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異世界転生幻想放浪記  作者: 灼熱の弱火 
兎と盾
46/221

第44話 出口

44話です。よかったら見てやってください。


「耳を治す?。」

落ち着いたレミィは、ディードから唐突に告げられた。


「そう。多分レミィちゃん、その片耳が治ればバランス感覚も戻り、力も使いこなせるようになるかも。」

「それは戻れば嬉しいです。・・・だけど治療費が凄く高いと聞いています。金貨が10枚以上だと。」


欠損部位の再生の魔法はどうしても高額になる。それは神官クラスが使える魔法の中でかなり高位の魔法だからだ。だがディードはその魔法を使えるのでその高額な費用を払わずに済む。


「今、治すよリリア少し力を貸してくれるかい?。」

「もちろんレミィちゃんの為ならいくらでも貸すわよ。」

二つ返事のリリアに対し、レミィは首を傾げキョトンとしている。それもそのはず、目の前で金貨10枚程の匹敵する魔法をかけて貰えるなど、夢にも思わなかったからだ。


「目を瞑っててね。」そう言うとディードは、レミィの切れている片耳に手をあて呪文を唱え始めた。

『光よ、大いなる清き光を、彼の者の傷つき失いし肉体を再生させよ』 【神聖回復(リジェネヒール)


レミィの頭上で行使された光の魔法は彼女の失われた耳を優しく包み込み再生させる。

レミィは自分の耳が再生されるのを感じるのか、敏感な部分なのか、再生されるにつれて声を押し殺した甘い声が聞こえてきた。

「んっ・・・・はぁ、・・・あ・・ダメ・・・ん・・んーー!!。 」

レミィの耳が再生されていく中、何故かディードはリリアから【魔力譲渡(マナトランスファー)】を受けるはずだったのに、背中をつねられていた。 


(俺のせいじゃないのに・・・・そして痛いですリリアサン・・・。)

やがてリリアの【魔力譲渡】を受ける事無く【神聖回復】が終わる。レミィは少しぐったりとしていたが、少し時間が経つと自分の耳を触り確認している。やはりずっと気にしていたのだろう。





(以前より魔力の消費が収まったのか、それとも魔力量そのものが上がったのか・・・)

ディードが思考を重ねていると、レミィの跳ね回る音が聞こえてくる。どうやら耳が元通りになり、はしゃいでいるようだ。



「すごい、すごい!元に戻ってる!。跳ね回ってもバランスが崩れない!すごい、すごい!。」

彼女は自分自身を動作確認するかのように、跳んでは回り、少々無理な体制でもバランスが崩れないかを確認していた。一通り行って満足したのかディードを見るなり飛びついてきた。


「ディードさん!私、前以上に動き回れる様になりました!本当にありがとうございます。」

レミィは重ね重ね感謝しお礼の言葉を述べる・・・・だがディードはまたもやレミィの胸に押し込まれて

窒息を余儀なくされる。

(ぬぉ!また胸が・・・!直に直に!)




もがいて、振り払おうとするディードに、今度は窒息させられる前にリリアが引き離してくれた。 


「ほら、そんな事してる場合じゃないでしょ?まずは脱出!流石にお腹もペコペコだし、夜になる前にダンジョンを出るわよ!。ディーは私の予備の服か布を出して。」

リリアに促され、我に返るレミィ・・・2度も自分の胸を直に押し付けるという行為に顔を真っ赤にさせながら一人、『もうお嫁に・・こうなったら・・・』途切れ途切れだが呟いているのをディードは耳にする。


(ワタシハナニモキコエテマセン。キコエマセン。)


ディードが心の中で聞こえてない振りをしていた時、隣にいたリリアが、ある物を差し出してきた。

「そうそう、ディー。これアイテムボックスに入れといてくれない?。それと、あっちは出来たらでいいけど。」

そう言ってリリアが出してきた物は数枚のギルドカードだった。所々に血や傷があり酷い物だと血に染まりカード自体が読めない物もあった。 そしてそれが意味するもの・・・それは持ち主の”死”を意味する。そしてリリアが次に出来たらと言って指を差したのが、使い込まれ、血濡れた数本の武器だった。


「これは・・・そうか・・・。」

ディードは複雑な顔をする。レミィを半ば強引に連れ去り、その結果がこれだと思うと複雑な心境になる。

だが、冒険者は基本自己責任。 己の命を削り多額の賞金を手にするハイリスクハイリターンの職業だ。

負ければ誰かのエサになり、強者はそれを喰らい明日を生きる。

彼等もそれは理解しているはずだ。


ディードが彼等の遺品とも言うべく物を回収しアイテムボックスにしまっておく。他にも防具など数点あったが、傷や血、噛み跡で損傷が酷く区別がつきずらいので放棄することにした。


