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第5話 白雪姫と王妃



「その隣の国というのが俺の住んでいる国だ」


王子は全てを話し終えた後、ポツリとそう付け加えました。



「そう……。でも話を聞いて良かったわ。だって私のことを憎んでいるから殺そうとしているわけではないのでしょう」


「うん、そうだね」



白雪姫と王子がいい感じで話を進める中、小人7がそれをぶち壊すかのように質問をしてきました。



「はいはーい!国の拡大の為に結婚したのに、なんでこの国とはまだ同盟国ってことで収まってるの?」


「そんなに簡単に領地を受け渡すわけないだろ。お前は黙ってろ!」


小人を代表して小人1が言いました。



「えー、はーい」


と、小人7が言いました。



「小人1~7はお義母様について何か知ってることはあるかしら」


「うーん、元々この国の人じゃないっていうことと」


「白雪姫のことを殺そうとしてるっていうことと」


「自分よりも美しいものが怖いってことかな」



小人たちは思い出すような仕草をしながら言いました。



「それ全部、さっき王子が言ってたことね」



白雪姫にそう言われてしまい、小人たちは思い出すように頭を巡らせました。



「あとは……うーん……」


「……あ!王妃はりんごが好きなんだよ!」


「あと、甘いお菓子も好きなんだよ!」



小人たちはやっと思い出せたのを喜ぶように、キラキラとした眼差しで白雪姫に言いました。



「りんご……。私がりんご嫌いなのを知っているからりんごを渡したのかと思っていたわ」


「美味しそうなりんごなら怪しまれずに食べてもらえると思ったのかも知れないな」


「それならりんごを使ったお菓子を持って会いに行こうかしら」



白雪姫は王妃の好きなものを持って行けば友好的な話に進めるかもしれないと思い提案しました。



「そんなことしたら今度こそ殺されちゃうかもしれないよ」


と、小人1。



「そうだよ!何か武器になるものとか持って行かなきゃ」


と、小人2。



「白雪姫一人じゃ心配だから僕達も付いて行こうよ!」


と、小人3。



「大丈夫よ。今まで一度も王妃の姿で殺されそうになったことはないから」


「俺も一緒に行こう。いざという時は俺が白雪を守るよ」


「ヘタレな王子が白雪姫を守れるのかな」


と、小人4。



「そもそも王子戦えるの?」


と、小人5。



「大事に育てられて、剣を握ったことすらないんじゃないかな」


と、小人6。



「王子弱そう」


と、小人7。


王子はもう完全に小人たちになめられていました。



「あのなぁ、甘やかされたどころかその逆で厳しく育てられたんだよ。剣術だけでなく体術や砲術だって教え込まれたんだからな!」


王子は過去の自分を思い出すかのように、大変だった日々を祟るように話しました。



「へぇ、意外と厳しく育てられてきたのね。流石第一王子と言うべきかしら」


「白雪まで意外だって思ったのかよ……」



白雪姫たちは城へと向かう準備をしつつ王子をからかっていたら、ドアをノックする音が聞こえてきました。

もうすぐ出掛けようとする時に一体誰なのだろうと思いながらも、白雪姫はドアを開けに行きました。



「はい、どちら様で……」



ドアを開けた先には、黒いマントを羽織ったお婆さんの姿がありました。



「こんにちは、美しいお嬢さん。私があげたりんごは食べてくれたかね」


「いいえ、お婆さん……いえ、お義母様」


「……!?な、何を言っているんだい?私は……」


「お義母様、もうこんなことは止めてちゃんと話し合いましょう。それと、世の中の人がみんなりんご好きだと思わないで下さい」



白雪姫にバレてしまい観念したお婆さんもとい王妃は、懐から指揮棒ほどの杖を取り出し呪文を唱えました。

すると黒いマントを羽織ったお婆さんがみるみると若返っていき、元の王妃の姿へと変わりました。



「あなたと話すことなんて何もありはしないわ」


「いいえ、私達は話し合わなければなりません。お義母様、あなたは過去に囚われているんですよ!もう村の人達を、お義母様の大切な人達を傷付ける人はいません。もう美しさに縛られなくてもいいんです!」



白雪姫は王妃の心に届くように必死に訴えるように言いました。



「何故あなたが私の故郷の人達のことを知っているのかしら。私はこの国の人達には誰にも話したことがないはずなのだけれど」


「それは俺が白雪に話したからです」


「あなたは……」


「数年前まであなたがいた隣の国から来た王族の者です。あなたが憎むべき相手は白雪ではない!あなたはちゃんと白雪と向き合うべきなんだ!」


「そんなこと……分かっているわよ!私を蝕んでいたあいつはもう死んだわ!もう美しさに囚われなくていいって分かっているのに、どうしてもあの時の恐怖が忘れられなくて……もう、どうすることもできないのよ……!」



王妃は自分の心をコントロールできずに叫び出しました。

そんな姿の王妃を見て、最初に言葉を発したのは小人たちでした。



「王妃様、それを解決できるのは時間しかないんだよ」


「温かい紅茶を飲んで、温かい布団で寝て、そうやって心を安らげていくんだよ」


「そうすればきっと時間が解決してくれる」


「一人でいるのもダメだよ」


「人の温もりって心も温めてくれるんだよ」


「そんな昔の事なんて楽しい記憶で上書きすればいいんだよ!」


「みんなで楽しく一緒に暮らそうよ!」


「お義母様、私はりんごがこの世で1番嫌いなんです。でも、お菓子を作るのは得意なんですよ。だからこれを一緒に食べませんか?」



そう言って白雪姫が差し出したのはアップルパイでした。



「あなたはりんごが1番嫌いなのでしょう?」


「はい、だから食べるのです。私は嫌いなものを克服する、お義母様は昔のトラウマを克服する。一人で抱え込むより2人で分け合った方が絶対楽ですよ」



白雪姫はそう言って、アップルパイを一口食べようとしましたが、あともう少しで口に入るというところで手が震えて、なかなか動かすことができずに結局食べるのを断念してしました。



「はぁ……私もすぐに克服は難しいですよ。ゆっくりでいいんです、お互い少しずつ克服していきませんか」


「……ごめんなさい。私、あなたにひどい事ばかりしたのに……。こんな私を許してくれると言うの?」


「許すも何も私達は家族ではありませんか。ちょっと度の過ぎたケンカをしたようなものですよ。……それと、これからは私のことを名前で呼んでくれませんか?」


「……っ、白雪っ!ええ、これから2人で……いえ、みんなで克服していきましょう」


「はい、お義母様っ!」



こうして白雪姫と王妃は和解をし、小人たちと共に幸せに暮らしました。




な、なんとか!!

本当にギリギリになっちゃいました……(´・ω・ `)

計画的に作業を進めるのって本当に大事なんだなと改めて思い知らされました……。

「りんごと白雪姫と王子と」は今回の話でラストです!最終回です!

なんとか書き終えました!

本当は白雪姫と王子の色恋沙汰も書く予定だったのに、書けませんでした(-ω-;)

今度番外編として書こうかと思います!

最後まで読んで頂いた方々、ありがとうございました!


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