第15話 思い出
15話です。
思ったよりも早くに投稿できました。
良かったら見てやってください。
「明け方とはいえ、野宿中にはさすがに呼ばれたくないな。」
「すまんな、どうしても言わないといけない事があってな。」いつになく真面目なファグ。
「どうしたの?何か大変な事があったのか?」ファグの真面目な表情に真剣みを感じるディード。
「うむ、実はな、・・・・・パラパラッパッパー♪ディードはLVが上がりました。」
「てんめぇぇぇ!」 殴りかかるディードを軽く回避するファグさすがに≪幻獣神≫を自称していない。
「なにしてんの?あんたたち。」呆れ顔のアイリス。 ぉぃ俺が悪いのかとジト目でみるディード。
「まぁいいわ、アナタに見てもらいたいものがあるのよ。貴方岩蟲を収納したじゃない?中に変な物があったから貴方が知ってるの物か確認したかったのよ。」と差し出す。アイリス。
それは、楕円形で透明な形をしている物だった。一瞬、コンタクトレンズに見えなくもないが、大きさは軽く3倍はある。人間の目には明らかに入らない物だ。
アイリスから渡された物を受け取ったディード、少し引っ張るとゴムのように伸びる。
この時点でプラスチックやガラスではない事が推測される。
「んーなんだろ?俺の前世の知識でも知らないものだから、この世界の物じゃないの?」
「だよねぇ。私達の知識でもわからない物だったんで聞いてみたかったんだ。」
念入りに見たがコレといってわかる物では無かった。
「ゴミ・・・・って訳でもなさそうだしな。何かの部品かもしれないね。」
「そうだといいけどね。まぁ悪い物じゃないみたいだし。このままアイテムボックスの中に保管でいいかな。」そう言うアイリスにふとした疑問を問いかけるディード
「なぁ、なんで岩蟲の中を漁ってたんだ?。」
「うっ・・・いやさ、少し鉱石を貰ってアクセサリーでも造ろうかと思ってさ。暇つぶしに。」
ぉぃ、暇つぶしで事あるごとに戦利品少しづつ、くすねるんじゃねーよ。
「ま、まぁ少し気になったら呼んでみただけさ。」
「ふーん・・・まぁいいけど、そうだこっちからも聞きたいことがあったんだ。」
「コアの事か?」 「察しがいいね。」 言う前に言い当てられてしまった。
「んーアレを壊すときに、少し願いが叶う仕組みって言えばいいのかな。説明が難しいんだ。」
「仕組み?そりゃ一体・・・」
「うん、だから難しいんだ、成功する時もあれば失敗もある。今日のリリアちゃんの場合は成功例と言えばいいのかな?」
「失敗の場合は?」
「まずは何も起こらない。他には暴走する、変形するといったところかな?」
「なにそれ怖い。」
「うん、これ以上は説明しずらいんだ。壊す時は何も考えずに壊すか、投擲などで壊すといいよ。」
説明しずらいか・・・・何か隠してるような気もするけど、答えてくれないんだろうな。
「で、呼んだのこれだけか?」
「LVアップはあるぞ、まずはアイテムボックスは少し拡張できる。オーク4体まで収納可能だ。」
「ほぅ、だから1匹よこせと?」 「わかってるじゃないか我が息子よ。」ニヤリ顔のファグ
狩っても入れたくない衝動に駆られるが、まぁここは我慢しよう。せっかく広がったんだ有効利用させてもらうよ。
「そうそう、俺旅に出るけど大丈夫だよね?」 「問題ないぞ、私達も付いていくし。」
来るんかい・・・まぁいいか色々役立つ事も教えてもらおう。
「そうそう西へ行くけどまち・・・え?」 ディードが言いかけている時にそれは起こった。
なんと目の前にリリアが立っているのだ。
眠りから覚醒するように、薄っすらと目を空けるリリア、固まる3人。
「ん?ディード、ここは・・・? え? 大きな狼・・・それと、どなた?」
寝ぼけているんだろうか・・・・リリアの反応が鈍い。それに全体的に薄くなってるような・・・
「・・・リリア、どーやって≪住処≫に来れたんだい?」
「わからない、少し寒くて丸まって寝てたはずなのに。ここはどこなの?それに奥の二人に見覚えが、」
≪住処≫の事は誰にも言ってないし、言っても信用すらされないだろう。
どうやって説明しようか悩むディード。
「リリア、これは夢だ。そう夢、現実では僕らは寝ているんだよ。」
誤魔化し作戦にでたディード。これで押し切れるなら押し切ってしまおうと考えた。
「夢?」 「そう、君は何かを言いたくてここにきたのかい?僕もここに呼び出されたんだ。」
嘘は言ってない、が少し心苦しい。
「夢の中でなら現実でも言えないこともここでは言えるんだ。何か言いたいことはあるかい?」
「ディード、そう・・・これは夢なのね。夢の中なら言いたい事があるの。私ね、貴方に助けられてから笑ったり、泣いたり、少しの間だけなのに城に居た時よりもずっと楽しかったの。」
城・・・城と来たか・・・どこかの令嬢だとは思ってたけど。貴族以上の身分なのだろうか。
「それでね、一緒に故郷まで行ってくれるって言ってくれて、本当に嬉しかった。現実じゃ言えないし、そし・・・あ・・が・・・・・で・・・。」
突如、砂嵐のように消えるリリア。どうやら≪住処≫から出てしまったようだ。
「一応聞いておくけど、今のは2人の仕業かい?」
「いや、入って来る時も、出て行く時も私達じゃないぞ。」首を振る2人
聞きたくない物を聞いてしまった気分だ。ディードは思う。
「どっかの王女様だったりしてな・・・・」
夜が明けようとした頃、≪住処≫から戻ってきたディード。
横向きになって寝ていた彼の背中から気配を感じる。 リリアだ、彼女は少し寒かったのだろう、ディードの背中の方に頭を寄せ丸くなって寝ていたのだ。
(これが原因で≪住処≫に来れたのかな?)
