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僕と詩織はテーブルに向き合って、座り、彼女が作ったカレーライスを食べた。
彼女はカレーをスパイスから作る。出来上がった料理は一流店みたいにおいしかった。
「実験と料理ってすごく似ているの。私は手先が器用だし」
詩織はそんなことを言っていた。
僕らはカレーを食べながら、赤ワインを飲んだ。
部屋の中はやけに静かだった。時々車の音や風の音が聞こえるだけだ。
「おいしい?」
詩織は僕の目を見つめて言った。
「おいしいよ。病気がよくなったら店でもやろうよ」
僕はカレーをすくい口に運び、ワインを飲んだ。
夜の食事の時間は穏やかに過ぎていった。
食事を終えると、僕はシンクで皿を洗い、詩織は風呂に入った。
詩織が風呂から上がると、僕は風呂に入った。湯船に浸かりながら、今の生活のことを考えた。きっと詩織の病気はよくなるだろう。そうしたら僕らは結婚できるかもしれない。
風呂から上がると、詩織はソファに座り、缶ビールを飲んでいた。
僕も冷蔵庫から缶ビールを取り出した。
「病気はよくなっているの?」
「お医者さんの言うことだと後、数年でよくなるかもしれないって」
「僕もきっとよくなると思うよ」
テレビではニュースがやっていた。詩織は自然と僕の肩に頭を乗せた。