第14話 帰還
14話です。 よかったら見てやってください。
オーガ達を殲滅し、一息つくディード。身体の力抜け座り込むディード。
「ふぅ・・・色々危なかったぁ。」 正直リリアのあの【魔力譲渡】が無かったやばかった。
「大丈夫?」と心配な顔で声をかけて覗き込んでくるリリア。
「大丈夫、君のおかげで助かったよ。」と、彼女の手を取り感謝する。するとリリアは慌ててる。
何かモゴモゴ言って聞き取れない上に、狼狽える姿は可愛い小動物に見えてきた。
取りあえず、危機は去ったと思う所だったが、ディードはもう一つの危機を感じる。
オーガの血を浴び、怒り顔で向かってくるドルガ。
「お~ま~え~は何、一人で飛び込んでるんだこのバカがぁぁ!」 とゲンコツをディードに喰らわす。
「だぁぁ! いってぇぇ~。」殴られ頭をおさえ、苦悶の表情のディード。
「無茶しすぎたバカたれ!囲まれたらどーする!一人でやるんじゃない。なんとかなったもの、もし何かあったら、あの2人に申し訳が立たぬ、ってか生きて帰れないわ。」
「ごめんごめん、あーするのがいいかと思って突っ込んだんだ、最悪アレ使うつもりだったし。」
「ならんわ。後先考えろバカもんが。」
ドルガの説教が続きそうだったが、エリンが近寄り、
「ハイハイ、お説教はここを出てからにしましょう。取りあえず目的は済んだし、早いとこ帰りましょう。早く帰らないと、日が暮れるし、野宿するなら、ここより外の外の方がいいわ。」
「むぅ、・・・・もっともだ、ディード帰るぞ、準備せい。」 エリンに促され渋々了承するドルガ。
「ディー、オーガの魔核と岩蟲はそのまま持って帰るぞ。アレは鉱石を食って蓄える性質があるから。」
やや不満げ表情残るドルガ、少し可愛く見えたのは黙っておこうと思うディードであった。
それからドルガの言われた通りにオーガの魔核と岩蟲を丸ごとアイテムボックスに入れる。
代わりに今まで入れていたゴブリンの死骸はここで置いて行こう。
それから洞窟を抜ける事になった。幸い、魔物との遭遇もなく外に出れたのは幸いだ。
洞窟の外に出た時には外は、夕暮れになっていた。 仕方なく今夜は野宿をすることになった。
洞窟から離れた所に設置、火を起こす危険だが食事は取らないと身が持たない。
ディードはアイテムボックス持ち、鮮度保持できるので食事は少しまともなのが救いだ。
メニューは大猪のシチューとパン、それに少々の酒だ。野外では贅沢な品だが、ディードのおかげであろう。
食事を済ませ。交代で見張りをすることに。
メンバーはディード、リリア組、エリン、ラエド組、ドルガ、ゴイ組の3組だ。
2人で約2時間ごとのローテーションで、ディードとリリアが最初の組にあてられた。
アイテムボックスから毛布を全員分取り出し、寝る面々、野営の道具はもう少し揃えようと思うディードであった。
やがて、4人が寝始めたころ、ディードとリリアの談話が始まる。互いに寝ない為に声を掛け合う。
「今日は色々大変だったね。お疲れ様。リリア。」
「お疲れ様ディード。 ふふ、これで何回目よ。」 彼女との初めての見張り、中々会話が出てこなかった。 何故なら、彼女の顔が食事の時辺りから、少し暗かったのが印象になったからだ。
「リリアかなり疲れているんじゃい?もし厳しそうなら、先に寝ててもいいよ。」
「ううん疲れてないよ。むしろ眠れないかな。少し考え事しちゃってたし。」
「確かに食べてる辺りから少し暗かったかな。悩みかい?」
「気づいてたのね。ごめんね。心配かけちゃって。」
火を見つめ丸くなるリリアその表情に陰りが見える。 多分色々と抱え込んでいるのだろう。
「おれで良かったら話相手になるよ。よかったら話して。それとも姉さんの方がいい?」
首を振るリリア。「ううんそんな事ないよ。」やがて少しの間沈黙が訪れる。
たき火の音だけが聞こえる静寂な空間、ここには今2人しかいないような感覚に襲われる。
静寂の中、彼女が意を決したように、言葉を紡ぎはじめた。
「あのねディード、聞いてくれる?私の事と、これからの事。」
「俺で良ければ。」 「うん、ディードに聞いてほしいの。」
「今日、ダンジョンのコアを破壊した時に光に包まれ、それが身体の中に入ってきたの。」
「うん」
「そしたらいつの間にか【魔力譲渡】が使えるようになってた。この魔法は中級魔法でね、以前の私も使えたの。最初封印が解けたのかと思ったの、けどダメだった。見えない所で、魔法を使おうとしたけど、使えたのは【魔力譲渡】だけ。それに封印の力が弱まったと思ったんだけど、そうじゃなかった。一体私はどうなったの?何かに書き換えられたような感覚を覚えたんだけど・・・・・こわいの。」
