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第2話 7人の小人



白雪姫と小人たちがいる家の近くで隣の国の王子様が一人で馬に乗って少し困った様子をしていました。


王子は馬に乗って少し遠くまで行くのが日々の楽しみなのですが、今日はいつもより少しだけ遠くまで行ってみようと思い馬を走らせていたら、いつの間にか知らない道に入ってしまい道に迷ってしまったのです。


困った王子は取り敢えず前に進むことを決めて進み続けていたら、ある方向から美味しそうな匂いが漂ってきました。

その匂いを辿ってたどり着いたのは小人たちの家でした。



「ああ、なんて美味しそうな匂いなんだ」



王子は馬を少し走らせたらすぐに国に帰る予定だったので、食べ物は何も持っておらず、お腹を空かせていました。

もしかしたら少し分けてもらえるかもしれないと思い、小人たちの家を訪ねることにしました。


コンコンと2回ほどドアをノックすると、とても美しい女性がドアを開けました。


――あぁ、なんて美しい人なのだろうか。こんなに美しい女性は今までに見たことがない!


王子はつい目を奪われてしまいました。






ドアをノックする音が聞こえて、白雪姫はアップルパイを切るのを途中で止め、入り口のドアを開けに行きました。



「もぉ、誰だよ。せっかく焼き上がってもうすぐ食べられると思ったのに!」


「早く食べたいのに!今すぐ食べたいよ!」



小人たちは突然の来客に邪魔をされ、口々に文句を言い始めました。

白雪姫はそんな小人たちの文句を無視して入り口のドアを開けました。

するとそこには一人の男性と一頭の馬が立っていました。



「突然の訪問で申し訳ありません。私は隣の国の……」


「隣の国の王子よね。あなたの肖像画を見たことがあるわ」



王子が自己紹介をしようとしていたところを白雪姫が食い気味に割って入って言いました。



「はい、そうです。第一王子の……」


「それで?その王子様が何故こんな森の奥に?」


「あの、名乗らせてもらっても……」


「私、人の名前覚えるの苦手なの。だから王子でかしら」


「あ、はい……」


「白雪姫は僕達の名前すら覚えないもんね。僕は小人1!」


「僕は小人2!」


「僕は小人3だよ!」


「僕は小人4!」


「僕は小人5!」


「僕は小人6!」


「そして僕が小人7!」



小人たちは次々に自分が白雪姫に呼ばれている名称を上げていきました。



「そ、そうなのか。じゃあ私はあなたのことを白雪姫と呼んでもいいでしょうか」


「白雪でいいわよ。あと敬語もいらないわ」


「ああ、分かった。よろしく白雪」


「ええ、よろしく王子。それで王子はどうしてこんな森の奥に?」


「俺は彼と走るのが好きでよく一緒に出掛けるんだけど、今日は少し遠くまで走っていたら道に迷ってしまったんだ」



王子は王子が彼と呼ぶ馬を撫でながら、楽しそうにそして少し恥ずかしそうに話をしました。



「この辺りの道は少し複雑だからね、僕達みたいにずっと住んでないとなかなか覚えられないと思うよ」


小人1が言いました。



「僕達でさえたまに間違えるくらいだしね」


小人2が言いました。



「それよりも早くアップルパイ食べようよ!」


小人3が言いました。



「りんごのタルトも!」


小人4が言いました。



「そうだったわ。あ、ねぇ王子。王子も良かったら食べない?」


「え!いいのか!?実は食べ物を何も持たずに出てきたからお腹が空いていたんだよ」


「そう、それはちょうど良かったわ。りんごはたくさんあるからたくさん食べてね」



白雪姫がにこやかに言うと


「そうすれば白雪姫はりんごを食べなくて済むもんね!」


と、小人7が無邪気な笑顔で言いました。



「黙りなさい?小人7」



白雪姫は微笑みながら怒気のオーラを放出して言いました。



「白雪はりんごが嫌いなのか?」



