表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

英雄と怪物と私

作者: 八猿 重

アフリカの果てに喜望峰と名付けた王は私と正反対だ。

航海の満身創痍の末にただの岩にたどり着いた時、私なら絶望し後悔する。

喜望も絶望も風の流れの終点だというのに、どうして違う岬になるのか。


ドンキホーテは騎士になりたがった狂人だった。

彼は狂わざるを得なかった。それほど騎士になりたかったのだ。

狂行の果てに最期、彼は騎士の輝きを得た。

私とは正反対だ。狂行の果てに虚無を得たのだから。

そして最期すらもう信じることはできない。


イラン神話には魔物にされた王がいる。

悪霊に魅入られ、魔物にされた。

彼は人脳を食べた。人間に戻れると嘘をつかれて。

毎日毎日。安らぎを得るために。

しかし他の道はあっただろうか。

誰だって怪物でいたいわけじゃないのだ。

人間に戻るなという人は、怪物を肯定するわけじゃない。彼らは怪物を否定する。

怪物は戻れない。あぶれたら死ね。生きるな。

そういう英雄が彼を倒した。

憐れな怪物。私は彼の側だ。怪物は同情できる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