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異世界転生幻想放浪記  作者: 灼熱の弱火 
旅立ちの歌
16/221

第16話 旅立ちの歌

16話です。よかったら見てやってください。

 父と母の衝撃的な事実を知り硬直する4人は、動き出す前でに時間を要した。


 なんとか立ち直り、村へと帰還する。待っていたのは、叔父で村長のファースである。


「心配したぞ、それでよく無事で戻ってきた。それでどうだった?」


 洞窟のダンジョンの事、コアの事をファースに話す。ラエドとリリア


「わかった、ご苦労様だな。ゆっくり休むといい、当面はなんとかなるだろう。所で、あいつらは一体どうしたんだ?そうとう戦いが辛かったのか?」


 いまだに魂が抜けている4人に心配・・・?怪訝な感じで話家狩るファース。


「あーなんというかその・・・。衝撃が強い話を聞いてしまって・・・ハハハ。」

 困惑気味で話すリリアと苦笑いのラエド。


「どうしたんだ?お前たち?」話しかけるファースに対しエリンが「蜂蜜酒、母さん、こぼす。」


 その単語を聞いた瞬間、ファースが勢いよく後方に飛び下がる。


「お、おまえ、その話聞いたのか!あれは、不可抗力なんだから仕方がないだろ!ってかドルガ達は当事者だったろ、なんでそこまで衝撃を受けてる。!」 慌てるファース、しかしドルガの口からは、一言

「一目惚れと・・・」 ファースがさらに後ずさる。


「・・・・お前らその話は本人達の前で言うなよ。後が怖いってか俺は何も聞かなかったからな。」

 動揺し逃げるファース。 色々あったんだろう・・・・


 それから各自家に帰る面々、ディード達3人が家を開けた時に出迎えられたのは、ルビアの元気な鳴き声とそれをあやす父と母だった。

「ただいまー。」  「お帰りなさい。」この何気ない一言が何よりも心に響いた3人だった。


 翌日、リリアの口からこの村を出ると告げられた。グレイヴとファルナは特に反論もせずただ聞いていた。 


「父さん、母さん、俺リリアを一緒に旅をして世界を見てこようと思うんだ。行っていいかな?」

 告げられた言葉に、グレイヴとファルナが顔を見合わせる。やがてグレイヴが口を開く。


「おぅ!行ってこい、ちゃんとリリアちゃんを守るんだぞ。」笑顔で答えるグレイヴ。

「ただ、旅に出るのは1週間延ばしなさい。旅に必要な物をちゃんと揃えてからね。」

 と優しく語る、ファルナその手にはルビアがしっかり抱かれ小さな命は笑っていた。


 1週間は準備と訓練の連日だった。 

 少しでも生存率を上げるために父から、訓練という名の特訓(しごき)を繰り返す日々。


 岩蟲から鉱石が少し出てきたので剣を新調、アイテムも精製してもらう。

 新調した剣はミスリル素材が若干入っており、鋼の剣より強く、付加魔法できるロングソードとなった。


 夜は夜で、≪住処≫にて、ファグやアイリスから特訓を受ける、。多人数戦に慣れろと言うなの特訓(からかい)だ。


 理不尽な気もする・・・がこの先何が起こるかわからない。鍛えておいて損をすることはないだろう。


 そして1週間後、旅立ちの時が来た。


 アイテムボックスには、回復薬数個、食料、テント、雑貨など充実させておいた。 

 とりあえず最初に向かう場所は、西へ3日ほど歩いて見える町へ。

 西の町で、新たに旅装を整え、更に西へと進む計画だ。


 旅立ち日の深夜、≪住処≫へ呼び出される。

「どうしたんだ?今日は呼び出さないはずじゃなかったのか?明日から歩くからって・・?」

 不信に思うディード。 


「あぁごめんね、コレを渡したかったんだ。やっと出来たから。」

 アイリスから渡されたのは、青と赤の色をした。2つの腕輪だった。


「これは?」

「餞別っていうとおかしいかな、一緒に行くんだし。まぁそんな物。青がディード用。赤がリリアちゃん用だ。それぞれ用途が違うからね。」  

「なぁ、もしかして少しづつ俺の持ち物くすねて作ったのはコレなのか?。」

「まぁそうゆう事。足りない材料はこっちから出してるけどねぇ。ちなみに青の腕は魔力を注ぐと、小さい盾が現れる仕組み。赤の方は解毒と微量の常時回復さ。」 アイリスはコツコツと人の物をくすねては作っていたのか。素材が欲しいなら素直に言えばいいものの、いいんだか悪いんだか・・・


