贖いの日々
小さな町の小さな教会の小さな告解室。
小さなな部屋は懺悔の部屋、人々は今日も赦しを求める。
一人の男が部屋の中に入った。
「私は悪い人間です。自分を想ってくれる相手がいながら彼女とは別に一人の女性を好いてしまいました。」
男は自分の罪を打ち明ける。
「それが悪いことだとはわかっているのに、今日も私はその女性の声が聞きたくて教会に来ています。神様は私をお赦しになるでしょうか?」
男は尋ねたが、壁の向こうから返事は来なかった。
男は理解したこれが自分への罰なのだと。
以降、男が教会に行くことはなくなった。
男は一人の女性を愛し続け幸せに暮らした。
男にも白髪が増える頃、男は妻を亡くした。
妻を弔ってもらうため、男は教会へ行った。
その際、老いた一人の修道女と目があった。
修道女は男を見てにこりと微笑んだ。
男は頭を下げると妻の方を見て微笑んだ。
ようやく赦されたというのに、男は黙って涙を流し続けた。