再開と告白
学園に付くとすでに授業が始まっているみたいで見える範囲に生徒は居なかった。
「…………広いなぁ」
学園の中は王城より小さいとはいえ案内無しでは迷いそうなくらい大きかった。
「…………とりあえず……中に入ろう……学園長なら……上の方に居そうだな」
学園の中も広くものの数分で迷ってしまった。
「…………何処だ此処は」
迷っている最中廊下を歩いてたら、授業の区切りと思う鐘が鳴り教室内から生徒の声が聞こえてきた。
「……やっぱり、賑わってるな」
「そこの貴方!」
キョロキョロしながら歩いていたのが怪しかったのか、背後から声を強くかけられた。
「……ん?」
振り返ると金髪を左側でくくり、レイピアを俺に突き付けている女の子が居た。
「…………何か用か?」
「何か用か?……じゃ無いわよ!学生じゃないクセに何堂々と不法侵入してんのよ!」
気が強い子らしく殺気を込めながら俺を睨んでいる。
「…………学園長に会いたいんだが……道に迷った」
「学園長に会って何をする気なの!?」
どうやらこの子は俺が学園長の命を狙っていると思っているらしい。
「…………面倒くさいな」
「何か言ったかしら?」
女の子の言葉を無視して視線を動かすと空気を通す為か窓が開いていた。
「取り敢えず、拘束させて───」
少しレイピアを引いたのを見逃さず開いていた窓から外に飛び出した。
「……悪いな」
「なっ!?ま、待ちなさい!!」
俺に続いて飛び降りようとしたのか女の子は一度身を乗り出してからまた窓の中に戻って行った。
地面に直立で降りると軽く地面が陥没した
「あ、あれ?エルモンド……さん?」
聞き覚えのある声に振り向くと教科書を抱えている女の子が二人居て、その内の一人はアンだった。
「……よう」
「え?あ、よう。……じゃ無いですよ……一体如何したんですか?」
「ねぇ……アンの知り合い……?」
アンに半身を隠して俺を警戒するように見ていた女の子が小声で喋った
「うん!ボクの家に泊まってるお客さんなんだ。昨日、ボク達のパーティーを助けてくれた人でもあるし」
「そう……」
その子はまたジッと俺を見つめてきた
「……………………」
「……………………」
目を逸らさずに見つめ返していると、先に目を逸らされた。
「…………ティファニア・ルータス……ティファで良い」
「ああ……エルモンド・デュレインだ」
「……ん」
ティファは無口な女の子みたいで小さく頷いてからまた、アンの後ろに戻った。
「それでエルモンドさんは何で此処に居るんですか?」
「いや……学園長に会いたいんだが……迷ったんだよ」
「なら、案内しますよ。良いよね?ティファ?」
「……ん」
分かりにくいがティファが頷いたのを見てアンとティファは歩き出した……が────。
『咎人を捉えよ……電極重牢!!』
俺が歩き出そうとした時、俺の周りを電撃が幾重にも重なり、牢屋みたいになり閉じ込められた。
「…………っ!?」
「うわぁっ!?」
二人は驚いている様だったが、魔力を練っているのを感じていたから、俺はあまり驚かなかった。
「ふふふ……捕まえたわよ!」
声のした方を向くと、さっきの女の子がドヤ顔をしながら俺を見ていた。
「あ、リーゼ先輩!こんにちは!」
「ん……こんにちは……」
「ええ、こんにちは二人共。丁度良いからこの不法侵入者を連れて行くの手伝ってくれる?」
「不法……侵入者……?」
「まさか……エルモンドさん……?」
「エルモンド?この賊の名前ね」
そろそろ出ても良いかな~と考えていると話をしている三人の後ろから見たことある女性がやって来た。
やって来た女性に対して敬意を払うように片膝をついて頭を下げた。
「久しぶりね、エル。何時までそこに居るのかな?」
「……今出ますよ」
片膝を付きながら刀を一閃させると、電撃の牢屋は霧散するように消えていった。
「わ、私の魔法が……簡単に……」
牢屋を作った子は呆然としていたが、俺は改めて女性……ジュディウス・アリントンに挨拶をした
「お久しぶりです。ジュディさん……先生をしているんですね?」
「そうなんだよ。所で君たち……そろそろ授業が始まるから教室に戻りなさい」
「で……ですが───」
「エステリーゼ・マティウス、二度言わせるつもりかな?」
ジュディさんの迫力にエステリーゼと言う子は震える声で返事をして戻って行き、アンやティファ達も戻って行った。
「私達も行こうか?付いてきて」
「分かりました」
ジュディさんに付いて学園に入り向かった先は学園長室と書いてあった部屋だった。
対面のソファーに座り気付いた事をぶつけた
「……学園長だったんですね…………」
「まぁね、それで……エルが此処に居るという事は………………」
「はい……師匠は死にました……」
「やっぱり……か……」
ジュディさんは俺と母さんが森に住んでいた頃に度々やってきた人で、俺からしたら姉のような人だ。
「母さ……師匠からの手紙です」
「ん、読ませて貰うよ。後、アレシアの事呼びやすい言い方で良いんじゃない?」
「……そうします」
ジュディさんは母さんの事を昔からアレシアとよんでいる。
部屋には手紙を捲る音だけが響き、その他には何も音がしなかった。
「なるほどね…………エルはアレシアから剣聖の銀輪を受け継いだんだ?」
「………………?」
ジュディさんの言った剣聖の銀輪の事が分からず首をかしげると深いため息を付かれた。
「アレシアから、銀色の腕輪について何か聞いてない?」
「いえ……ただ、決して外したらいけないとだけ」
「そういう事ね……」
ジュディさんは何かを考えるように腕を組みふと質問してきた
「アレシアが現役の時何て言われてたか知っているかい?」
「いえ……母さんは自分の事余り話してくれなかったから……」
「アレクシア・デュレインはね
『銀閃の剣聖』
って呼ばれて居たんだよ」
ジュディさんの言葉に思わず固まってしまった────
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