「これでここのパーティー分は全部かな。これはギルドに渡せばいいのかな?。」

「そうですね。いくらかギルドから謝礼が出るはずです。もしくはパーティーの生き残りの方に渡すとかもありますけど。」


「そっかそのメンバーが居れば、遺品を縁者に渡すことが出来るからか・・・。」

「でも、私とディーがここに来た時はレミィちゃんしか居なかったからギルドに渡すしかないんじゃない?。ここの奴ら全滅でしょ?。誰が知り合いかわからないし・・・。」


「いいえ。一人運が良ければ今頃ダンジョンを脱出しています。」

レミィは少し顔色を曇らせそう告げる。

「一人ここを出た奴がいるか?」

「はい、ここのリーダー的な人で、私に罰則金を背負わせた人です。前にディードさん達と一緒にいた時に話しかけてきた人です。あの人は・・・・あの人は私をここに縛り付ける様にして逃げ出していきました。」


レミィはあの時の恐怖を思い出したのだろうか、俯き強張りながらも話していた。


「「へぇ・・・アイツか」」 ディードとリリアが声を揃えて彼を思い出し声に出していた。

2人の言葉に一瞬背筋が凍る思いをするレミィ、よく見ると2人は静かに怒りを放ってた。


「取りあえず、ここを出ながら話を聞かせて貰えるかな?レミィちゃん。」

「そうね、さっきディーが寝ていた時に少し聞いたけど、詳しく教えてくれるわよね?レミィちゃん。」


ディードとリリアの笑顔が逆に怖く感じるレミィ。だがその怒りは決して彼女に向けられた物では無く、クラックに向かられたものだった。

「ふ、2人共怖いです。ちゃんと話ますからまずは落ち着いてください。」

レミィは少し震えながら出口を目指しながら説明してするのであった。







そしてディード達はダンジョンを出る為に出口へと向かった。 3人は魔物の出現を警戒しながらも出口を目指す。しかし出口まで魔物は1匹も出なかった。 


「警戒していたけど拍子抜けね。もうすぐ出口だけど魔物1匹出ないじゃない・・・。」

「俺は今日はそれでいいや。流石に疲れたし。」

「確かに変ですね。そういえばあの落とし穴以外、今日は見ていないかもしれないです。」


不思議がっている3人だったが、これはダンジョンコアを破壊したことによる影響なのだと、後日知ることになる。





やがて出口が見え始めた頃、外では一人を十数人で囲むように人だかりが出来ていた。

よく耳を澄ませていれば何やら聞いたことのある声だった。 クラックだ。


「俺以外は全滅しちまったが、俺は全ての敵を倒しこうして出口までたどり着いた。俺はこの魔剣と共に新たなる仲間を募集する。この魔剣があれば15階、いや20階の敵も目じゃない!そこのボスを倒せばランクもあがり俺達は有名になるチャンスだ!俺と共に来たいやつは明朝の「嘘つき!。」」


その声上がると周囲の人々は声の主の方を振り向いた。声の主はリリアだった。彼女は大声でクラックとその周囲に聞こえる様に声を放つ。

「アンタ、罠に落ちて全滅しそうになって、一人だけ逃げたわよね?しかもその剣で、レミィちゃんを傷つけ囮にして逃げるなんて最低よ!。」

リリアの声に周囲にざわめき出した。クラックも苦虫を噛み潰した顔になっている。ついでにディードも頭を手で押させていた。

「いきなり行くかよ・・・・。レミィちゃんなんか面倒な事になりそうだから、少しだけコレ被ってて。」そう言うとディードはアイテムボックスからレミィが被っていた帽子を取りだし彼女の片耳を被せていた。

「えっと・・・これは・・・?」

「まぁ安心して、今後アイツを近づけさせないようにするから。」

「わかりました。ただあの魔剣は気を付けてください。ほんの少しでも切りつけられると、激痛が走るような効果が付いてます。」

「ありがとう。それじゃ行ってくる。」

そう言い残すと、ディードはリリアに加勢するべくクラックの方に向かう。



「言い掛かりしてるんじゃねーよ、この女!何も証拠もないのにこの魔剣で斬られたいのか?。」

「証拠ならレミィちゃんがそこにいるし、あんたに傷つけられ逃げ出したって言ってるもん!。」

「レミィ・・・?あのウサギのポーターか?あいつはパーティーに意見をして邪魔をし、嘘をついて足を引っ張るだけの役立たずだ。あんな奴の嘘を見抜けないなんてお前も冒険者失格だな。それにアイツに何を吹き込まれたか知らないけど、もしアイツが生きていたら罰則金を早く払えって伝えとけ、金貨1枚だとな。」


