27.もし宿泊地に向かう場合
完全に忘れてましたが、9/1は防災の日でした。
災害に備えるのは当然ですが、季節の変わり目で体調を崩さない様にしましょう。
災害はいつ起こるか分かりません。重い風邪をひいて寝込んでる時、すぐに避難しないといけない事だってありえます。
特に、このご時世で免疫力が落ちるのはかなり危険です。
手洗いうがい、適度な運動と睡眠、バランスの良い食事、気候に合った衣服。等々。
やれる事はいくつもあります。特に気が緩みがちな今が一番危険なので、改めて気を引き締めていきましょう。
ps.執筆をサボってる間に、100件以上もの誤字脱字報告を送ってくださった方がいました。
本当にありがとうございます。感謝のあまり、頭が上がらなすぎて思わず前転しちゃいましたm(_ _)m
また、描写や文法のミスを指摘してくださる方もいて、いかに自分が雑に書いてるかを自覚しました。
これからはそういったミスが少なくなる様に精一杯努力します。
今後も、数え切れないほど信じられないミス(本文数百字の欠落など)をしてしまうでしょうが、もしよろしければバシバシ指摘を頂けると幸いです。
なろうアカウントを持っていない。
自分の指摘を公開されたくない。
などの場合は、お手数ですがユーザーページのURLから、質問箱経由で送って頂ければ匿名で出来ますので、よろしくお願いします。
長くなりましたが本編をどうぞ。
『8ページ 救助活動
日本の法律を参照すると、要救助者が近くにいても、自分自身にも差し迫った危機がある場合は人命救助を行う義務や責任はないとされている。
しかし、読者がどういった状況下に置かれていようと、人を助けるメリットというのはある。
倫理観。
現代社会で道徳の教育を受けていない人はほぼ存在しない。
助けられる人を見捨てるという選択は、一般的に悪とされる。仲間との不和や、精神に悪影響をもたらしかねない。
労働力。
人が一人で出来る事はあまり多くない。
だが、人数さえ揃えられれば出来る事が一気に広がるのだ。
また、信頼できる人がいれば精神にも良い影響がある。
(詳細は50〜53ページ『仲間の存在』を参照)
ただし、あくまで人命救助はリスクが低い場合でのみ行うよう、明記しておく。
他人を助ける事で自分自身に危険が降りかかっては本末転倒だ。
家族だろうが、大切な人だろうが、どんな時でも自分が生き残るのを最優先に行動しなければならない。
それが、生存の第一原則なのだ』
「あの、良かったんですか?」
市役所を目指す道中、アキと俺で周囲を警戒しながら進んでいると、比嘉さんが急に問いかけてきた。
「ん、何が?」
「マンションと周りの人達の事です。本当に私達だけ市役所に向かってもよかったんでしょうか」
あの後、俺達は救助活動に励んだ。
倒壊したのはうちのマンションだけではない。
見渡す限り、付近の建物はほぼ壊滅といっていい状況だった。
事前に屋外へ避難できた人もいるが、当然巻き込まれて生き埋めになった人だっている。
俺達は、無事だった近隣の住民と連携して要救助者の救命や、建物の残骸から物資の回収を出来る限り行った。
元々『災害に強い構造』という触れ込みで入居者を募集していたあのマンションには、比較的防災意識の高い人が多く住んでいた。
まぁ、触れ込み故に、ひび割れを見ても避難を拒む人が大勢いた訳だが、逆に言えば“外に出なくても問題ない”と思っていた連中だ。
俺ほどではないと思うが、大半がある程度の備蓄をしていると睨んでいた。
結果、破損した物は多かったが、予想通り大量の物資が手に入った。
数時間で捜索出来たのは瓦礫のごく一部だったが、これだけでも全員が何日かは食い繋げるほどだった。
「……もしかして、私がすぐに市役所に向かいたいと思っていたからですか?」
比嘉さんは少し辛そうな顔を見せた。どうやら自分のせいで、俺に彼らを見捨てさせたと思っているらしい。確かにマンションが倒壊してからどこか上の空だった彼女の為に、というのもあるが。
