最強ギザ歯はミニスカを見られたくないです
ミニスカの日ですってね。
小角伏人
ミニスカといえば、妹に何故か履かされ女装させられた思い出
来馬晶
ミニスカといえば、莉緒莉奈姉妹がハロウィンで去年してたミニスカ警官
「ぬううううう……!」
アタシは今、危機に陥っている。
それは、今日の朝に遡る。
「私服でミニスカって履いたことあるか?」
伏人が聞いてきた。
「ねえよ、しねよ」
「なんでだよ!? 聞いてみただけでしょ!」
「見たいのか?」
「見たいね!」
伏人が力強く宣言する。
引いた。
「お前は俺に見せたくないのか?」
「見せ、たくない」
あぶない……嘘だろ、なんで一瞬戸惑った?
「今、一瞬戸惑わなかった?」
「なかったわ馬鹿、しねよ」
「なんでだよ! 聞いてみただけでしょ!」
「……見たいのか?」
「見たいね! ……なんで二回聞いたの!?」
今日の伏人は鼻息荒い。
引いた。
「百万な」
「ペリ〇でいいか」
「地下まで堕ちろ」
「ミニ、スカッ……」
「……なんでそんなに見たい?」
「今日ミニスカの日らしいんですよ」
「え? それだけの理由?」
「いや! それだけというか、それで、なんか見てみたくなったというか、あの……今から気持ち悪いこと言うぞ?」
「しねよ」
「早―よ!」
「いってよし」
「その『いって』はスピーク? それとも、手偏?! 言ってオア逝って?」
「とりあえず、スピーク」
「イエス。サンキュウ。……あのですね、気持ち悪いとは思うのですが、なんか、彼女の色んな面を知りたいと言いますか……多分晶さん人様にミニスカ姿見せたことないじゃないですか?」
「ねえな」
「なんかそういうこう初のミニスカ姿を彼氏としてみたいと思ってしまいまして……」
こいつ……! 何言ってんだ?
うあああ。
なんだ嬉しいのか、アタシ! いや、気持ち悪い発言してるぞコイツ!
いや、しかし……。
「ちょっと、考える……」
そう言って登校時のミニスカ話は終わった。
昼休み、弁当を一緒に食べている時に、ちょっと聞いてみた。
「ミニスカってさ、」
「うん!」
勢いがキモイ。
「勢いがキモイ」
「声に出てるぞ、おい!」
「ミニスカってさ、ど、どういうの?」
「え? あー、あー、いや、どういうのとかは特になく」
「ね、ねえのかよ」
「なんでもいい、というか、見てみたいと思っただけで」
「そっか」
「うん……え? おわり!?」
「見せるとは言ってないだろ」
騙された! みたいな顔をして伏人が絶望して昼休みが終わる。
放課後。
「ウチ、来るか?」
「おーう」
伏人は昼休みの事などなかったかのように呑気な馬鹿面を晒している。
帰り道、伏人はもうミニスカの話をしなかった。
こういうヤツだ。嫌がるなら迫らない。
ウチでそれぞれ漫画を読んでると、伏人がそろそろと帰り支度を始める。
「あのな、」
「うん?」
「見ても絶対笑うなよ」
「何を?」
「そ、その、ミニスカ」
「え? え?」
「見せてやる!」
「連邦軍のモビルスーツ?」
「やめるか?」
「見ます見ます!」
そして、今アタシはさっきトイレに行った時に立ち寄ったママのミニスカを持って脱衣所にいる。
「ぬうううう……」
いや、でも、見たら喜ぶのか? アタシのミニスカ姿だぞ?
っていうか、ママすごいな。こんな短い、かわいいスカート。
履いてみる。
チェックのタイトミニ。
なんだ? かわいくないな。
え? どうする?
これ、アリか?
でも、見せるって言ったし……。
「おい、晶」
!! 伏人!? なんで!? 近いな! 扉越しだけど!
見えてはいないけどなんかめちゃくちゃ恥ずかしい。
「あー、すげえ時間かかってるから。別に無理しなくていいぞ」
う。
「……いや、無理じゃないから。その、他の子のミニスカ見てテンション上げるくらいなら、あ、アタシの見ればいいし」
「いや、別に他の子の見たいとか言ってないし……」
「とにかく! アタシが言われたんだからアタシの見ればいいだろ……その、見せるぞ」
「お、おう」
異様な緊張感。
何だ? アタシたちは何をしてるんだ?
開ける!
伏人が見てる。
めっちゃ恥ずかしい! めっちゃ恥ずかしい!
なんか言え! 罵るなら罵れやあ!
「あ、の、かわいい、な」
それから、短いスカートを押さえながら俯くアタシと、見過ぎないよう俯く伏人と、二人して長い時間黙って今日が終わった。