クラックは話の出所がレミィだと知り、安堵した。何故なら彼女は脅迫されたとはいえ、罰則金を支払うと約束した身。それを逆手にどったのだ。罰則金が発生しているとなると彼女の証言を疑うものが多いとクラックは踏んだ。


「そんな!、罰則金は銀貨30枚だったじゃないですか。嘘つきはどっちですか!。」

レミィは声を張り上げクラックに向かって叫ぶ。その表情は怒りに満ちていた。


「なんだウサギ生きてたのか?お前のせいで俺は死線をさまよう事になったんだぞ。罰則金の追加は他の冒険者に嘘を吹き込み俺を陥れようとした罰だ。これ以上嘘をつくなら、ここでの仕事を出来ないようにしてやる!。」

クラックは勝ち誇ったように、笑いながらレミィを見下していた。おそらくだがクラックはこの後も何かと文句をつけレミィから金を巻き上げるつもりだったのだろう。現にクラックは保身の為にレミィを陥れようとしている。もしこの嘘を貫かれたらレミィは他での仕事は出来なくなるだろう。その後仕事が取れなくなった彼女の行く末は、彼の操り人形の様になる未来しか見えて来ない。


クラックに服従し専属の格安ポーターになるか、花を売り身銭を巻き上げられるか。どちらにせよ彼女にとっては明日が見えない日々を送らされる事になるかもしれない。そう、思ったディードは怒りがこみあげていた。 そしてディードは自身でも驚くような行為に出る。


「さぁさぁどうした嘘つきウサギ?罰則金を払えないようなうそつごべら!。」

クラックが最後まで話を喋らす事を遮ったのはディードだった。彼は金貨1枚をクラックの頬に投げつけていた。


「弱い犬程よく吠えると言ったもんだ。それはレミィの罰則金だ、色を付けてやったよ。これで忘れないだろ?。それに今日は俺達との先約があったのに、お前が強引に引っ張っていったんだってな?俺達は今日、彼女に正式にパーティーに入ってもらう予定だったんだ。責任はとってもらうぞ」

ディードは冷たい視線でクラックを見下していた。彼なりの煽りであった。その効果は絶大でクラックの顔は怒りに満ちていた。


「パーティーに入れるだぁ~?。役に立たないウサギを入れる程苦労してる弱い奴らが粋がってんじゃねーよ。どうせお前も自由になるポーターが欲しいだけだろが!」

「いや?彼女は普通の冒険者としてやってもらうよ。少なくともお前なんかより強い、それにホラ、()()()()()()()だろ?拾っておいてやったからくれてやるよ。」

ディードはさらに煽りを入れると、クラックの目の前にレミィの背負っていたポーターバッグをアイテムボックスから取り出し目の前に投げ捨てた。


「な!お前・・・コレは・・・。」

「ついでに()()も回収してきた。魔物を全滅させるのには苦労したが、コレがあって助かった。じゃないと()()()()()()()()()がまた卑怯な手で連れ去られると困るしな。」


ディードはリリアが回収してきたギルドカードをクラックの目の前で見せた。それはクラックが嘘をつき一人で脱出してきた事を裏付ける証拠にも鳴り得る物でもあった。焦るクラック目の前にあるカードを取り返さないと自分の嘘がバレると彼は焦りで自分を見失いそうになっていた。


周囲にいた他の人々も段々とクラックの言動に疑問を持ち始めていた。周囲が騒めき始めた頃、クラックが大声でそれをかき消すように言葉を放つ。


「それを返せ!それは俺の仲間の物だろ!俺が倒した後にこっそり侵入して盗んで行きやがった!そうに違いない!。」

「何故そうまでしてこんなカードを回収しないといけない?それこそ不自然だろ?それに一応こんな物も回収して置いた。これは全部ギルドに届ける予定だ。お前に返す必要はないだろ?もし渡しても隠れて処分してしまいそうだしな。」

ディードはさらにクラックのメンバーの武器をアイテムボックスから取り出し、目の前に落としていった。ディードはさらにクラックを見下しつつ煽る。クラックはその安い煽りに激情し奥歯を噛みしめる程悔しそうにしていた。


