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カレーパン

作者: 清水野 凪

 天井からカレーパンが降ってきた。私ははじめ、幻覚でも見ているのかと思った。しかし何度見ても、カレーパンは床に転がっていた。

 何故カレーパンか分かるかといえば、もちろんカレーの臭いが確かに香るからだ。

 私はカレーパンを手に取った。やはり本物のカレーパンだった。不気味に思った私は、ゴミ袋にカレーパンを廃棄した。

 次の日もカレーパンは降ってきた。私は恐ろしくなって、慌てて部屋から出て、しばらく家の近くのコンビニで時間を潰した。その間に頭を整理して、ようやく家に戻った。

 部屋のドアを開けて、リビングに進むと、やはりカレーパンがある。私は、このカレーパン捨てることにした。

 この後も毎日、不規則な時間にカレーパンは一度降ってきた。カレーパンが降ってくることが、毎日繰り返すにつれて、カレーパンを廃棄することは日常と変わっていった。

 ある日、空腹を感じながら帰宅した私の部屋には、あのカレーパンがあった。私は、特段驚きもせずに、またカレーパンを廃棄しようとした。しかしその時、大きくお腹が鳴った。

 そこからは、カレーパンの誘惑が私を離さなかった。表面はカリカリに見え、まだ温かかった。カレーのいい臭いが鼻腔をかすめる。

 私はためらいながらも、とうとうカレーパンを一口頬張った。すると、世界は回り始め、私は意識を失った。


 意識が戻った私は落下をしていた。血の気が引き、手足を動かそうとしても動かない。私はとうとう地面に激突した。しかし、私の身体は跳ねて、地面に転がった。

 何が起こったか分からず天を仰ぐと、そこには見知らぬ大きな人間がいた。

 その人間は私に向かってこう言った。

 「天井からカレーパンが降ってきた」


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