やがて夜が明け、全員が起き食事を済ませる。 そしてドルガ達の村があった脇に、小さな墓を作った。
小さい盛り土に木で作られた墓だ、村の中を探したのだが遺骨などは見つからなったからだ。
『村の民よ、安らかに眠れ。』 小さな墓標にはそう書いてあった。
リリアとエリンが探し取ってきた添えられた花も置かれていた。
「ねぇ、師匠、この剣を置いて行ってもいい?」 ディードが尋ねる。
それはディードとドルガが2人で初めて作った剣だ。少し刃こぼれをしている。
「どうしてだ?」
「師匠達が村に住んで元気でやってるよって証拠かな、下手くそな弟子と一緒に作ったってね。」
そうディードが言うと、ドルガは俯き、「好きにせい。」とかすれた声で言った。
この小さな墓標に剣が挿されディードはそこに酒をかけ、この地で散っていった人々に冥福を祈った。
帰りの帰路にて
「そーいえば2人は、なんでお母さんを怒らせてしまった?」 エリンがふと2人に話しかけた。
「あー・・・あれな・・実はな、ファルナの酒を飲んぢまったんだ。」ドルガが苦そうに語る。
「今のわしらが住んでる場所は実は、貯蔵庫だったのは知ってるな、わしらが引っ越して来た時、その場所から今の貯蔵庫の移している時にな、棚に酒を並べてたんだが、1つ落としてのう。わし等の顔に掛かってしまったんじゃ。久しぶりの酒で浮かれてしまって、そこで酒盛りをしてしまってな。ファルナの大事にしてた≪蜂蜜酒≫を飲んでしまったんだ・・・・全部。」
「その≪蜂蜜酒≫が問題でのぅ・・・ファルナが大事にしてただけあって、怒りが凄まじかったぞ。笑顔でどっからともなく弓が出てきてのぅ、矢も無いのに弓を引き始めたらファースが涙目になって止めたんじゃ。ファースが並べている時に落としたのも原因だったんじゃ。あの威圧は忘れられんぞ。」
と語るゴイ。 話を聞いたエリンは少し顔が青ざめた。
「え?≪蜂蜜酒≫でお母さん、精霊の弓取り出したの?なにそれ怖い・・・・」
ファルナの持つ精霊の弓はエリンもディードも過去に数度見たことがある。
結界の外で暴れていたオーガ達を倒すために、中央の樹の頂上から結界の上まで出て、そこから弓で数キロ離れているオーガに属性の矢が降り注いだのだ。
あの光景は綺麗で美しくも見えるが、オーガ達を一瞬で葬る母の強さも同時に知った貴重な光景だったのだ。
「多分その≪蜂蜜酒≫・・・グレイヴのお土産だったんじゃ?」 ラエドが語る。
「アレはお土産に買った酒をファルナさんが気に入って、一緒にグレイヴと作り始めたんです。グレイヴは、ファルナさんと一緒に作る酒が事が楽しみになってきましてね。その元になった酒が、そのお土産の酒だったらしいです。」
母の意外な一面を知る姉弟さらに衝撃的な言葉を耳にする。
「まぁファルナさん、グレイヴに一目惚れだったらしいですしね。その人の最初のお土産を他人が飲んだら・・・・あれ?どうしました?」
直立不動で固まる姉弟とドワーフ2人に、狼狽えるリリアの姿がそこにあった。
ちょっと小話( ・ω・ )
深夜、ちょっと他の話を書いていたら、妙なテンションなって出来上がったわけなんですが。
だめですね、深夜のノリでやって朝見直すと、書いていた自分に説教したくなります。
緊急事態宣言が延長されるかもだそうな・・・・
我が財布も常に緊急事態宣言状態なんですが、脱出の糸口すら見当たりません。
ここまで見てくれてありがとうございます。