(このまま奴をギルドに行かせるとヤバイ。嘘がバレる上に仲間を見捨てて逃げた事が公になればギルドランク降格、もしくは剥奪もあり得る。なんとかしないと・・・・)


「そ、そこまで言うならここで決闘だ!この盗人め、俺が勝てば仲間の武器とカードを返してもらおう。」クラックはその場で思いつき声に出した。


「俺に何もメリットが無い。悪いが弱い物虐めをする趣味じゃないから、お前と戦うだけ無駄だ。さすがに俺も疲れているんだ。残りの魔力も少ないしな・・・。」

「俺が弱いだと・・・・調子乗りやがって!。ならこの魔剣をかけて勝負だ!俺が弱いかお前が弱いか、どっちかが言う事が正しいか決着をつけてやる。!。」


最早彼の思考は正常ではない位、怒りに支配されている。ディードもその辺りを読み煽っていた。

(食いついてきたな・・・)


「俺にはそんな魔剣なんて要らないんだが、うちの可愛いレミィを傷つけた武器は破壊させてもらおうかな。来いよ!弱い物虐めしか出来ない弱者。」

ディードは人差し指で招き寄せる挑発をし、クラックを激怒させる。彼はその挑発にも簡単に乗ってしまい。魔剣を襲い掛かってきた。


「誰が弱者だー!絶対に許さねえ!この魔剣の餌食になりやがれーー!。」

彼はディードに対し正面から斬りかかる。対するディードは武器を持っておらず正面から構える。


 勝負は一瞬だった。魔剣を難なく避けるディード、そして拳に魔力を込め彼の鳩尾を狙い正確に打ち抜いた。しかもその拳は魔法で形成された氷のグローブとも言うべきものが付いていた。


(あれ?素手で殴ると痛いから魔力で強化を念じただけなのに氷のグローブを形成しちゃってた。・・・なんでだ?)

彼は疑問に思うが、目の前に倒れ込みもがき苦しんでいるクラックを視線から外さなかった。


「ぐはっ・・・く・くそ舐めやがって!。」 

クラックはなんとか立ち上がり再びディードに斬りかかろうとする。

「やめとけ勝負はもう着いただろ?さっさとその剣を置いてどこでも逃げるがいいさ。」

「まだ、まだ負けてねえ!!。」

今度はクラックが横に薙ぎ払うように斬りつけてきた。ディードはそれをジャンブして簡単に避けた。

その際、ディードはクラックの顎に蹴りを入れ上げた。 クラックは避ける事すら出来ずに攻撃を喰らってしまう。

「ぐあ・・・あ・・・。」

なんとか意識は保っているものの、彼は魔剣を手放しその場に落としていた。ディードはそれを拾い空に投げつける。


「リリア、それを壊してくれ。」

「はーい!。そ~れレミィちゃんを傷つけた剣なんて無くなっちゃえ~!。」

リリアは落ちてくる剣に対し【チャージ】でその魔剣を斬りつけた。 魔剣はリリアの剣に敵わずあっさりと折れ、2つに斬り分かれた。


その折れる様を見せつけられ、クラックは絶望し力無く崩れた。彼の心は折れ失神したようだった。


「さ、こんな茶番は終わりにして用事を済ませたら、食事に行こう。その折れた魔剣はくれてやるよ。多分使い物にならないけどな。さ、リリア。うちの可愛いレミィと一緒に夕飯に行こうか。」


「そうね。うちのパーティーメンバーになったお祝いに豪華な食事でも行きましょう。」

ディートとリリアは固まっているレミィを連れ出そうと手を取る。



すると周囲の人の一人から質問された。

「あんたら凄いな。あの魔剣売れば金貨30枚はいくのに、簡単に折っちまうなんて・・・よかったらパーティー名を教えてくれないか?」



「そのうち知ることになるよ。」

ディードはそう言い残しギルド方面へ向かって行った。




「あれ?ディー?パーティー名ってもう決まっているの?」

リリアは不思議そうに尋ねてきた。

「いや、これから決めるから夕食の議題はそれだね。」

「何よーカッコつけちゃって~。」

「でも凄いですディードさんカッコよかったです。」

談笑しながら進む3人だったが・・・・・


(30金貨で売れたのか・・・・失敗したなぁ・・・)

ディードは一人心の中で悔やんでいた・・・・


良かった、続きが見たいと思ったなら、ブックマークか評価をして頂けると頑張ると思います。


最後まで見てくださってありがとうございます。


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