表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生幻想放浪記  作者: 灼熱の弱火 
形ある物
113/221

第105話 再びあの場所へ

 

 ディード達が歩いていると、一つの人影が見え始める、リリアだ。

 彼女もこちらに気づいたのだろう、手を振りながらこちに向ってくるのが分かる。


「変な事を聞くけど、本物よね?ディー?。」

「そんな事を聞くって事は俺が出たのか、こっちはルビアが出てきたよ。」

「へ?ルビアちゃんて・・・あの?。」

「ああ・・・立ち会っただろ?お産に。俺と同じ年位に成長してたけどな。」


 ルビアの名前を聞くと呆けた顔をするリリア。


「どんな子だったの?。」

「あー明るい?。」

「ですねぇ、金色の髪に茜色の瞳の可愛い子でしたよ。きっと将来は世の男性が黙っていないと思いますね。」


 レミィはそう笑顔で答えるとリリアは少し悔しそうな顔をする。


「見たかったなぁ・・・。」

「まぁ、生きていればまた会えるさ。今はここを脱出しよう。」

「・・・・そうね。その時まで楽しみは取っておきましょう。」


 リリアは納得し頷く。丁度その時、少し離れた所から異世界へとつながる黒い渦が大地の揺れと共に出現した。


「あれが元に帰る道・・・・?。」

「いや、アレに飛び込んであの中で探す必要があるの。それは私が出来るから任せて。」

「ああ!わかったリリアに任せる。」

「お願いします、リリアさん。」

「えええ、それじゃ行きましょう!。」


 3人は出現した黒い渦に次々と飛び込んでいく。

 やがてその黒い渦は周辺の物を少しだけ飲み込んだ後、徐々に小さいくなり消えて行った。

 その様子を遠くの方で見つめている3人の影があった。


 ――――

 ――


「お兄ちゃん、あの人達(過去のお兄ちゃん達)戻って行ったよ。」

「そうか・・・・。」

「懐かしい姿ですね。」

「ああ・・・・本当は会わせたかったんだがな。」

「気にしないでください旦那様。私が会う事により変化する未来を避けたいとの事でしょう。今はそれよりも目の前に湧き出て来る敵を滅ぼしましょう。」


 赤髪の女性は未来のディードにそう伝えると、身体をその方向に向ける。

 するとそこから、小さな揺れと共に瓦礫の山々から次々とゴーレムが生み出されていく。その数はみるみる増え今も尚増え続けている。


「へー。やっぱりコアは2つあったか。」

「お兄ちゃん関心してないでちゃんと探してよ。」

「まぁ待ってな。たまには俺の嫁さんの活躍する姿を見とけ。これも勉強になるぞ。」

「よろしいので?。」

「ああ、存分にやってくれても構わないよ。このダンジョンは壊しても構わない。それにここは君と相性がいいだろ?。」

「ええ、いいストレス解消になりそうです。優しい旦那様に感謝を。」


 赤髪の女性は未来のディードにその場で躊躇う事無く唇を合わせ彼の首に抱き着く。

 その様子を見ていたルビアは顔を赤らめ、気恥ずかしいのか視線をそらしつつもチラチラと2人の事を見ている。


「ふふ、それでは行ってまいります。」

「ああ、くれぐれも無理はしないでな。」

「勿論・・・さぁ妹様。先陣は私が頂きます、後から付いてきて下さい。」


 そう言い残し彼女は、増え続けるゴーレムの群れに単身突き進む。

 突き進む中、彼女はアイテムボックスを出現させ白銀の長槍を持ち構えながら突進する。


戦乙女(バルキュリー)の名において、いざ参る!?。」


大量のゴーレムが産まれる最中、あっと言う間に先頭のゴーレムに白銀の長槍を突き刺しそのまま突き進む、1体2体と串刺し砕け散るゴーレム。彼女は臆する所かさらに加速して突き進みゴーレムを蹴散らしていった。


