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見守ってくれた人(刀)


 朝、香ばしい匂いと胸の上で跳ねるシルヴィの衝撃で目が覚めた。

 「ん……おはよ、シルヴィ……」

 身体を起こしシルヴィを優しく撫でると『きゃうきゃう♪』と嬉しそうに啼いていた。

 「あ、主様お目覚めになられましたか。朝餉あさげの用意が出来ております、どうぞリビングへ」

 「ん、ああ……ありがと………………ん?」

 声をかけられた方を見ると銀色の髪を腰まで伸ばし白い浴衣の様な服を着た女性が立っていた。

 「っ!」

 シルヴィをベッドに降ろし立て掛けていた白刀を掴もうと手を伸ばしたが、この手は空を切った。

 「チッ!」

 まだ置いてあった黒刀を掴み女性を睨んだ。

 「誰だ!どうやって入って来た!?」

 「落ち着いて下さい主様。わたくしは白亜と申します。主様がお持ちになっておりました【白い刀】でございます。」

 そう言って女性……白亜は恭しく頭を下げた。

 「…………その言葉信じる証拠は」

 「畏まりました。では……ん」

 白亜の身体が光り、その光が消えると白亜が居た所に母さんから受け継いだ白い刀が浮かんでいた。

 『コレで信じて頂けたでしょうか?』

 「…………信じるしか無い、か……」

 『ありがとうございます。ん……では改めて挨拶を。私は霊刀【白亜ハクア】主様……エルモンド様の刀でございます。」

 白亜は刀から人型に戻りつつ挨拶してくれた。

 「主様がお持ちになっております刀は霊刀【黒羽クロハ】今はまだ眠ったままですが、目覚めた時は必ず主様の力になりますわ」

 「なるほど……それで、何で今表れたんだ?」

 「エルモンド様の意志に従う為に姿を表しました」

 「俺の意思……ね」

 「はい、私はその為の矛であり盾であります」

 白亜はそう言って片膝を床に付けてしゃがみ頭を下げた。

 「我が刃、貴方の為に」

 「ああ……白亜の力、存分に使わせて貰う」

 「はっ!」

 『きゅいきゅい♪』

 シルヴィは俺と白亜の周りを嬉しそうに回っていた。


 「白亜、そろそろ学園に行く用意がしたいんだが……」

 「はい、朝餉は出来ております。制服は其方の衣装棚に掛けておきました」

 「ありがと、着替えたら行くよ」

 「畏まりました」

 白亜はシルヴィを抱き抱えて寝室を出て行った。

 「ふぅ……母さんも言ってくれれば良いのによ……」

 母さんに対して小さく愚痴を溢しながら学園の制服に着替えた。

 制服は白いシャツに若葉色のネクタイ、空色のブレザー、ブレザーと同じ色で赤いラインの入ったズボン。それに俺は白亜と黒羽を付ける為のベルトを付け黒羽だけを付けた。

 リビングに入るとジュディさんが居て白亜が作った朝食を食べていた。

 「……おはようございます、ジュディさん。…………何で居るんですか?」

 白亜が案内してくれた席に座りながら尋ねてみた。

 「おはようエル。初日だからね、エルを学園に案内するのと担任の教師に紹介するためだよ」

 「……そうですか」

 白亜の作った朝食はパンとミルクそれに野菜の入ったスープだった。

 「そうだ……ジュディさん」

 「ん?何かな?」

 「シルヴィですが、授業中与ってくれませんか?」

 「ふむ、構わないよ。ご飯はミルクで良いのかな?」

 「はい、お願いします」

 そう言ってシルヴィをジュディさんに渡すと早速なでなでしていた。

 「それじゃ、学園に行こうか」

 「分かりました」

 ジュディさんの後を付いて学園へと向かった

 ─────────────

遅れました!



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