騎士と手合わせ
おそくかりましなした。
アンを抱えながら宿に戻ると、親父さんが驚いていたが説明をしたら爆笑していて、アンは恥ずかしそうに顔を手で隠していた。
「エルモンドさん……大丈夫ですから……下ろして下さいぃ」
アンの要望を聞いてゆっくり下ろしてやると、フラフラとした足取りで自分の部屋に戻って行った。
「朝食が出来てるから座っててくれ」
「はい」
親父さんの料理を食べていたら、慌てた様子でアンが下りてきた。
「ゆっくりし過ぎたぁ!い、行ってきま~す!!」
机の上にあった俺のパンを掴み咥えながら宿を出て行った。
「……あのパン、美味かったんだがなぁ」
残っていたスープを飲み終え、食後のお茶を飲んでいると鎧姿のガルシアさんがやって来た。
「ガルシア!来るときは鎧位脱いでこい!」
「し、仕事で来てるんだよ!」
「ったく…朝から騒がしい」
親父さんは文句を言いながら厨房に戻っていった。
「はぁ……親父には敵わねぇなぁ……」
ガルシアさんは頭を掻きながら俺の方に近付いてきた。
「おはようございます、ガルシアさん」
「ああ、おはようさん」
ガルシアさんは自然に俺と向かいの席に座ってきた。
「如何したんですか?朝から」
「ああ、今日は依頼……いや、頼みに来たんだ」
「頼みですか?」
「ああ……実は───」
ガルシアさんの話は長かったが、話をまとめると、俺の剣聖としての腕前を見たいから騎士団の修練場に来て欲しいと言う事らしい。
「まぁ……それ位なら構いませんよ」
「ありがたい!なら、早速行こう!」
「用意があるんで、少し待って下さい……」
ガルシアさんに待ってもらい部屋から刀を2本持って戻り、そのままガルシアさんの案内で騎士団の修練場に向かった。
修練場はかなりの広さで俺が5割の力で暴れても大丈夫そうだった。
「さて、いきなりだがコイツと手合わせしてやってくれるか?」
「隊長、いきなり過ぎですよ。彼、困っているじゃないですか」
ガルシアさんは到着するなり、女性騎士を呼んでそう切り出してきた。
「本当にいきなりですね……」
「まぁまぁ……ナタリアも軽く暖まって来たくらいだろ?丁度良いじゃないか」
「はぁ…………申し訳ありません……私の名はナタリア・リューカス。ドラグニア王国騎士団副団長をしております。手合わせ、お願い致します」
ナタリアさんはそう言って剣を抜いた。
「エルモンドだこちらこそ、よろしくお願いします」
居合いの構えを作り、彼女が動くのをまった。
(……彼女、強いな……多分、ガルシアさんよりも)
「……参ります!はあぁ!!」
ナタリアさんは剣を振り上げ凄い速さで向かって来たが、流石に母さんより遅かった。
「…………ふっ!」
俺の間合いに入ると同時に刀を抜きながら斬りつけると上手いことナタリアさんの剣を弾く事が出来た。
「くぅ……!」
まぇ迄はきりなりの刀をゆっくりあと閉まった
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