受け継いだ物
紅茶のティーパックが無くなった……
買いに行かないと
銀閃の剣聖──十数年前に起きた帝国との戦争で名前を馳せた女性らしい。
「母さんが…銀閃の剣聖?」
「その名前知ってたんだね?」
「ええ……森に住んでたとはいえ、たまに近くの街に行ってましたから……」
そういえば、母さんに拾われてから二年位したときに街に出ると、『剣聖が居なくなった』と騒いでいるのを思い出した。
「エル、君はその剣聖を受け継いだんだよ」
「俺が……剣聖……母さんを……」
自分に付けている銀色に輝く腕輪を見ていたら、ジュディさんが隣に座って優しく頭を撫でてきた。
「ジュディさん……俺、もう子供じゃ無いですよ……」
「ふふふ……大人しく撫でられなさい」
「……はい」
ジュディさんが満足するまでじっと撫でられていた。
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Other Said ~ティファ~
「……………………」
実技の授業の最中他の人の魔法を見ながらいきなり現れたエルモンドさんの事を考えてた。
(あの人……あまり……強そうに見えなかった……)
初めて見た時は格好いい人だなと思っていただけで、強そうとは思えなかった。
(でも……リーゼ先輩の魔法……剣を一回振っただけで……)
ぶつけたらすぐに折れてしまいそうな細長い剣でリーゼ先輩の堅牢な技を破っていた。
(私には……まだ……)
私の番になり的を破壊する為に撃った魔法だったが、的があった所に一メートル位のクレーターを作ってしまった。
「…………やりすぎた」
力が入って魔力を込めすぎたみたいだった。
次の人に変わる為にさっきまでいた場所に戻ると、アンが座っていた。
「あはは、気合い入ってたね?」
「……そんなんじゃない」
楽しそうなアンの隣に座ると軽く抱き付かれた
「考え事?」
「……ん」
アンは結構洞察力があり人の事をよく見ている子だ。
「何を考えてたの?」
「……さっきの人……エルモンドさん」
「そうなんだ? うん、凄いよね……リーゼ先輩の魔法を壊すなんて」
「……ん」
「まるで剣聖様みたいだったよね! 」
アンの言葉が引っかかりちょっと考えてしまった。
(剣聖様?確かエルモンドさんの名前って……)
「ねぇ……アン? 」
「ん? 如何したの? 」
「エルモンドさんって……剣聖様の知り合い……かな? 」
「え? どうして? 」
エルモンドさんの名前はエルモンド・デュレイン……剣聖様はアレクシア・デュレイン……単なる偶然かと思ったけど、気になってしまった。
「二人共……名前が……デュレインだったから」
「あ……そういえば……」
剣聖様に子供が居るなんて聞いたこと無いから、恐らく私の思い過ごし───。
「………………」
「でも、偶然だとおもうよ? 」
「……ん、分かってる」
あまり人の事を詮索したら失礼だから、この疑問は胸の奥に仕舞い込んだ。
Other Said End ~ティファ~
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五分位してジュディさんは満足したように離れ、元の位置に戻った
「……ジュディさん、母さんからの手紙には何が書かれてましたか? 」
「ああ、エルを学園に通わせて欲しいって書いてたんだよ」
「俺を学園に? 」
「うん、エルはアレシアから色々学んでると思うけど、ちゃんとした授業って受けてないよね? 」
「……はい」
確かに母さんから学んだのは剣術と基本的な読み書きとかだった
「そういう訳だから、通ってくれるかな?」
「母さんとジュディさんの頼みですからね……断りませんよ」
「ふふふ、ありがとね。準備があるから……そうね……明後日から通って貰うわね」
「分かりました。でも……俺、家無いですよ? 」
アンが自宅から通っているのを知っていたから聞いてみた
「大丈夫よ、ちゃんと学生寮もあるから。基本は二人一部屋だけど、エルは一部屋にしとくわね。アレシアの事もあるから。」
「ありがとうございます。」
こうして俺は明後日から学園に通うことになった────
色々思い付くけど筆に乗らない……
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