「ありがとう。素直に受け取っておくよ。朝、アイテムボックスから取り出すね。」

「うん。くれぐれも気を付けるんだよ?道中は何があっても不思議じゃないからね」

「素直に肝に銘じておくよ。それじゃ明日早いから戻るね。」

 そう言うとディードは≪住処≫から消えていった。


 ファグがアイリスに近寄る。「始まるな・・・」 「うん・・・」

「さ、後は見守るしかないかな、あの子達の行方を・・・」 「うむ」


「まぁ、ディードがアイテムボックスに色々入れたら、また何か作ってやればいいだろう。」

「ふふふ、今度は有料だよ。」 優しく笑うアイリスがそこにあった。


 出発の朝、結界の外側近くまで沢山の見送りが来た。嬉しいさ半分気恥しさ半分って所のディード。


「ディー、エリン、行ってらっしゃい。必ず戻ってくるのよ。」

「ありがとう姉さん、大丈夫、必ず戻ってくるよ。ルビアに『過去にお兄ちゃんがいた』とか言われたくないからね。」

「ふふ、それならいいわ。リリア、ディーの事よろしくね。」

「はい、お世話になりました。ありがとうございます。このお礼は必ずいたしますので。」

 深々と頭を下げるエリン。 


「ディー、これも持っていきなさい。道中飲みすぎちゃだめよ。」

「母さんこれは?」  

「ふふふ、母さん特製の≪蜂蜜酒(ミード)≫よ。色々ハーブも入っていて飲みやすいから」


 ファルナの口から≪蜂蜜酒≫と聞き、硬直する数名の姿が居たが気にしてはいけないだろう。


「ディー、リリアちゃん、必ず戻ってきてね。待ってるから。」ファルナが声をかける

「はい、必ず。封印が解けて、一度家に戻ってからこっちに伺わせてもらいますね。沢山お土産持ってきますから。」 リリアの明るい声が響き渡る。


「それじゃ行ってくるねー」元気よくディードが手を振りだす。 そして歩き出す2人にファルナが歌を紡ぎだした。


 ――貴方の為に歌を捧げましょう

    貴方が無事に戻って来られるように

     貴方が私の元に帰ってくる為に

   貴方の為に歌を捧げましょう

    貴方に愛を捧げましょう。

     貴方の無事を祈りましょう、

      私の元へ帰って来ますように――


 紡ぎだした歌は、いつの間にか現れた妖精たちによって、声が歌へ、歌が音楽へと変えられていった。

 その歌に勇気づけられ結界の外へと向かう2人。 その周囲には妖精たちが踊っていた。

 母の歌に酔いしれたエリン。ふと父の顔を見るとグレイヴは静かに泣いていた。


「この歌はね、お父さんがここを出た時に捧げた歌なのよ。昔を思い出したんじゃない?」

 ファルナがエリンにそっとささやく、


 グレイヴはここでファルナに命を助けられ、すべてを清算してから戻ってきたのだと。後にファルナから教えてもらった。


「ちゃんと帰ってくるかな?あの2人。」

「帰ってくるわよ、・・・きっと。おまじないもしておいたしね。」

「おまじない? 歌だけじゃなかったの?」 「ふふふ内緒よ。」


 笑顔で見送るファルナ。その顔には少し無邪気さが見られていた。


結界の外で涙ぐみながら歩くリリア、ディードは優しく手を引く。

「さぁ行こうリリア。」 「・・・うん!」


その時、小さな小鳥がリリアの肩に止まった。ファルナの魔法だ。

精霊に声を届けてもらう魔法だ。その小さな小鳥は緑色の風が巻かれているような小鳥だった。

その小鳥はリリアの頬に、クチバシを数度突くと姿が消えていった。


そしてリリアは、顔を真っ赤にして頭からは湯気が出ていた。

 母よ、リリアに何を言ったんだ・・・・

 「リリア?大丈夫?」

 「だだだだだだ大丈夫です!はい!。」 リリアは俯きながら速足で歩き始めた。

 「母さんに何言われたんだよー。」  「なんでもないです。なんでもないです。」連呼するリリア。


リリアは母の伝言を言うつもりがない。もしくは言えないだだろう。

ひたすら速足で歩くリリアに引っ張られるディード。


こうして、2人の旅は始まったのだ。

これで1章が終わります。

最後まで見てくださってありがとうございます。

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