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プロローグ

初めて投稿します。拙い文章表現ですがどうぞお付き合い下さいませ


─────────────────────────────────────


 『エルモンド…その押し入れにある…剣を二つ持って……来なさい…』

 『師匠、コレですか?』

 押し入れにあった白い鞘と黒い鞘に収まっている随分細く軽く反りが付いている剣を持ちベッドで寝たままでいる師匠の枕元まで持って行った

 『ああ…コレだよ…』

 師匠はゆっくり身体を起こし二本の剣を持った

 『この剣はね…刀と言うんだよ…』

 『刀…ですか?』

 聞いたことの無い名前を聞き首を傾げると師匠は優しく俺の頭を撫でてきた

 『この武器はね…遙か東にある国で創られたモノなんだよ…』

 師匠は俺の頭から手を引き白い鞘を優しく撫でながら話してくれた

 『コレを…エルモンド…君に与えよう』

 『師匠?』

 刀と言われる剣を押し付けられ慌てて両手で受け止めた

 『私はもう…年だ…ソレは私の形見だよ…受け取りなさい』

 『形…見?師匠…まさか…!!』

 『察しが良いね…私はもう死ぬ…エルモンド…私は君に、全ての業を教えた…君なら私の跡を十分継げる…』

 『でも…でも俺は…まだ師匠に勝った事がありません!』

 『いや…君は私をもう上回っているよ…』

 『でも…!!』

 『聞きなさい!エルモンド!』

 『…ッ!?』

 師匠の迫力ある言葉に思わず気圧され言葉を飲み込んだ

 『私が死んだらこの家を出て、家に火を放ちなさい…そして、自分の信念を持ち生きなさい…君は今日で十五になります…立派に育ちましたね…私の…自慢の息子ですよ…』

 『し、師匠…』

 知らぬ間に涙が溢れ頬を伝っていた

 『自立の時ですよ…君の為に…厳しくした甲斐が…ありました…黒い刀を…』

 『はい…』

 師匠に黒い刀を渡すと何か呪文を唱えた

 『この刀…コレはエルモンド…君が、本当に大切な人を護りたい時になったら…抜けるようにしました…』

 『大切な人…?』

 『ええ…仲間、友人、そして愛する者…そのような人を護りたい時にこの刀を抜きなさい…必ず貴方の支えになるでしょう…分かりましたね?』

 『はい…忘れません!』

 『ふぅ…沢山喋って…疲れ…ました…』

 師匠はゆっくりベッドに横たわり呼吸を荒くしていた

 『私の…財、そして、コレを…君に…』

 枕の下から銀色に輝く腕輪、そして何かを書いた紙を俺に預けた

 『師匠?コレは?』

 『私…の跡を…継いだ…証、さ…決して、腕から外しては、いけないよ…』

 『は、はい…!』

 師匠の目からだんだん生気が失われ、言葉からも覇気がなくなっていた

 『君、の…ような…息子、が…出来…て、幸せ…だった…よ…』

 『俺…も、師匠のような母親が…いて幸せでした…!』

 刀を床に落とし強く師匠の手を握った

 『泣くんじゃ…ない…男なら……笑って………見送り…な……』

 最後の言葉を言い終わる前に師匠の手から力が抜け俺の手から抜け落ちた

 『し、師匠?師匠……う、うああああぁぁぁ!!!!』

 師匠の手を再び握りしめ涙が枯れるまで泣き続けた


 涙が枯れ、落ち着いてきた俺は師匠から渡された腕輪を左腕につけ、手紙を開いた

 手紙には、この家にあるお金、ある人に渡して欲しい手紙、そして、師匠の名【デュレイン】を継ぐ旨が書いてあった

 師匠の手を胸元で組ませ一度師匠の部屋を出て旅立ちの用意をした

 師匠の…いや、母さんの用意してくれていた黒を基調とした服を着て、左腰に二本の刀を下げ再び母さんの部屋に戻った

 『母さん…今までありがとう御座いました…エルモンド・デュレイン…旅に出ます!』

 母さんに挨拶するとすぐに家を出て、言い付け通り家に火を付けた

 『さよなら…母さん…』

 火が家を包み込むのを見てから俺は慣れ親しんだ家を森を振り返る事無く真っ直ぐ出た


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