~10階までの敵を分離したダンジョンコアが管理し、それを元手に別の土地へ移ろうとしてた為一時ダンジョンの機能が滞っている事を誰も知らない。
なので、ディード達はギルドに行きパーティー名を登録した後、ダンジョンに入ることが出来ずレミィの心残りであった村を見に来たのであった。
「まぁ戻って入れ無かったら、郊外で何かクエストをしようか。」
「そうね、もし入れたら10階から先に行ってみましょうか?3人で厳しいと感じたら無理はしないで戻ってもいいしね。」
「そうですね。11階からは魔物が多くなりますので、十分い注意して進みましょう。」
翌朝・・・レミィはかつて村があった廃墟の中央に、3人で作った墓標に祈りの捧げた。
(村の皆・・・安らかに眠ってください。旅が終わったらまた来ますね・・・。)
3人は村を出てから数日、迷宮都市グラドゥに戻ってきた。3人は東の門に入ろうとするが、レミィが何かを察知し2人を制止する。
「待って下さい。この先で戦闘が・・・それと助けを求める声が聞こえます。」
「急ごう!。」
レミィに先導され2人は目にするもの。それは逃げる2人の兵士と奇妙な形をした魔物だった。