「いや、色々理由はあるけど、あの人達はあそこにいるのが一番安全だと考えたんだ」
地震発生から三時間と数十分。
愛用の腕時計の針が四時を刺す頃には、既に三十名程が助け出されていた。
まだ明るいとはいえ、戦闘が出来ない大人数を連れて移動するのはあまりに危険。
それにどの避難所も限界が近い事も考えると、無理に動くよりもマンション跡を中心とした近所にバリケードを建てて籠城する方が遥かに安全だろう。
それに瓦礫の下にはまだまだ物資や人が埋まっているはずだ。それらを見捨てる訳には行かなかった。
「それでも、せめて状況が落ち着くまでは朝倉さんがいればもっと安全に――」
「そうでもないさ、あそこにいるのはほとんどが大人だ。
俺たちのような子供がいなくたって何とかなるさ。念のためにこいつも渡したしな」
俺は懐の『プレッパー・サバイバー』を軽く叩く。
俺は予備の一冊を田中さん夫婦に手渡した。
元々誰かに読んでもらうために書いていたこの本は、既に何冊か予備を作ってバックパックの中に入れていた。
本当は、貴重な一冊をこんな初っ端から渡すつもりはなかった。市役所に同行させようかとも考えた。だが。
「ありがとねぇ、でもここに残るわぁ。だってまだまだ助けなきゃいけない人がいるもの」
あのマンションに引っ越してからたった数年程度だが、それでも田中さん達が善人なのを俺は知っている。
それに過半数が避難しないとまとまった中でも、臆せずに生き残る意思を示した。
そして、田中さん達を救いたいと俺が思った。
それだけで渡すには十分だった。
俺たちがバックパックを背負って出発する時も、心配はしていたが、引き止める事は無かった。本当にいい人達だ。
「でも、生き埋めになってる方は……私たちも手伝った方が――」
「田中さん達は大丈夫、きっと渡した本の知識を使って生き延びるよ」
「そーそー、あとポテチのおっさんも元気でやるさ」
先頭を歩くアキは、そう言って周囲を見ながらも、どこか呑気にパリパリとポテトチップスを口に運んでいる。
比嘉さんは何か言おうとしていたが、俺たちを見てやめた様で、ただ俯いていた。
ポテチのおっさん――倒壊直後に左腕を骨折していた男性の事だが、俺が応急処置を済ませるとお礼として持っていたポテトチップスをくれたのだ。
なんでポテチ? とは俺も思ったが、どうやらコンビニで買い物を済ませて家に帰ってきた直後に最初の爆発が起きたらしく、ゾンビパンデミックで家に引きこもるうちに玄関に置きっぱなしなのをすっかり忘れていたらしい。
そして避難時に急いで何か持ち出そうとして……との事だが、結果的に骨折の応急処置に袋や雑誌が使えたのでよしとしよう。
(それに俺の物資もテープ以外使わずにすんだ)
アテはあるが、家が無くなった以上次にいつ補給できるか分からないので、消耗は最低限に抑えないといけない。
俺たちが早々にマンションを出発した理由もそこにある。
「――っと、二人とも着いたぞ」
そうこうしていると、ようやく今日の目的地に辿り着いたので、前を行ってるアキを呼び止める。
出発してから結構な時間が経っていて不安だったが、日没に間に合って良かった。
「は? おいナオ、アタシの目にはここが市役所なんかに見えないんだけど」
「前にも言っただろ、市役所は徒歩じゃ一日で行ける距離じゃないって。
だから、今日はここで一泊するんだ」
「えっ……ここに、泊まるんですか?」
アキはともかく、比嘉さんも話を聞いていなかったらしい。
移動ルートの、特に休憩地点の重要性は家で説明したはずだったが――仕方ない。
俺はため息を吐きながら、もう一度この場所について説明する。
「そうだ、今日泊まるのはここ――桂琴神社だ」
救助活動のシーンも詳細に書こうと思っていましたが、話が長くなり過ぎたので大幅カット。
生き埋め等の救出、脱出方法の解説は未来の自分に託します。頑張って




