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引き出し屋  作者: 小茄子
3/3

ガソリン男

500mlペットボトルの中の黒い液体がぐんぐん減っていく光景に、ギャラリー達は釘付けになっていた。



うえぇ…

マジで飲んでるよ…

ガソリン男…



ごくりごくりと喉の音が鳴り、その音の回数と共にペットボトルの角度が上がる。



そして、


角度が地面と垂直になった頃、赤堂はペットボトルを口から離し、前を向いて口を開く。



「俺の名前は赤堂トオル!

引きこもりを外に連れ出す仕事、

通称引き出し屋をやってウェエエエエエ!!!」






赤堂の口から大量の黒い液体が吐き出された。


地面へと叩きつけられたそれは、赤堂の周囲に飛び散りギャラリーを退かせた。



うわっ!

やっぱり!

お決まりのゲロ!!



小さなパニックが起きた。


しかし大事と言うほどではない。


【ガソリン男の黒い滝】


これが近日SNSでプチ流行している動画の検索ワードである。



ギャラリー達は皆この結末をわかっていたのだ。


この結末を見るために足を止めたのだ。


この結末を望んでなかったのは、残念ながら当の本人、赤堂トオルだけだった。












「あー…、引き出し屋の宣伝。また失敗だよ」


ギャラリーが消えた後、自分の吐瀉物を掃除しながらポツリと呟いた。




ご自慢の、ハリネズミの如く尖らせた黒髪は少し萎れ、


一張羅の赤いコートを羽織った背中は小さく映った。


赤堂トオル、25歳


職業、引き出し屋。


現在、ガソリンの一気飲みにて宣伝活動中。

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