『誰もいない部屋』
掲載日:2025/12/23
とりあえず読んでみてください。
開かれた 扉の向こうで
遠い声が 歌った。
けれど そこには
誰の気配も なかった。
記憶の背を
なぞるような 足音が
ふと 床をすり抜けて
風の奥に 消えていった。
見知らぬ気配に ふれるたび──
あなたの輪郭は
かすかに 揺らいだ。
崩れかけた輪郭を
縫いとめるように
あなたは そっと
遠ざかった。
それは
祈りのようだった。
その奥には
言葉にならない
焦がれが あった。
──誰もいないはずの部屋。
けれど
見えないまま
遠い記憶のように
風のあとさきが
そこにいた。
読んでくださった方々、ありがとうございました。