最後の一言がここに残った。リリアの姿がより小さく感じた。不安なのだろう。
「村に戻ったら調べてもらおう、それで考えるだけ考えてみよう。その不安をみんなに聞いてもらえれば楽になるんじゃないか?」 リリアが首を振る。
「そうじゃないの、なんていうか・・・自分が自分で無くなるような気がしてね。」
さらに小さくなるリリア。たき火を見る目にも少し力が無くなってるように感じた。
「もし、そうなっても、ちゃんと俺が起こしてあげるよ。絶対・・・どんな時でも。」
「え?」 リリアは戸惑う。 「どんな時でもって・・・・え?」狼狽える。
「あーいやその変な意味じゃないんだ、どんな時でも君は君って意味で励まそうとしたんだ。ホントダヨ。」 逆にあわめふためくディード。
(あー、なんか変に取られてしまったかもしれない。 励まそうとしただけなのに。
地雷を踏んだのか、俺、やってしまったのか?なんか告白してしまった感じなんですか?。
嫌がられるのか、このハーフエルフきもい、とか思われてしまったんじゃないだろうか。
・・・逆に俺が苦しくなってきた。)心の中でもがくディード。
ディードの慌ててる姿が面白かったのか、微笑むリリア。そして
「ありがとうディード、嬉しい。でもね、もう1つ考えてることがあるの。あのね、私遠くないうちに村を出ようと思うの。」 リリアが旅立ちを決意していたようだった。
「理由を聞いてもいい?」
「もちろん封印を解くため、そして兄弟になんで封印したのか聞く為。」
「村にずっといてもいいんだよ?」
「ううん、いつかは後悔すると思うの。なんであの時に行かなったんだろうとか、このままでいいんだろうか、ってずっと思うから。」 彼女の中ではずっと葛藤が続いていたんだろうか。
無理もない、彼女は一人この地に飛ばされ、武器もロクに使えない。魔法も使えない状態だったんだ、
もし、あの出会いがなければ彼女はどーなっていたんだろう。きっと最悪な状況になっていたんだろうな想像してしまう自分が少し嫌だった・・・。
「だから封印を解くために旅をして、強くなってあの場所に帰って聞くの。あたしを封印までして欲しかったのは、あんな物だったのかって・・・・。」
あんな物・・・・心当たりはあったのか、そう考えるとやはり彼女一人だと危険な感じがする。
ディードは少し考える、もう成人したんだし、見聞を広めるにもいいころ合いだと思う。
旅をして彼女の行く場所へ届けてもいいのでは・・・と
「なら、一緒に俺が行くよ、一人じゃ危険だろ。」
「え?だめだよ、私一人で行くよ、危険でしょ?」
「危険はお互い様なんじゃかいかな?第一、一人旅するには危険すぎる。リリアは騙されやすそうだし。」
「なにそれ、酷い。」 リリアは少し笑った。 彼女の笑顔が少し、かわいらしく見えた。
「それに俺も旅をしたいと思ってたさ、途中までもいい、リリアがちゃんと一人で旅出来るまで一緒に行くよ。」 「私、子供じゃないんですけどー。」少し膨れる彼女の顔が少し面白かった。
「どうせなら、一緒に旅しようよ。旅は道ずれ世は情けって言うじゃないか?」
「なにそれ?わかないけど?」キョトンとするリリア。 しまった。こっちではそんな事言わないのか。
「旅は一人より、二人以上がいいって事さ。」
「ふふふ変なの、でも・・・ありがと。」
そう言うとリリアは顔を少し赤らめ俯いた。 たき火のパチパチと鳴る音だけが聞こえる。
「信じていいの?ディード。」 視線を向け話しかけるリリアその瞳は何か期待にしてるようだ。
「ちゃんと許可もらうから、そしたら一緒に旅をしよう。」
少し照れ臭く視線を逸らすディード。 「うん・・・ありがとう。」
見つめ合う二人、静かな時間、二人きり、アマイフンイキ、ハヤクイッチャエ! キースキース
・・・・・・・・・いや、聞こえてるんですけどね、姉さん・・・
小声で言ってるが、その小声がこちらにも聞こえてきている。
他の3人も大きなため息をするのが見えた。なに期待してんだか・・・
なぁリリ・・・・・顔真っ赤だわ。
やがて交代の時間が来て狸寝入りしてる姉を起こすディードだった。
そして夜が明けようとしていた頃、≪住処≫に呼び出された。
ちょっと小話( ・ω・ )
4月末まで連日投稿を頑張ってみました。
このご時世のおかげで、投稿間隔が短くなりましたが、5月からは連日投稿ではなく少し間隔が空くと思います。
最後まで見てくださってありがとうございます。