「ひぇ~相変わらず凄いね。」

「まぁ俺の嫁さんだしな。あれで実力の半分も出てないぞ。」

「・・・・マジ?。」

「マジだ。本気で戦うには相手と場所が悪すぎるからな。ほらルビア、そろそろ行かないと後が怖いぞ。」

「そうだ!?私も行かないと!。」


 ルビア思い出しかの様に赤髪の女性の後を追う。

 その様子を見つめ少し笑みをこぼす未来のディードは独り言を呟きながら立ち上がる。


あっちの俺(過去のディード)、頑張れよ・・・・。結末はお前次第だぞ・・・。」






 ――――

 ―――



 3人で飛び込んだ空間は最初の時と同じく、視界と感覚が狂わされる異様な空間。

 だが今回はリリアが早々に翼を広げ周囲の空間を緩和する。


「ここの空間は、様々なエネルギーが流れる場所みたいね。魔力、生命力、精神エネルギーなんて物もある。慣れないとすぐ身体を壊しかねないわね。」


 リリアは空間の流れみたいなものを感じ2人に説明をする。


「そんな物までわかるのか?。」

「凄いです!?リリアさん。」

「凄いのは、私じゃないわ、あの魔石を作った人よ。」

「魔石?。」

「以前ファグ様が貴方に渡していた魔石。ディーの意識が朦朧としている時に私に渡してくれたの。」

「そうなのか?。」

「ええ、そしてその魔石の製作者が未来のディー。つまりさっき私が会った相手なのよ。さらに帰り道までちゃんと教えてくれたわ。」


 リリアは紅玉の杖に魔力を込め始める。いつも以上に込め始めると徐々に小さな音が大きくなりやがてパン!という大きな音を鳴り響かせる。


「壊れたのか?。」

「いいえ、違うわ。逆探知の魔法が発動したみたいね。そしてこれが帰り道を作る音。少し黙ってて。」


 リリアは紅玉の杖から発せられた音を頼りに翼を大きく広げ羽先から似た音源を感知し始める。

 目を閉じ音に意識を傾けるリリア。


「・・・・見つけた!?行くわよ。『影拘束(シャドーバインド)』」


 リリアはディードとレミィを闇魔法の影拘束で胴体を縛り、白と黒の翼を羽ばたかせ異世界を翔けはじめる。


「凄い!?凄いですリリアさん。こんな凄い事が出来るなんて。」


 流れる景色を尻目に、レミィはやや興奮した状態でリリアに話しかける。

 リリアは少し気恥しいのか、彼女の声に少し戸惑いながらも応える。


「そ、そんな事無いわよ。固有魔法は私のだけど、他の情報や技術なんかはあの魔石から受け継いだだけなの。本当に凄いのはあの魔石よ。」

「あの魔石か・・・。」


 ディードはリリアの言葉に独り言を呟く。

(あの魔石の製作者は未来の俺だとリリアは言ってた。そしてそれをファグ達が持っていた・・・・しかもその事を言えなかった・・・いや口止めされてたのか。)


 ディードが思考に耽っているとリリアの声が聞こえてくる。


「ディー、ディーってば!?着くわよ身構えなさい。」

「・・・・え?。」


 リリアの声に我に返るディード。辺りを見回したときには既に異界へのトンネルに入っている最中であった。

 トンネルを抜け3人が目にした光景はあの迷宮都市の16階の光景。

 先程の激戦から左程時間が経っていないのか、イーリスが割った大地の亀裂は未だに残っている。


 3人は16階に再び降り立ち周囲を確認した。


「帰ってこれたのか・・・・?。」

「ええ、一応ね。まぁ飛ばされてから鐘一つ分ぐらいしか経ってない気がするけど。」

「兎に角、あの女性は危険ですので少し周囲を確認してきます。」


 レミィは兎の盾を使い、高らかに飛び跳ね周囲を確認し始める。


「とりあえず、1度ダンジョンを出ようか。」

「そうね、それについては賛成だわ。私も色々と調べたいことがあるし。」

「魔石の事か?。」

「ええ、無駄にしか思えない情報まで一緒に渡されて混乱気味なのよ。少し整理がしたいわ。」

「そうか・・・。」


 ディードも少し空を見つめながらそう返事をする。彼もまた色々な事がありすぎて気持ちの整理をつけたいのだろう。レミィには生きているからこそ次に繋げると言われ、立ち直ったものの、やる事は山積みなのだ。


「ディー・・・貴方宛てに1つ言ってくれって言葉が入っているわ。」

「俺宛てに・・・?。」

「ええ、魔石からの情報だと夜、住処に行け。だって・・・。」

「住処か・・・ああ、色々と聞きたいことがあるしな。今夜早速行ってみるとするよ。」


 リリアの言付けにディードは色々と思考を巡らしながら返事をした。


「ディードさん。周囲には危ない気配はありません。これからどうしますか?」

「1度ダンジョンを出よう。ライーザさん達の事もきになるから。」


 周囲の偵察を終えたレミィが空を飛びながら帰って来る。

 彼女の話だと周囲に魔物はいるものの、集団で集まっているのではなく、個々で餌となるものを探して回っている様に思えた、との事だった。


 3人は警戒しながらも15階の転送陣まで足を進める。しかし途中襲って来る魔物はおらず少し拍子抜けた形で転送陣まで辿り着いた。


「少し拍子抜けたけど無事に転送陣まで戻れたわね。」

「そうですね。今日はゆっくり休みましょうか。」

「ああ、取りあえずギルドに戻ってきた事を報告しよう・・・いや誰か走って来るぞ。」



 転送陣の部屋の外から、ドタドタと走り勢いよくドアを開ける人物、それは受付嬢のココルであった。彼女は大きく息を切らしながらディード達の事を見つけると、少し涙を浮かべながら声を上げてきた。


「ハァハァ・・・・虹の翼の皆様ご無事でしたか・・・。」

「ああ、ただいま戻ったよ。」

「一体・・・どこで何をしていたんですか?。7日間も戻って来ないで。」


 ココルの言葉に3人は驚きを隠せないでいた。


「「「7日間!?」」」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