学園寮と子供の名前
遅れないと言いながら遅れました!すみませんでした!
ニルファーナの子供を連れて王国に戻ると、街門の前にガルシアさんとナタリアさんが騎士団を連れて集まっていた。
「……静かにしててくれよ?」
『きゃう』
返事を聞いて子供をポケットに入れたら大人しくしてくれた。
街門に近付くとガルシアさんとナタリアさんが走って近付いてきた。
「エルモンド君!無事だったか!」
「……は?」
「よかったです。森に銀狼が出たと報告があったので、今から出るところなんです」
「銀狼?気配も何もありませんでしたよ?」
俺は森の奥まで入ったがオークしかいなかったと伝えると、二人は何故か安堵した様子だった。
「そりゃそうか、銀狼ならもっと北の方に居るしな」
「となると……報告して来た方は嘘の報告を?」
「さぁな、見間違いもあり得る。ま、安全なら良いさ」
ガルシアさんは肩を解すように回しながら騎士団の方に戻って行った。
「お前等、銀狼の件は見間違いによる誤報らしい。通常任務に戻ってくれ」
ガルシアさんの言葉で騎士団の人達は安心したように門の中に戻って行った。
「エルモンドさんもありがとうございました。お時間を取らせてしまいすみませんでした」
「いや、大丈夫」
ヒラヒラと手を振り任務の報告をするためにギルドに戻った。
ギルドに入ると受け付けをしてくれた女性が居て、俺に気付くと手を振ってきた。
「あ、お帰りなさい。随分早かったですね!」
「まぁ、オークなんで」
言いながらオークの魔石が入った袋を出したら女性は手早く魔石を鑑定していた。
「はい、魔石の数、状態共に大丈夫です。こちら、報酬と魔石の換金した額の銀貨三枚になります」
「以外と多いんだな……」
「はい、オークはB級危険種、それに群れでしたからね」
「なるほどな……それじゃまた来ます」
「あ、はい!お待ちしていますね」
ギルドから出て宿に戻ると、アンとティファが居て席に座って話していた。
「あ……」
「ん?どうしたのティファ?……あ、エルモンドさんだ」
ティファが先に俺に気付きアンと一緒に近付いてきて俺の手を掴みさっきまでいた席に連れて行かれた。
「何なんだいったい……」
「エルモンドさん!ボク達に剣技を教えて下さい!」
「ん!」
二人は鬼気迫る様子で俺に向かって来ていた。
「落ち着け二人共……先ず、何で俺なんだ?他に相応しい奴が居るだろ?」
二人は言葉を詰まらせて顔を見合わせていた。
「ボク達はまだ魔法剣士として未熟です……」
「でも……先生は武器の扱いや、初級魔法ばかり教えてくる……私達が1年生だからのもだけど」
「なら、ゆっくりで良いじゃないか?……無理してケガするより良い」
「でも……」
ティファは唇を軽く噛み強い意志を持った目で俺を見てきた。
「私達、何時も守られてばかり……守られるだけは……嫌」
「ボクも!」
二人は俺をじっと見て目を逸らさなかった。
「…………分かった。だが、俺が教えるのは簡単な技だけだからな」
「ありがとうございます!」「ます!」
二人の返事に軽く手を振って俺は部屋に戻った。
「お?お帰りなさいエル。迎えに来たわよ」
部屋に入るとジュディさんがベッドに座っていた
「あー……すっかり忘れてました」
「やっぱりね……来て良かったわ」
荷物(ほとんど無い)を纏めているときふとあることに気付いた。
「そういえば……何でここに居るの知ってるんですか?」
「ん~?内緒♪♪」
「…………そうですか」
ポケットから大人しくしていた銀狼の子をジュディさんが座ってるベッドに置くとジュディさんが飛び上がってベッドから離れた。
「エル!?な、何で銀狼の子供がここに居るのよ!?」
「託された……その子の親に」
「託されたって……」
納得していないジュディさんに子を託された経緯を説明すると納得してくれた。
「分かったわ。でも、なるべく人の目に付かないようにね?知ってる人は知ってるから」
「分かりました」
纏めた荷物をベッドに置くと銀狼の子は荷物に近づき登ろうとしていた。
「ねぇエル?その子の名前は?」
「名前……?」
子を見ると荷物に登りきってどや顔で俺を見てきた。
「そういえば……決めてないな……」
「ちゃんと決めてあげなさいよ?」
「分かってます」
「ん、なら行きましょうか?部屋はもう準備出来てるから」
「分かりました」
荷物を持ち乗っていた子をまたポケットに入れ刀を腰に付けてジュディさんに付いて部屋を出た。
「お?少年、出るのか?」
「えぇ、ジュディさんにお世話になりますから」
説明を省いて答えると親父さんは何も聞かないで判ってくれた。
「まぁ元気でな。たまには飯を食べに来いよ」
「分かりました。お世話になりました」
親父さんに礼を言って宿を出た。
ジュディさんに付いて学園の隣にある寮に入った。
「あ、思い付いた」
「どうしたの?」
「いや、この子の名前ですよ」
「あ、気になるわね。でも、その前にサリエルー」
「あら、ジュディ先生。如何したんですか?その子も」
ジュディさんが一人の女性……サリエルさんを呼んで俺の説明をしてくれた。
「分かったわ。じゃあエルモンド君これからよろしくね。私はこの寮で寮母をしています、サリエル・エルクシルです」
「エルモンド・デュレインです。よろしくお願いします」
「ええ、はいコレ。貴方の部屋の鍵よ、部屋の場所はジュディ先生に付いていけば分かるわ。」
「ありがとねサリエル。エル、何か分からない事があればサリエルに聞きなさいね」
「分かりました」
「じゃあまたね、行きましょう」
「はい、サリエルさんこれからよろしくお願いします」
サリエルさんと別れ寮の階段で最上階(三階)に行き303と書かれた部屋に付いた。
「ここが貴方の部屋よ。学園で必要な物はある程度有るから」
「ありがとうございます」
部屋の中は広く寝室、トイレ、浴室、リビングの四部屋と軽い料理が出来そうなキッチンも付いていたあった
「……広いですね」
「まぁね、三階は全部こんな感じよ。二階までは四人部屋になってるわ」
寝室に荷物を置きリビングに行きポケットから子を出した。
「あ、そういえば……その子の名前は?」
「ああ、コイツの名前は……シルヴィです」
「シルヴィ……ふふ、良い名前ね」
ジュディさんはシルヴィを抱っこして優しく撫でていた。
数分撫でてからジュディさんは帰って行った。
「……これからよろしくな?シルヴィ」
『きゃう』
シルヴィを抱き上げて新しいベッドに横になり明日に備えて眠りに就いた。
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名前の応募に応えて頂きありがとうごさいました!PN.ツカサ様ありがとうごさいました!
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