王子は白雪姫に馬の分の食料を分けてもらい、馬には外で食べながら待ってもらうことにして、王子は小人たちの家に入り椅子に座りながら白雪姫に尋ねました。



「ええ、食べるものがりんごしかなくなったら、自ら命を絶つくらいには嫌いね」


「そ、それは相当だな……。何が嫌なんだ?食べたことくらいはあるんだろ?」


「……?ないわよ?」


「ないのに嫌いなのか!?一口くらい食べてみたらどうだ?案外好きになるかもしれないよ」


「味どうこうの問題じゃないのよ。私は……」


「うわっ!美味っ!」



白雪姫が作ったお菓子を食べた王子はその美味しさのあまり声を出してしまい、白雪姫の話を遮ってしまいました。



「……ちょっと」


「あぁ、ごめん、あまりにも美味しかったから。それで何の話だっけ」


「はぁ、もういいわよ。美味しいなら良かったわ」


「ああ!うちのパティシエのより美味しいよ!」


「そう、ありがとう」


「……っ」



白雪姫のあまりにも美しい微笑みに王子は言葉を失ってしまいました。



「……?どうしたの?顔赤いけど大丈夫?」


「……え、あ、だっ大丈夫!」



どもりながらも王子は返事をしましたが、顔の火照りはなかなか取れません。



「い、いやぁ、本当に美味しいよ!……あ、そのりんごも食べてもいいかな」



王子が混乱しながら手に取ったりんごはさっき魔女が持って来た毒入りりんごでした。



「あっ!待って!そのままは……!」



王子がりんごを丸かじりするのを白雪姫は止めようとしましたが、一歩足らず王子はりんごをかじってしまいました。



「うっ!の……喉に!」



王子がかじったりんごは運悪く喉につっかえてしまい、王子は苦しそうにりんごを吐き出そうとしますが、上手く吐き出せません。

そんなもがき苦しんでいる王子を見た白雪姫は、冷静に王子の腹に回し蹴りを一発入れました。

ドスッという重たい音が鳴り響いた後に、王子は喉につっかえたりんごを無事に吐き出すことができました。


まさか回し蹴りをくらうとは思っていなかった王子は少し驚きましたが、九死に一生を得たので白雪姫にお礼を言おうと思って白雪姫の顔を見ると、白雪姫は怒ったようなだけど安堵したようなそしてどこか少し悲しそうな顔をしていました。


そして、ため息を一つついた白雪姫は最後は呆れた顔をして、


「バカじゃないの」


と、一言言いました。



「す……すみませんでした……。」



お礼を言おうと思ったのに王子は白雪姫の顔を見て謝罪の言葉がとっさに出てきました。



「私のお母様は王子みたいにりんごを丸かじりして喉につまらせて亡くなったわ。よかったわね死なずに済んで」



白雪姫は呆れたようなそれでいて少し怒ったような口調で王子に言い、寝室の方へと行ってしまいました。



「あーぁ、白雪姫怒っちゃったよ」


と、小人1。



「いや、あれは王子のバカな行動に呆れたんじゃないかな」


と、小人2。



「あそこはイケメンスマイルで『ごめん、ありがとう』って言わなきゃ!」


と、小人3。



「いや、それに『愛してるよ、白雪』も付け加えなきゃ!」


と、小人4。



「いやいや、ヘタレな王子にそんな度胸はないでしょ」


と、小人5。



「ていうか王子が白雪姫の遮った言葉、さっき白雪姫が言ったお母さんのことでしょ」


と、小人6。



「バカだなぁ、王子は」


と、小人7。


小人たちが純粋に言った言葉は、王子の心にグサグサと突き刺さり、そして最後に、


「ていうか、早く追いかけなよ」


と、7人の小人全員にとどめを刺されました。


王子は「はい……。」と一言言って、小人たちと白雪姫の寝室の方へと歩いて行きました。




あけましておめでとうございます!

2018年になりましたね!

2018年初投稿は「りんごと白雪姫と王子と」の第2話「7人の小人」です!

今年もよろしくお願いします(*^^*)

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